前回、寄附金のお話をいたしましたが、今回はその続きです。

寄附をしたとき-1 個人の場合


 これまでのお話では、個人が国や公益法人等に寄附をした場合、支出した寄附金(特定寄附金)のうち一定額を所得税控除することができる(寄附金控除)、ということでした。

 ただし、これは個人が国や公益法人などに特定寄附金を支出した場合に受けられるもの。法人が支出した寄附金については、個人の寄附金控除とは別の取扱いがあります。


 法人が支出する寄附金とは、「法人が行った金銭その他の資産の贈与または経済的な無償の供与」をいい、「広告宣伝費や交際費、福利厚生費とされるものは除かれる」とされています。

 そして、損金算入できる寄附金については、税法上で一定の制限が定められています。
 それは、無制限に寄附金の損金算入を認めてしまうと、課税所得の圧縮を無制限に認めてしまう結果になるからです。


 ちなみに、寄附金には「その他の資産の贈与」つまり物品等の寄附も含まれます。物品等の価額は「時価」で算定することとなっています。

 たとえば、寄附した物品が購入時には10万円、寄附したときの時価が100万円であれば、100万円を寄附したことになります。

 税務上は、10万円の資産で100万円分の価値の寄附をしたと考えられ、差額の90万円は益金(譲渡益)として処理することになります。
 これは個人、法人ともに処理方法は同じです。