【質問】
このたび、当社の経理担当者が都合により退職することになりました。
幸い、後任の担当者を見つけることができましたが、引き継ぎの際に気をつけることがあれば教えて下さい。

【回答】
経理業務の引き継ぎはその会社によって注意すべき点が異なりますが、多くの会社で注意すべきポイントは「期ズレ」の問題です。
税務調査でも調べられることが多い点ですので、引き継ぎのドタバタでうっかりミスが出ないようにご注意ください。



 経理業務の引き継ぎは、その会社によって注意すべきポイントが違いますので、顧問税理士等、御社の経理を十分に理解している専門家と相談するのが一番ですが、一般論として引き継ぐべきポイントをご紹介いたします。

 経理担当者が注意すべきは決算期における「期ズレ」です。
 「期ズレ」とは、決算期前後の取引で、本来決算期に上げていなければならない取引が翌期に計上されていたり、逆に翌期に上げなければいけない取引が決算期に上がっていたりすることを総称していう言葉です。

 会計原則には、発生主義と費用収益対応の原則とがあり、基本的には「現金収支には関係なく、収益・費用の発生した時点で計上する」「収益と費用をできる限り因果関係に基づいて把握する」というルールに則っています。

 売上計上の原則は、商品やサービスの「引渡しがあった日」や「役務(サービス)の提供の完了した日」となります。
 引渡しの場合、「どのタイミングで収益計上するか」という計上基準があり、「出荷基準」「検収基準」「使用利益開始基準」「検針基準」の4つが主な基準です。毎期継続して運用されていればどの基準でもかまいません。

特に注意すべき取引は次のようなところです。
1.現金で商品を売ったが、納品日は決算日の後だった。
2.請求書は月初に発行したが、納品は決算月末であった。
3.翌事業年度に完成する工事等に係る費用(外注費など)を支払った。

 なぜ期ズレに注意が必要かというと、売上や仕入れの期ズレは税務調査で最初にチェックが入るポイントだからです。
 期ズレが税務調査で見つかると、修正申告や更正が必要になり、余計な手間や税金がかかってしまう事にもなりかねません。

 期ズレは意図的に悪用されるケースもありますが、単純な判断ミスや知識不足で発生する事もあります。
 特に経理担当者が何らかの事情によって交代するようなときは、注意を怠ると出てきがちなミスですので、引き継ぎの時に参考にして下さい。


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