いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

経費等/売上

単純ミスも多い「期ズレ」に注意!

【質問】
3月決算を迎えましたが、売上を違う年度に計上する「期ズレ」で税務調査が入りやすい、という噂を耳にしました。
何か気をつけるポイントがあれば教えてください。

【回答】
収益計上するのは、原則として商品の引渡し日や役務を提供した日になります。建築の請負の場合は、工事の種類や性質、契約内容から合理的な日に計上します。
単純ミスで、修正申告になる可能性もあるため、十分にチェックしてください。



 決算にあたり注意を必要とするのが、本来計上すべき事業年度と違う年度に売上や費用を計上してしまう、いわゆる「期ズレ」です。

 たとえば請求書の締め日が月末ではない場合、決算月末までの売上を翌期に計上してしまうのはよくあるミスです。

 ケアレスミスで起こってしまうことが多いですが、意図的に帳簿操作を行うような悪質なケースも多いことから、税務調査の対象となりやすい、といえます。


 収益計上をするのは原則として商品の引渡し日や役務を提供した日。商品の「引渡し」となる時期は、

(1)出荷日
(2)相手方による検収日
(3)販売数量を確認した日
(4)そのほか契約で販売日として認められる日

・・・などから選ぶことができますが、その計上基準は継続して採用しなければなりません。


 建築の請負にかかる収益などは判断に迷うケースが多いですが、
(1)作業を結了した日
(2)相手方の受入場所へ搬入した日
(3)相手方が検収を完了した日
(4)相手方において使用収益ができることとなった日

・・・など、工事の種類や性質、契約内容などから合理的と認められる日に計上します。


 ただし、
「同種の工事を多量に請け負うなどの場合で、引渡し量に従い代金を収入する」
「1 個の建設工事であっても、一部を引き渡した都度その割合に応じて代金を収入する」
といった契約や慣習がある場合は、各支払い時期によることと定められています。


 単純なミスで修正申告とならないよう、期ズレについてはしっかりとチェックしておきたいところです。

 税理士等ともよくご相談なさることをオススメいたします。

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売掛金の時効消滅を防ぐには

【質問】
最近の景気悪化の影響を受けて、取引先の売掛金が1年間、支払ってもらえない状況が続いています。
このまま、支払ってもらえないと当社も危ないので、何らかの手を打ちたいのですが・・・
当社は小売業を営んでいます。

【回答】
売掛債権の消滅時効は2年です。まずは書面で時効の中断をしてください。
時効の中断時から新たに2年の消滅時効が進行しますので、その間に解決を図ってください。



 売掛債権について、請求書を出したのに相手が支払わず、時間ばかりが経過すると、気になるのは消滅時効です。

 ご相談の方のような、生産者・卸売又は小売商人の売掛債権の消滅時効は2年です。
 1年が経過、ということでまだ間に合います。
 今日は売掛債権の時効消滅を防ぐ方法をお話いたします。


 こちらの請求に対し、相手がしばらく待って欲しいと言ってきた場合には、まず時効を中断させること。
 そのための証拠として、書面で、自ら負っている債務の内容・金額を確認する一筆を取り付けることが必要です。

 但し、これで今後消滅時効がなくなるわけでなく、中断時から新たに2年の消滅時効が進行します。この間に相手との間で解決を図ってください。


 これで支払ってもらえればよいのですが、やはり支払ってもらえないこともあります。
言を左右に、支払いを延期してきた場合、再び時効を迎えてしまうと手遅れになります。

 消滅時効を中断させるのに最も確実な請求とは、裁判を提起し、勝訴判決を得ることになります。

 請求書を出す、内容証明郵便を出す、6ヶ月のブランクをおかずに、請求をかけ続ける・・・といった方法を考える方もいらっしゃるようですが、これらの方法では消滅時効を止めることはできません。

(ただし、消滅時効の期間内に督促をかけ、そこから6ヶ月以内に裁判を起こせば、仮に裁判を起こした時点で消滅時間を過ぎていても、時効が中断します)


 これまで長いおつきあいのある取引先さんならば、その良心にかけてお支払いいただきたいところですが、なんとも世知辛い世の中ですね。


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商品券を売った場合の売上計上タイミング

 2月上旬になると、いずみ会計の近くの中学校で入学試験が始まります。オフィス近くで、面接試験用のきちんとした服装の小学生を見かけると、みんながんばれ!と小さくエールを送る今日この頃です。

 中学受験の合格祝いといえば腕時計や英語の辞書などが多いようですが、商品券や図書券などの金券類も人気があります。
 今日は商品券(発行する側)のお話です。


 商品券とは、「券面に記載された一定金額の商品を提供してもらう権利のある有価証券」のこと。
 商品切手ともいい、「お買い物券」や「図書券」のように主にギフトなどの贈答用として使われています。


 商品券は原則として誰でも発行できますが、有価証券の一種ですから全く規制が無いというわけではありません。

 「前払式証票の規制等に関する法律」には、商品券の未使用残高によって、帳簿書類の作成、保存や財務(支)局長への未使用残高届出、発行保証金の供託などが規定されています。

 商品券を発行した場合の経理方法は会社によって異なります。というのも、会計と税法では商品券の売上を計上するタイミングが異なるからです。

 会計では商品券が使用されたときに売上を計上するのに対し、税法では原則として商品券を発行したときに売上を計上します。

 つまり、商品券の発行額と使用された額を明らかにしつつ、最終的には商品券の発行額を売上とする経理処理が必要になるわけで、その処理方法が会社の実情によって異なるのです。


 ただし、商品券をその発行年度ごとに区分管理するなどの要件を満たせば、あらかじめ所轄税務署長の確認を得ることで、税法上も商品券の使用時に売上を計上することが可能になる特例があります。


 クーポン券の場合はさらに注意が必要です。
 その語源「coupon」(切れ端、切符)の通り、切り離して使えるタイプの割引券や商品引換券、販促品引換券、見本請求券などのことを総称してクーポン券といいます。クーポン券の場合、その発行方法や利用方法(効果)などによって処理が異なりますので、それらを明らかにしておく必要があります。