いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

経費等/給与・賞与・退職金

賃上げするなら今でしょ?!所得拡大促進税制がさらに進化

【ポイント】
給与等支給額の総額が基準事業年度と比べて一定割合以上増加していることなど、一定要件を満たした中小企業等は、現行の10%の税額控除にさらに12%を上乗せ、最大で合計22%の税額控除を受けることができます。



企業等に対する賃上げ支援を税制面で支えてきた「所得拡大税制」
平成29年度の税制改正では、賃上げに踏み切る中小企業を強力に後押しするため、現行の制度をさらに拡充することになりました。

現行の支援措置は、平成24年度からの給与増加額の10%が税額控除されるというものですが、今回の改正ではこれに加え、前年度比2%以上賃上げした中小企業(青色申告法人に限る。青色申告をしている個人事業主もOK)は、最大でその増加額の22%の税額控除を受けることができることになりました。

適用要件は以下の通りです。
(1)給与等支給額(※1)の総額が、平成24年度(基準事業年度※2)と比べて一定割合以上増加していること(平成29年度の場合、基準年度より3%以上増加していること)
(2)給与等支給額の総額が前事業年度以上であること
(3)平均給与支給額(※3)が、前事業年度を上回ること
(上回る率によって税額控除率が変わります)
・2%未満=平成24年度の給与等支給額の総額からの増加額の10%が税額控除
・2%以上=前年度からの増加額について、税額控除額を12%上乗せ(22%)

(※1)ざっくり言うと、その事業年度内の国内雇用者役員等は対象外になります)に対する給与等の支給額をいいます(ただし、出向者の給与などで、出向元から支払われた給与等の金額は除きます)。
(※2)平成25年4月1日以降に新規設立した会社で基準事業年度が存在しない場合は、平成25年4月1日以後に開始する最も古い事業年度(当該事業年度に給与等の支給がない場合は、国内雇用者に対して給与等を支給する最初の事業年度)の給与等支給額の0.7に相当する金額が基準雇用者等給与等支給額となります。
(※3)雇用者1人あたりの月平均給与額です。原則として、継続雇用者(適用を受けようとする事業年度および前事業年度において給与等の支給を受けた国内雇用者)に対する給与等の支給額や雇用者数を用いて計算します。

前年度まで賃上げはしなかったけれど、この制度ができたから使ってみようかな?という方も、適用要件を(1)から1つずつ、順番に確認し、3つの要件を満たしていれば特例を使うことができます。

いつ賃上げするの?今でしょ?!
と、ちょっと前に流行した言葉を使ってみたくなるような制度ですので、検討してみてはいかがでしょうか!


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「代休」を与えたのに未払い残業代を請求された

【質問】
先日退職した従業員から、休日出勤分の未払い残業代を請求されました。
休日出勤をした従業員に対しては代休を与えていたため、請求は納得できません。

【回答】
代休は休日に勤務した従業員に対して事後に恩恵的に与える休日であり、休日に出勤させた事実を消すものではありません。
当然、割増賃金の支払い義務が生じることとなります。



 特に中小企業の場合、ご相談の方のように、経営者が単に「知らなかった」ばかりに、意図せず未払い残業代を発生させてしまい、後々問題になることがあります。

 今回のご相談のポイントとなる「代休」と、その似たような言葉である「振替休日」のちがいについてご説明いたします。

 「代休」というのは、休日に勤務した従業員に対して事後に恩恵的に与える休日を意味します。
 この場合、休日に出勤させた事実は消えません。
 当然、割増賃金の支払義務が生じることになります。

 従業員に休日出勤をさせても、代休さえ与えればすべてが免責されると誤解している経営者の方もけっこういらっしゃいますので、この点は注意が必要です。

 一方「振替休日」とは、あらかじめ労働日を特定して休日と労働日をチェンジすることです。
 例えば工場等で、週の途中に祝日等があり、中途半端に機械を止めるくらいなら週末等に休日をチェンジしたほうが、効率がいい―といった場合に使われます。

 この振替休日を利用すると、休日が単に労働日に変換されるだけなので出勤させても割増賃金の支払義務は原則として生じません。

 ただし、同一週内で振替えられなければ0.25分の割増賃金の支払い義務が生じる場合があることにご注意ください。

 具体的な規定例を示しておきますので、ご参照ください。

【規定例】
(休日の振替)
第○条 会社は、業務上の都合によりやむを得ない場合は、所定休日を他の日に振り替えることがある。
2.前項により休日の振替を行う場合は、前日までに振り替える休日をあらかじめ特定し従業員に通知する。この場合、振替日は原則として同一週内とする。
3.休日を振り替える場合は、1日を単位とし、時間単位は認めない。
4.休日を振り替えた場合でも、原則として4週間のうち4日の休日は確保する。

(代休)
第○条 会社は、業務上の都合によりやむを得えず所定休日に労働させた場合は、代休を付与することがある。
2.前項の代休は、休日勤務した日から1カ月以内に取得しなくてはならない。


 あまり従業員を疑いたくはないのですが、中には規定の杜撰さに目を付けて、退職時にわざと?!未払い残業代等を請求するように見受けられるケースがなきにしもあらず・・・
 経営者はこうした規定にも一通りの理論武装が必要だと思います!


