いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

経費等/福利厚生

従業員を対象とした創立記念パーティの飲食費

【質問】
当社の創立10周年を記念して、従業員を招いてちょっとしたパーティを催す予定です。
パーティでの飲食費はどのように取り扱えばよいでしょうか。

【回答】
その飲食費が「従業員におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用」であるならば、交際費等ではなく福利厚生費として処理して問題ありません。



ご質問の飲食費については、交際費等となるかどうか、という点がポイントになります。

そもそも交際費等とは「得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用」のことをいいます。
ただし、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については交際費等から除かれ、福利厚生費などとされることが一般的です。

なお、社内の行事に際して支出される金額などで、次のようなものは福利厚生費として処理することが一般的です。

(1)創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用
(2)従業員等(従業員等であった者を含みます。)又はその親族等のお祝いやご不幸などに際して、一定の基準に従って支給される金品に要する費用(例えば、結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いなどがこれに当たります。)

ご質問の創立記念パーティの飲食費については、「従業員におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用」であるならば、福利厚生費として処理して問題ありません。


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従業員の食事代

【質問】
我が社では、従業員の昼食や残業する場合の食事にある仕出し店の弁当を使っています。
その都度精算するのが大変なので、昼食代については「食事手当」として月1万円を支給しようと思っています。


【回答】
食事手当の1万円は、所得税として課税されます。ただし、残業時に弁当を現物支給した場合の弁当代は現物給与にならず、法人税法上の損金の額に算入することもできます。


 従業員の食事代について、昼食と残業時の食事では取扱いが変わります。

 まず昼食のほうから説明します。
 昼食とは、通常の勤務時間内に必ず食べる(生きるのに必要?!)な食事です。これについて食事手当として金銭を支給した場合は給与として課税されます。

 昼食代を給与非課税とするには、一定の要件を満たしていなければなりませんが、これが結構厳しいのです。
(「現物支給であること」に加え、「その食事代の50%以上を従業員から徴収していること」と「会社が負担した食事代が月額3,500円以下」の両方を満たしていないといけません。)

 次に残業食事代について。
 残業時の食事とは、「本来は勤務しなくていいにもかかわらず、会社の都合でやむを得ず残業しなければならない」状況で支給される食事、といえます。
 言い換えれば、従業員に対して慰労や勤務に伴う実費弁済的な意味で支給するものです。
 弁当の形で支給する限り、回数に関係なく現物給与にはならず、法人税法上も損金の額に算入することができます。

 ただし、残業の食事を弁当などの現物の支給ではなく、金銭で支給した場合は、給与課税されますのでご注意下さい。


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短時間勤務制度とは?

【質問】
中小企業でも「短時間勤務制度」を取り入れなくてはいけないという話を聞きました。
「短時間勤務制度」って何ですか?

【回答】
短時間勤務制度では、「小学校就学始期に達するまでの子を養育する労働者が利用出来る1日原則6時間勤務とする措置」を含んだ制度を設けることが求められます。
新しい「短時間勤務制度」を取り入れ、利用者が出たときに受けられる助成金もあります。



 育児・介護休業法が改正となり、今まで適用が猶予されていた従業員100人以下の事業所にも次の制度が適用されます。(平成24年7月から適用です)
(1)短時間勤務制度
(2)所定外労働の制限
(3)介護休暇の創設

 「短時間勤務制度」では、「小学校就学始期に達するまでの子を養育する労働者が利用出来る1日原則6時間勤務とする措置」を含んだ制度を設けることが求められます。

 一方で、新しい短時間勤務制度を取り入れ、利用者が出た時に受給できる助成金もあります。

●受給要件
(1)次のア及びイを満たす事業主
(ア)小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が利用できる短時間勤務制度を労働協約や就業規則により制度化している事(常用雇用する労働者100人以下の事業所で24年6月末以前に対象労働者が短時間勤務制度の利用を開始する場合は少なくとも3歳に達するまでの子を養育する者が利用できる短時間勤務制度を労働協約や就業規則で定めて6カ月以上利用した事)

