「自由民主党が平成19年度税制改正大綱を発表 (企業編-1)」から続きます。
 中小企業やベンチャー支援に関する税制改正の主なポイントは次の通りです。


A.中小同族会社に対する留保金課税制度の撤廃
 資本金1億円以下の会社は、留保金課税制度の対象から外されます。これによって、資本金が1億円以下であると、「留保金課税及び外形標準課税がかからない」ということになります。
 資金調達の面で制約を受けがちな中小企業にとって、財務基盤が強化されるため、うれしい改正点です。


B.「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」の基準所得額引き上げ
 昨年導入された「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」について、平成19年4月1日以後に開始する事業年度から、適用除外基準である基準所得金額を現行800万円から1600万円に引き上げます。

 平たく言うと、会社の利益と社長の給料を合計して1600万円以下の会社であれば、この増税項目の対象外ということになります。これもうれしい改正ですね。


C.相続時精算課税制度の見直し
 相続時精算課税制度において、取引相場のない株式等(中小企業の株式等)を贈与した場合、贈与者の年齢要件を60歳に引き下げるとともに、非課税枠を500万円上乗せする特例が設けられます。
 また、取引相場のない種類株式について、相続税等における評価が明確化されます。

 制度化の暁には、中小企業が事業承継を早期にかつ計画的にできるようになる、というメリットが見込まれます。


D.地域密着型中小企業に対する特例
 地域に存在する産業資源を活用して事業活動を行う中小企業に対する課税の特例や、地域産業活性化支援税制の創設などが盛り込まれています。


E.エンジェル税制の拡充
 将来、日本の経済を支えるベンチャー企業育成を支援するため、エンジェル税制の対象企業を拡大するとともに、手続きが合理化されます。
 また、個人投資家(エンジェル)が投資したベンチャー企業の株式の譲渡益について2分の1に軽減する課税特例の適用期限が2年延長されます。


 日本の現在・将来の経済基盤と地域経済を支える中小企業やベンチャー企業に対する税制改正は、うれしいポイントが盛りだくさんです。
 法案の成立が待ち望まれるところですね。