いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

経費等/基本

リース取引に係る消費税の取扱い

【質問】
当社の事業の一つにコピー機のリース事業があります。
リース資産の取引については、どのような取扱いになるのでしょうか。

【回答】
リース資産の引き渡し時の税率を適用して下さい。


平成19年度税制改正により、平成20年4月1日以後に行われるリース取引(所有権移転外ファイナンス・リース取引)については、従来のリース処理ではなく資産の売買取引とされました。

 そのため、リース取引については、原則としてリース資産の引渡しを行った日に資産の譲渡があったことになり、売買取引と同じように譲渡対価の全額が課税対象になります。

この点は前回の消費税率引き上げ時とは大きく異なる点ですのでご注意下さい。

 ただし、毎月「リース料」として計上している場合は、特例として従来どおりリース料を支払いの都度リース料として計上し、課税仕入れとして消費税の申告をすることも認められます。

 この特例は、賃貸借処理に基づいて分割控除して差し支えないとしたものですから、その場合の税率は契約締結時の旧税率を適用すべきだと考えられます。

 結果として原則的な売買処理として処理する場合でも、特例的な賃貸借処理とする場合も、いずれもリース資産の引渡し時の税率を適用することとなります。


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スマホの契約事務手数料

【質問】
本年度から、当社では全社員にスマートフォンを持たせることにしました。
契約時にかかったスマートフォンの契約事務手数料は、通信費などとして費用計上してよいのでしょうか?

【回答】
スマートフォンに加入する際の契約事務手数料については、原則として無形減価償却資産である電気通信施設利用権の取得価額として資産計上し、耐用年数に応じて減価償却します。


 スマホや携帯、自動車電話に加入するとき、加入者は契約事務手数料を支払うこととなります。
 この手数料は、原則として、無形減価償却資産である電気通信施設利用権の取得価額として資産計上し、耐用年数に応じて減価償却することとなります。
 電気通信施設利用権の耐用年数は20年です。

 ただし、法人税法では携帯・自動車電話の役務の提供を受ける権利の取得価額が10万円未満である場合には、その権利を取得し、事業の用に供した事業年度において、損金経理を要件としてその取得価額の全額を損金の額に算入することができます。


 これはPHSに加入する際に支払う新規加入料等についても同様の取扱いとなります。


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社葬にまつわる税務上の注意点

【質問】
当社の会長が永眠いたしました。
社葬を行う予定ですが、後で税金面で不利にならないよう、注意点を教えてください。


【回答】
社葬で受ける香典は、遺族の収入とすることが認められています。
また社葬の費用は、その社葬を行うことが社会上通念上相当で、負担した金額が社葬のために通常要する額と認められれば、その支出をした日の属する事業年度の損金に算入することができます。



会長さまのご冥福をお祈り申し上げます。
ご準備で大変な中かとは思いますが、今日は社葬に関する税務上の注意点をいくつかご紹介いたします。


まず、会社が費用を負担して行った社葬で受け取る香典について。
受け取った香典は、「故人の冥福を祈るため持参されたから、弔慰金として遺族の収入とすべき」なのか、「費用を会社が出しているのだから当然、会社の収入だ」なのか、という問題があります。

社葬に寄せられた香典は会社の収入とせず、遺族の収入とすることが認められています。
社会通念上からいえば遺族の収入とするのが常識的である、と考えられるからです。


次に社葬の費用は、
1.その社葬を行うことが社会上通念上相当であること、
2.負担した金額が社葬のために通常要する額であること、

が認められれば、その支出をした日の属する事業年度の損金に算入することができます。

「社葬を行うことが社会通念上相当か」どうかは、死亡した役員などの「死亡の事情」や「生前における会社に対する貢献度合い」などが判定のポイントになります。

創業者でもなく、会社の経営にほとんどタッチしなかった役員の場合、注意が必要です。

「通常要する額か」どうかは、院号を受けるための費用や、密葬・墓石・仏壇・位牌などの費用が該当します。(その中でも程度はあります)

また、税務調査の際、社葬を行うことを決めた取締役会の議事録が重要書類となるので、必ず用意しておきましょう。


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改めて、小規模企業共済制度について

【質問】
小規模企業共済に入ると税金の上で有利だとか、制度が新しくなった、とか言われたのですが、何がどのようにお得なのでしょうか?

