いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

経費等/減価償却

年代物の家具などの減価償却

【質問】
当社の応接室には、年代物の家具と著名な画家の描いた絵画を飾っています。
この家具と絵画はどのような形で減価償却をすればよいでしょうか?

【回答】
法人税法上、書画骨とうは時の経過によりその価値が減少しない資産として原則として減価償却資産に該当しません。ただし、一定の例外があります。


ご相談の方のように、応接室に年代物の調度品や絵画(骨董品)を飾る会社もあるかと思います。
「骨董品」については、時の経過により価値が減少しないものとみなされるため、原則減価償却資産に該当しません。

そうなると、何が「骨董品」に該当するのか、が問題になります。

総務省による日本標準商品分類では、
「製作後100年を経過したもの」
を、骨董として分類しているものの、現実には昭和以降に製作されたものでも、著名人が作成して「骨董品」に該当しそうなものもありますよね。

法人税基本通達の取扱いでは、以下のような一定の判断基準が示されています。

「書画骨とう(※)のように、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないのであるが、次に掲げるようなものは原則として書画骨とうに該当する。

(1) 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
(2) 美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等」

この場合、複製のようなもので単に装飾的目的にのみ使用されるものは書画骨とうに該当しません。
また、書画骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては号2万円)未満であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができます。

ある程度価値の高い調度品は念のため減価償却しないほうが無難かもしれませんね。


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本社につけた避難階段の取り扱い

【質問】

本社の建屋に避難階段をつけました。
避難階段をつけた工事代は修繕費として費用にしてよいのでしょうか。



【回答】
避難階段の取り付けは、修繕費ではなく資本的支出に該当します。
原則として、減価償却資産に修繕等をして、資本的支出がある場合には、その金額を取得価額として、修繕対象資産と種類及び耐用年数を同じくする資産を新たに別途取得したものと扱います。





 まず、避難階段の取り付けは、修繕費として損金に算入されません。

 避難階段は「法人が持っている固定資産の修理・改良等によって、価値や耐久性が高まるもの」に対して支払った金額として「資本的支出」に該当します。

 原則として、償却資産に修繕等をして資本的支出がある場合には、その金額を取得価額として、修繕対象資産と種類及び耐用年数を同じくする資産を新たに別途取得したものと扱われます。


 さらに翌年度の選択として、その事業年度の前事業年度に修繕対象資産と資本的支出を別々に減価償却している場合で、その資産が定率法を採用している平成 19年4月以後取得資産のときは、その事業年度の期首の日付で、修繕対象資産と資本的支出の期首帳簿価額の合計額を新取得価額とする「一の中古の減価償却資産」を新たに取得したものとすることができます。



 「一の新取得」とされた中古資産に新たに付される耐用年数は、次のように考えます。

 (1)資本的支出額が対象資産の再取得価額の50%以下
・・・次のいずれかの方法により定める
 (A)使用可能期間としての見積年数
 (B)簡便法で計算した年数

(2)資本的支出額が対象資産の再取得価額の50%超
・・・本来の法定耐用がそのまま付される


 新品価額の50%相当額を超える資本的支出を行った場合には、その資産はもはや中古とは言えず、新品と同様に取り扱うべきとの考えで、先の(1)と (2)の区別がなされているようです。


 もし、資本的支出をする対象となった資産が中古資産で、見積法か簡便法で耐用年数が決められていた場合、この度の資本的支出の額が新品再取得価額の 50%を超えるような時には、一の中古の資産に対し旧来の耐用年数ではなく、本来の法定耐用が付されることになります。


 このようなケースでは、原則的取扱いのままだと、もともとの対象資産の短い耐用年数が資本的支出にも適用になります。

 どちらを選択すべきか、税理士等とご相談されることをオススメいたします。



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まとめて台数分を購入したソフトウエアの税務処理

 来年の1月、マイクロソフトの新しいパソコン用基本ソフト(OS)であるWindows Vista(ウィンドウズ・ビスタ)が発売されます。

 実はWindows Vistaを利用するには、かなりの高性能パソコンが必要といわれており、現在販売されているパソコンでもWindows Vistaが利用できないかもしれないらしいのです。

 パソコンの買替えを考えているユーザーの中には、「Windows Vistaの登場を待つか」と悩んでいる方もいるかもしれませんね。


 ところで、パソコンのOSやソフトウエアがバージョンアップしたり、会社全体や部署全体のパソコンを買替えたりした場合、利用しているソフトウエアをすべて買替えなければならないケースがあります。

