【ポイント】
国税庁が「平成27年度 査察の概要」を発表しました。
平成27年度における査察の着手件数は189件、脱税額は総額138億円だったことがわかりました。
その他、脱税の手口や脱税によって得た不正資金の使い道や隠し場所なども公表されています。



国税庁が「平成27年度 査察の概要」を発表しました。
「査察」とは、適正・公平な課税の実現等を目的として、悪質な脱税者に対して刑事責任の追及を行うものをいいます。

平成27年度において査察に着手した件数は189件、このうち検察庁に告発した件数115件(63.5%)
脱税額は総額138億円(告発分は112億円/告発1件あたりの脱税額9,700万円)

平成27 年度に告発した査察事案で多かった業種・取引は、「建設業」、「不動産業」、「クラブ・バー」、「機械器具卸」など。
また、その事業活動自体に違法または不当な行為が含まれるとして、社会問題化した業種(ネットワークビジネスと称したいわゆる「マルチ商法」「投資詐欺」など)についても積極的に告発した、といいます。

気になる?!脱税の手段・方法は、売上除外や架空の原価・経費の計上が多くみられたほか、

・多額の利益がありながら、故意に税を免れようとして、法定申告期限までに申告書を提出しなかったことから、単純無申告ほ脱犯(平成23年度創設)を適用したもの
・輸出取引を装い、国内における架空の課税仕入とこれに見合う架空の輸出免税売上を計上する方法で不正に還付を受けていた(未遂も含む)ことから、消費税受還付未遂犯(平成23 年度創設)を適用したもの<※輸出免税売上に対応する課税仕入の消費税が還付になることを悪用
・複数の納税者に脱税を持ち掛け成功報酬を得ることを業とする、いわゆる脱税請負人に依頼して不正を行っていたもの
などが挙げられます。
脱税請負人に依頼しておそらく多額の報酬を払った上に刑事罰を受けることになったら、自業自得とはいえまさに「踏んだり蹴ったり」ではないでしょうか?!

脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金、有価証券として留保されていたほか、絵画や高級車の購入、ギャンブルなどの遊興費、特殊関係人(いわゆる「愛人」など)に対する資金援助などに充てられていた事例もみられました。
また、不正資金の一部が海外の預金口座で留保されていた事例もありました。

脱税によって得た不正資金の隠匿場所はさまざまですが、
・居宅のクローゼットに置かれたバッグの中に現金を隠していた
・居宅階段下の物置に積まれた段ボール箱の中に現金を隠していた
・契約したトランクルームに保管された段ボール箱の中に現金を隠していた
という事例が挙げられています。
出てくるのかどうかもわからない現金を探すわけですから、まるで探偵のようだわ!といつも驚きます。

今回の記事は国税庁のプレスリリースを参考に作成いたしましたが、このプレスリリースを見ているだけでもドラマの元ネタ?!のように思えました。
適正申告・納税をしている方には、びっくりされるような内容かもしれませんね?!


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