【回答】
小規模企業共済とは、個人事業主などが廃業退職した後の生活資金を積み立てておく退職金制度です。
掛け金は全額課税対象所得金額から控除できます。
今回の改正で、事業の経営に携わる共同経営者が小規模企業共済に加入できるようになりました。



 小規模企業共済制度とは、個人事業主などが廃業退職した後の生活資金を積み立てておく退職金制度です。

 これまでは事業主しか加入できなかった共済制度に、共同経営者として配偶者や後継者などの専従者が一事業所新たに2名までの加入が認められる改正案が国会で成立しました。

 厳しい経営環境に対し、個人事業主が少しでも安心して事業に専念でき、事業承継環境整備にもなるような制度改正となりました。

 小規模企業共済に加入できる人は常時使用する従業員が20人(商業とサービス業では5人)以下の個人事業主または会社の役員等の方です。
 今回の改正で、事業の経営に携わる共同経営者が新たに加入できるようになり、事業主と一体となって経営を行っている給与の支払いのある配偶者や後継者も対象となりました。

 家族従業員も将来への安心を確保することで経営基盤強化につなげる狙いです。

 掛金は月額1000円から7万円までの範囲内(500円単位)で選ぶ事ができ、加入後の増額・減額もできます。

 掛金は全額が課税対象所得金額から控除されます。
 又、受け取る時は、退職所得控除の対象にもなります(分割受け取りの時は公的年金等の雑所得扱いとなる)。
 受取は、廃業及び老齢(65歳以上)により給付されます。

 ただし、小規模企業共済は短期加入で解約するとメリットが少ないので、加入の際はよく検討する必要があります。

 また、以前から納付した掛金の合計額の範囲内で事業資金貸付制度がありましたが、新たに事業承継における資金確保を目的に「事業承継貸付(金利0.9%)」の創設もされます。

 施行期日は公布の日から1年以内に政令で定める日となります。


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中小企業倒産防止共済の共済金貸付け要件

【質問】
中小企業倒産防止共済に加入していますが、このたび法律がかわったと聞きました。
何がどのように変わったのですか?

【回答】
従来は取引先事業者が「法的整理」と「取引停止処分時」のみ受けられた共済金の貸付が、「私的整理」の場合も受けられるようになりました。


 中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の一部を改正する法律が7月1日から適用開始となりました。

 今回改正となった内容は、取引先事業者が「私的整理」を行う場合も倒産として共済金の貸付けを受けられるというものです。
 以前は、「法的整理」と「取引停止処分時」のみが倒産として扱われていました。

 ここで「私的整理」として扱われるのは、取引先事業者から債務整理の委託を受けた弁護士などからの「支払停止通知」があった場合です。
 取引先事業者から支払停止通知を受け貸付請求を行うと、貸付審査の過程で中小機構が弁護士などに倒産の事実確認を行います。

 この際に、要件を満たしていれば貸付けを受けられますが、場合によっては要件を満たしていても、貸付けを受けられない場合もあります。


 「中小企業倒産防止共済」は、掛け金の全額を必要経費または損金として計上することができる上に、条件を満たせば掛け金の100%が解約手当金として受け取ることができます。

 取引先事業者の倒産時には共済金の貸付けも受けることができます。

 中小企業には使い勝手がよく、加入する方も多いようですよ。
 税理士を通してのお申し込みもできますので、ご興味のある方はぜひ、顧問税理士等にお問い合わせください。


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