【質問】
来年から消費税法が改正されると聞きました。
当社は原則課税を採用しているのですが、計算方法が変わる、という話を聞きました。
何がどう変わるのでしょうか。

【回答】
平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用される改正の一つに、課税売上高が5億円を超える事業者は、仕入税額控除の計算を、個別対応方式か一括比例対応方式により計上することになります。


 【回答】に書いたことが概要になりますが、専門用語だけでは分かりづらいですよね(^-^;)。
 今回から2回にわたって、消費税の基本的な考え方と改正のポイントについてお話しいたします。

 今週は、消費税の基本的な計算方法についてご紹介いたします。

 そもそも、消費税の納税額を計算する方法は、「原則課税方式」と「簡易課税方式」の2種類があります。

 大雑把なイメージでご説明すると、売上(課税売上)の時に顧客から預かった消費税額から、仕入や経費(課税仕入)の時に業者等に支払った消費税額をマイナスして消費税額を計算するのが「原則課税方式」です。

 これに対し、売上に係った消費税に対して一定割合をかけ算した額を仕入れに係った消費税額とみなして消費税額を計算するのが「簡易課税方式」です。

 数値を使ってご説明いたします。

【例・小売業を営むA社の場合】
・売上高5,250千円(・・・受け取った消費税額は5,250千円×5/105=250千円)
・仕入、経費3,150千円(・・・支払った消費税額は3,150千円×5/105=150千円)
・みなし仕入率80%

(原則課税方式の場合
消費税の納税額・・・250千円―150千円(仕入控除額A)=100千円

(簡易課税方式の場合)
仕入控除額(B)=売上に係る消費税額250千円×80%=200千円
消費税の納税額・・・250千円―200千円(仕入控除額(B))=50千円


 簡易課税制度の適用を受けるためには、原則として、納税地を所轄する税務署長に、適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しなければいけません。

 また提出から原則として2年間は簡易課税制度により税額計算をしなければいけません。

 もし、簡易課税制度の適用をとりやめて原則課税制度にするには、原則として、やめようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があり、とりやめる課税期間の初日から課税仕入れ関係の帳簿及び請求書などを保存することが必要になります。

 ちなみに、簡易課税制度を選択できるのは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の法人に限られますのでご注意下さい。

 今回の改正は、原則課税制度を利用している法人には重要な改正になりますが、こちらの詳しい説明は次回に続きます!

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