いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

2023年03月

少額な返還インボイスの交付義務免除―令和5年度税制改正の大綱

【ポイント】
令和5年度税制改正の大綱に、1万円未満の値引きや返品等について、返還インボイスを交付する必要がなくなる「少額な返還インボイスの交付義務免除」が盛り込まれました。
全事業者が対象で、適用期限もありません。

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令和5年度税制改正の大綱に「少額な返還インボイスの交付義務免除」が盛り込まれました。
インボイス制度がはじまると、インボイスの交付義務とともに、値引き等を行った際にも値引き等の金額や消費税等を記載した返品伝票などの書類(返還インボイス)の交付義務が課されるのが原則となります。
「少額な返還インボイスの交付義務免除」は、消費税込み1万円未満の返品・値引き・割戻しなどの売上げに係る対価の返還等について、例外的に返還インボイスの交付義務が免除されるものです。

売り手が負担する振込手数料相当額を売上値引きとして処理している場合も、返還インボイスの交付義務免除の対象となります。
ただし、売り手が負担する振込手数料を支払手数料(=課税仕入れ)として処理している場合には、そもそも返還インボイスの交付は必要ありません。

この特例は、事業者の実務的な事務負担の軽減を狙った制度です。
「2割特例」や「1万円特例」と異なり、全ての事業者が対象で、適用期限の定めもありません。

※税制改正の大綱は、令和5年度の税制改正の方向性を示すものです。実際には、法案成立後に決定となります。

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1万円未満の課税仕入れのインボイスが不要?!―令和5年度税制改正の大綱

【ポイント】
令和5年度税制改正の大綱で、中小事業者については1万円未満の課税仕入れ(経費等)について、インボイスの保存がなくても帳簿の保存のみで仕入税額控除ができるようになる、いわゆる「少額特例」が盛り込まれました。
特例の対象者と特例の期間が限られているのでご注意ください。

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令和5年度税制改正の大綱に、いわゆる「少額特例」が盛り込まれました。
これは、消費税込み1万円未満の課税仕入れ(経費等)について、インボイスの保存がなくても帳簿の保存のみで仕入税額控除ができることを言います。

この少額特例の判定単位は、課税仕入れに係る1商品ごとの金額により判定するのではなく、一回の取引の合計額が1万円未満であるかどうかにより判定します。
例えば、消費税込み7,000円のA商品と8,000円のB商品を同時に買った(合計で消費税込み15,000円)場合、一回の取引額は15,000円になるため、少額特例は適用されません。

この特例が適用されるのは中小事業者に限られます。
中小事業者とは、原則として、基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間(個人事業者=前年1~6月までの期間、法人=前事業年度の開始の日以後6月の期間)における課税売上高が5,000万円以下の事業者のことを言います。

また少額特例は、適用期間が限られており、2023年10月1日から2029年9月30日までに行われた課税仕入れが対象となります。たとえ課税期間の途中であっても、2029年10月1日以後に行う課税仕入れについては、少額特例は適用されないので注意が必要です。

※税制改正の大綱は、令和5年度の税制改正の方向性を示すものです。実際には、法案成立後に決定となります。

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