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退職金に対する所得税・住民税負担が変わりました

【質問】
約40年勤め上げた会社を5月末に定年退職することになりました。
今年から退職金に対する所得税などが上がる、という話を聞き、自分がいくらもらえるのかが不安です。

【回答】
平成25年1月1日以後に支払われるべき退職手当について、勤続年数が5年以内の会社役員等の退職金については、退職所得金額の計算における、いわゆる1/2課税が適用されなくなりました。



 まずは長年、会社に貢献されてきたこと、お疲れ様でした!
 退職金に係る税制改正、確かにあります。

 平成25年1月1日以後に支払われるべき退職手当等について、勤続年数が5年以内の会社役員等の退職金については、退職所得金額の計算におけるいわゆる1/2課税が適用されなくなりました。

(これまで)
所得税=(退職金等の金額-退職所所得控除額)×1/2×累進税率

(改正後)
勤続年数が5年以下の会社役員等の退職金等については、上記「×1/2」がなくなります。

 この改正により、例えば天下り等の後に受け取る退職手当の税負担軽減を是正することができる、と考えられています。

 ただし他の要件等がなく、単純に5年の勤続年数の有無によって適用の有無が決まるため、天下り等のケース以外で退職する役員については、勤続年数が5年を超えるか否かで税負担が大きく変わってしまいます。
 公平なのか、と言われると・・・(^-^;)。

 また、退職所得に係る住民税の計算についても上記の1/2課税の制限に加え、住民税の10%税額控除が廃止となるため、今後退職金等に係る税負担が増加する可能性があります。
 こうした改正を念頭に、「思ったより退職金が少ない!」ということにならないよう、ご注意下さい。


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法人成りしたときの従業員の退職金

【質問】
おかげさまで今年の4月に法人成りをしました。
今月、個人事業だった頃から勤めていた従業員が退職することとなり、退職金を支払うことになりました。
退職金を支払うのは法人なので、法人の損金として処理してよいのでしょうか?


【回答】
個人事業を引き継いで設立された法人が、個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職に伴い退職金を支給した場合は、原則として個人時代の勤務に対応する部分の金額は法人の損金の額には算入されず、個人所得税の最終年分の必要経費になります。


  個人事業を引き継いで設立された法人が、個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職に伴い退職金を支給した場合は、一般的にはその退職金には個人時代と法人成り後の両方の勤務に対応する分が含まれていると考えられるため、原則として個人時代の勤務に対応する部分の金額は法人の損金の額には算入されず、個人所得税の最終年分の必要経費になります。

 今月退職する従業員の退職金も、個人時代の勤務に対応する部分の金額は、今年の個人所得の計算で必要経費としてください。

ただし、もし退職が法人設立後相当の期間が経過した後であるときは、その支給した退職金の金額が法人の損金の額に算入されます。
 法人成りして時間が経った企業については、按分は不要です。

 判断に迷う場合は、税理士等にご相談下さい。


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家族従業員も加入対象者に―中小企業退職金共済

【ポイント】
平成23年1月1日から、同居の親族のみを雇用する事業所の従業員についても一定の要件を満たしていれば、「従業員」として、中小企業退職金共済制度に加入することができるようになりました。


 中小企業退職金共済制度(中退共制度)は、国が作った中小企業の従業員のための退職金制度です。

 中退共制度とは…
・事業主が独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)と退職金共済契約を結び、毎月の掛金を金融機関に納付する
・従業員が退職したときは、中退共から従業員に退職金を直接支払う

という仕組みになっています。

 退職金額は、基本退職金は予定運用利回り1%で設計されています。付加退職金は予定運用利回りを上回った場合に上乗せされる事となっています。

 2010年10月末時点で、369,043事業所の従業員3,130,461人が加入しています。

 中退共制度の掛金は、法人企業の場合は損金として、個人企業の場合は必要経費として、全額非課税となります。

 また、従業員ごとに退職金を決めることができる、パート従業員も加入できる上、退職金の管理がしやすいなどのメリットもあります。

 非常に使い勝手がよい制度ですが、これまでは同居の親族のみを雇用している事業に雇用されている者は共済制度に加入できませんでした。

 しかし、昨年「中小企業退職金共済法施行規則の一部を改正する省令」が改正されました。

 その結果、同居の親族のみを雇用する事業に雇用される者であっても、使用従属関係(使用者の指揮監督下で労務を提供しかつ賃金の支払いを受けている者)が認められる者は、従業員として取り扱う事が出来るようになりました。

 加入するときは…
(1)申込者が同居の親族のみを雇用するものである場合、共済契約申込書にその旨を記載する
(2)被共済者(加入対象者)が同居の親族である場合には、次の物を添付する
A)被共済者となる者が申込者に使用されている者で、賃金を支払われる者であることを証明する書類(賃金台帳等)
B)被共済者は中小企業共済法上の共済契約者でない事を誓約する書類

 従業員が退職する時は…
1)退職時に同居の親族である時は使用され賃金を支払われていた事を証明する書類
2)退職事由を証明する書類
を添付します。

 また、同居の親族が転職や傷病、高齢その他これに準ずる理由で退職した時は、再び同事業主に雇用される事が見込まれない事を証明する書類も必要です。


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