いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

2022年05月

サブスクが解約しやすくなる?!―改正消費者契約法が成立

サブスクは「サブスクリプション」の略で、月額課金・定額制でサービスを契約することをいいます。
音楽や動画配信、ソフトウェアや家具、車の利用など、サービスは多岐にわたり、定額で使い放題というオトク感も相まって近年サブスクは非常に勢いのあるビジネスです。
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一方で、解約手続きをしない限り契約が自動で更新されるものが多いのも、サブスクの特徴です。
国民生活センターによると、「医療相談ができるサイトのサブスクで解約をする方法が見つけられない」「音楽配信サービスのサブスクで、電話でしか解約できないのに電話がつながらない」といった相談が寄せられているといいます。

サブスクを解約したいのにできない、というトラブルの増加を受けて「解約手続きに必要な情報提供の努力義務を事業者に課すこと」を盛り込んだ改正消費者契約法が成立しました。
改正法では、事業者の努力義務を規定した3条に、「解除権行使に必要な情報提供」が盛り込まれました。
例えば、消費者がウェブサイト上で契約を解約しようとするが、どこにアクセスすればよいか分かりにくい場合、解約に必要な手順を電話やメールなどで説明することが求められます。

主に契約時のルールを定めた同法で、解約時に関する規定が設けられるのは初めてのことだといいます。
これを機に、サブスクの見直しをしてみる人も出てくるかもしれませんね。

 
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本当にあった?!世界の税制―独身税

世界には、日本では想像できないようなユニークな税制があります。
その国が抱える課題を解決するために導入されることもありますが、中には思惑通りに進まず失敗に終わった税制もあります。

ブルガリア1968年から1989年まで約20年間実施されていた「独身税」も、今はなき税制の一つです。
この独身税は、25歳以上の独身者のみが対象で、収入の5~10%を税金として微収するものでした。
婚姻者と比べて税金を高くすることで、結婚を促し、結婚する人を増やして出生率を上げることを狙っていたようです。
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しかし、収入の5~10%というのは大きな税負担です。仮に年収300万円の方であれば、15~30万円という、かなり痛い金額です。
そのため、独身税の負担のせいで独身者がお金を貯めることができず、結婚や出産が難しくなり、より出生率が低下するという悪循環に陥りました。
実際、独身税が導入されていた間、ブルガリアの出生率2.18から1.86へと下がってしまい、目論見は完全に外れてしまいました。

ブルガリアの失敗を見て、その後独身税を導入する国はありません。
少子化に苦しむ日本が万一、独身税を導入したら「独身税の負担のせいで独身者がお金を貯めることができず、結婚や出産が難しくなり、より出生率が低下する」というブルガリアの二の舞になりそうな気がします?!


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「富裕層」って何?

【ポイント】
国税庁は、富裕層について一定のイメージを持って、積極的に税務調査をしています。

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「富裕層」というと、どういうイメージがありますか?
大株主や大地主、高給取り…といったイメージがあるかと思いますが、国税庁では富裕層について「こんな感じの人」というのを公表していること、ご存知でしょうか?

国税庁の税務調査に関する報道資料によると、次のような人を富裕層としているようです。
・有価証券・不動産等の大口所有者
・経常的な所得が特に高額な個人
・海外投資等を積極的に行っている個人

…など

こうした富裕層については、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に積極的に税務調査を実施している、とのことです。
富裕層と言って私たちがイメージするものとあまり離れてはいないかな、と思いますね。
以上、今日は小さなネタでした!


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本当にある!世界の珍しい税制―学位税

世界には、日本にはないユニークな税制が結構あります。
オーストラリアで実施されている「学位税」も、日本にはないユニークな税制です。

オーストラリアでは、最終的な学歴に対して税負担が定められており、大学卒業以上であれば原則として、いわゆる「学位税」(「卒業税」と呼ばれることもあります)を負担することとなっています。
大学卒業後に一定以上の収入があれば3~6%の範囲で学位税が徴収され、条件に満たない収入である場合には無税とされます。
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オーストラリアにある大学はほとんどが国立大学であり、その学費の多くは国で負担しています。
日本にも国立大学はありますが、その学費の支払い方法が日本とオーストラリアでは大きく異なるのです。

オーストラリアでは原則的に、学生負担となる学費の一部は卒業後のあと払いとされており、これが学位税と呼ばれるものです。
イメージ的には、卒業後に学費を返済する奨学金返済のような形で納税するものが学位税、のような感じです。
そのため、親の経済力によって大学進学の可否が左右されにくく「学びたい!」という意思のある人が平等に大学卒業を目指せる点が大きなメリットです。

ちなみに、オーストラリアではこの仕組みを「Student Financial Supplement Scheme(SFSS)」としており、税と同じように徴収して運用していますが、税(Tax)とは呼んでいません。

オーストラリアは日本ほど大学進学率が高くなく、大卒者であればほとんどはエリートとして扱われ、収入の多い職業に就けることが多いようです。
自分の学費を「出世払い」する前提のこの制度は、教育の機会均等という点からも公平な制度としてオーストラリアでは受け入れられているといいます。(ほとんどが国立大学、という環境であることもポイントでしょう!)

日本とはまったく異なる環境だからこそ運用できる税ですね!

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少額の減価償却資産等の取得価額の損金算入の特例(資産の範囲)―令和4年度税制改正

【ポイント】
令和4年度の税制改正で、少額の減価償却資産等の取得価額の損金算入制度等の対象資産から、貸付(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産を除くことが決まりました。

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法人が取得し、事業の用に供した少額減価償却資産等については、現在、
①取得価額10万円未満の減価償却資産については、供用年度において全額損金算入できる
②取得価額20万円未満の減価償却資産については、3年間で均等償却
③中小企業者等が取得した30万円未満の減価償却資産については、合計300万円までを限度に、全額損金算入できる(2024年3月31日までの適用期限延長)

といった特例があります。

しかし、当期の利益を圧縮する目的で、自らが行う事業で使用しない少額な資産を大量に取得し、その取得した資産を貸し付けの用に供する事業者が多数現れました。
特例制度を利用して、大量取得した少額減価償却資産を全額当期の損金に算入し、賃貸料や売却益を当期以降複数の年度の益金に算入することにより、損金と益金の計上時期の相違を利用した節税スキームです。
税務調査の現場でも、ドローンや建築用足場など、1つ当たりの取得価額が10万円未満の少額減価償却資産を大量に取得後、即時償却を行い、その資産を他社に貸し出すケースが多数見受けられたといいます。

今回の改正では、このようなスキームに対処するため、少額減価償却資産等の取得価額の損金算入の特例の対象となる資産から、貸付(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産を除くこととされました。

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