(イ)雇用保険被保険者で小学校3学年までの子を養育する労働者であって短時間勤務を制度化し、希望した者に連続して6ヶ月以上利用させた事

(2)育児休業、所定外労働の制限、短時間勤務制度について就業規則や労働協約で定めている事

(3)次世代育成支援対策推進法に規定する一般事業主行動計画を策定し、労働局に届け、公表、周知させる事

●受給額
・小規模事業主・労働者数(100人以下)
1人目40万円、2人~5人目15万円

・中規模事業主(労働者数101人~300人)
1人目30万円、2人~5人目10万円

 法改正により新しい短時間勤務制を設けなければならないので、就業規則等の改定をしておくがポイントです。
 早めの対応が、対象者が出た時のスムーズな申請・受給につながります。

 改正法を受けて、中小企業においても仕事と家庭の両立を計って行く視点が欠かせないものとなってきたのかもしれませんね。


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社員旅行を実施 会社負担の税務は?

【質問】
秋の行楽シーズンに社員旅行を計画しています。
社員旅行だから、福利厚生費として処理しても問題ないですよね?

【回答】
社員の慰安を目的に行われるものですので、基本的に福利厚生費として処理することができます。社員旅行の日程が4泊5日以内、全従業員の50%以上が参加するなどの要件を満たしていること、また過度に贅沢なものでないことなどが要件になります。


 1970-80年代に比べると減ってきているものの、ご相談の方のように、秋の行楽シーズンに社員旅行を計画している会社はまだあるようですね。

 そしてご相談の方のように、会社が社員旅行を実施する場合、旅行費用の一部を会社が負担するケースがほとんどです。

 社員旅行は、社員の慰安のために行われるものなので、これらの費用については福利厚生費として処理することができます。
 ただし、場合によっては従業員への給与となることもあるので要注意です。

 基本的には、
(1)社員旅行の日程が4泊5日以内(海外旅行の場合は、旅行先での滞在日数が4泊5日以内)
(2)全従業員の50%以上が旅行に参加

・・・などの要件を満たしていれば、給与課税されることはありません。
 
 しかし、過度に贅沢な社員旅行など、社会通念上、一般的な旅行費用の範囲をこえたものは、会社負担の費用部分が給与課税される・・・と考えたほうがよさそうです。

 ところで、どうしても都合がつかず社員旅行に参加できない社員に対して、会社が旅行費用の負担に代えて金銭を支給するケースがあります。

 この場合、税務上の取り扱いが大きく変わってくるので注意が必要です。

 旅行に参加できなかった社員に支給した金銭は、給与として取り扱うことになります。
 それと同時に旅行の参加、不参加を問わず、すべての社員に対し、その支給した金額の分だけ給与を支払ったこととされてしまいます。

 該当者がたった一人であったとしても、税務上、デメリットになりますので注意が必要です。


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部下への結婚ご祝儀の取り扱い

【質問】
若手社員を教育する立場にある管理職です。
6月に部下が立て続けに結婚しました。
個人的な話で恐縮ですが、ご祝儀だけで今月の家計は大赤字です。
会社関係の支出なので、正直、「ご祝儀手当て」が欲しいところです・・・。

【回答】
社内規定に定めがあれば、結婚祝い金を福利厚生費とすることができます。社内規定に定められた「結婚祝い金」を上司が代表して持参する形であれば、課税対象になりません。


 日本でも「ジューンブライド」に憧れて6月に挙式を行うカップルが増えています。
 今年の6月は日柄のよい土日が多く、ホテルなどでは結婚式を挙げるカップルを多く目にしました。

 ご相談の方のように、上司は部下の結婚式に招待され、スピーチなどを頼まれることが多いようです。

 そのときは、招待された上司はそれなりのお祝い金を包むことになります。
 教育を担当する管理職ともなると、「ご祝儀」の出費で赤字になることもありそうですね。

 かといって、「ご祝儀手当て」のような形では、ご相談の方に対する給与として所得税が課税されます。

 さらに、4月から6月の平均給与額で、10月から1年間の社会保険料の金額が決まります。
 6月に多くの給与を支払うことはこの平均給与額を押し上げることになり、別の注意も必要になります。


 結婚祝金などについては、社内規定で定めておけば給与ではなく福祉厚生費として損金処理できます。

 社内規定に定められた「結婚祝金」を結婚式に招待された上司が持参するという形であれば、課税対象にはなりません。


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