 今日はまとめて台数分購入したソフトウエアの税務処理についてのお話です。


 ソフトウエアの金額は、1本だけならば大した金額になりませんが、まとめて台数分となると大きな金額になることがあります。
 たとえば、1台あたり8万円のソフトウエアを10台分購入した場合、総費用は80万円になります。

 これは80万円のソフトウエアを購入したとみなされるのか、それとも1台分ずつ(8万円)で判定されるのかによって、税務上の取り扱いが変わってきます。

 もし、80万円のソフトウエアを購入したとみなされると、そのソフトは減価償却資産(無形固定資産)として5年(販売用なら3年)で償却しなければならなくなります。

 しかし、ソフトウエアの金額が8万円と判定されれば、「少額減価償却資産」(原則は取得価額10万円以下。中小企業の場合は30万円以下の特例あり)の特例を受けて、全額を当期の費用として処理することも可能になるからです。この場合、どちらになると思いますか?


 「少額減価償却資産」であるかどうかの判定は、通常1単位として取引される単位ごとに判定します。つまり、そのソフトウエアは1台分ずつで判定できます。

 もし、1台分の金額が8万円なら少額減価償却資産ですから、当期の必要費用として処理することが可能になります。

少額減価償却資産−(2) 「中小企業者の少額減価償却資産の特例」を選択する際の注意点

 今日は、少額減価償却資産のお話の2回目です。

 前回のお話で、資産の額によっては、いくつかの減価償却方法の中から有利なものを選べることをお話いたしました。

 今回は選ぶ際に気をつけなければいけないポイントをご紹介いたしましょう。


 前回ご説明のとおり、今年度税制改正では、「中小企業者の少額減価償却資産の特例」制度について年間300万円の上限が設定されました。

 この改正で注意しなければならないのは、単純に年間300万円を超えた金額が即時損金算入できなくなるということではなく、資産単位で判断されるということです。

 簡単な例を示すと、一台27万円の資産を20台購入した場合、27万円×11台分(297万円)までは即時に損金算入できますが、12台目以降の9台分(243万円)やその他の購入資産については年間300万の上限を超えてしまうので、通常の減価償却等を行うことになります。


 ところで、減価償却資産を購入した場合、償却方法として
A.通常の減価償却
B.3年均等償却(20万円未満の資産)
C.少額減価償却資産の即時損金算入(同10万円未満)
D.中小企業者の少額減価償却資産の特例(同30万円未満、年間300万円の上限あり)
の選択することになりますが、その選択により地方税(償却資産税)の取扱いが変わることは注意が必要です。


■償却資産税が課税される(A.とD.)
A.通常の減価償却、D.中小企業者の少額減価償却資産の特例
■償却資産税は課税されない(B.とC.)
B.3年均等償却、C.少額減価償却資産の即時損金算入


 中小企業者の少額減価償却資産の特例を選択した場合に償却資産税が課税されることに注意してください。

 これは地方税法において償却資産税の対象外となる少額資産の対象が「法人税法、または所得税法に規定されたもの」とされていることによるものです。
 中小企業者の少額減価償却資産の特例は租税特別措置法で規定されているため、償却資産税の対象となってしまうのです。

 中小企業者の少額減価償却資産の特例を選択した場合は、購入代金を即時損金算入するとともに、償却資産税申告のために通常の減価償却と同様にその資産についても償却資産申告に必要な管理を行う必要があります。

少額減価償却資産−(1)20万円未満の資産の償却方法は選択可能

今回から、少額減価償却資産についてのお話をいくつかいたします。

 まずは、20万円未満の資産の償却方法について。

 平成18年度税制改正においては、いわゆる「中小企業者の少額減価償却資産の特例」に制限が加えられています。

 具体的には、中小企業が取得した30万円未満の減価償却資産について、全額を取得年度の損金にすることができるのは1事業年度につき300万円まで、ということが定められているのです。


 実はこの特例、「できる」もので「しなければならない」ものではありません。

 当期の利益見込みや来期以降の利益予測によっては、通常の減価償却や20万円未満の減価償却資産に適用される一括償却を選択した方が良いケースもあります。

 一括償却とは20万円未満の減価償却資産を購入した場合に、その資産を一括償却資産として3年間で均等償却を行うことができるものです。
(通常の減価償却とは異なり残存価格10%を考慮する必要はありません)

 また、一括償却だけでなく、通常の減価償却を選択することもできます。

 つまり、20万円未満の減価償却資産であれば、少額減価償却、一括償却、通常の減価償却の中から最も納税者有利な償却方法を選ぶことができるのです。


 たとえば、当期の利益が赤字見込みなら、少額減価償却で一気に費用化せず、一括償却や通常の減価償却を選択し、資産の減価償却を翌期以降に繰り越すという考え方もできるのです。