いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

経費等/減価償却

少額の減価償却資産等の取得価額の損金算入の特例(資産の範囲)―令和4年度税制改正

【ポイント】
令和4年度の税制改正で、少額の減価償却資産等の取得価額の損金算入制度等の対象資産から、貸付(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産を除くことが決まりました。

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法人が取得し、事業の用に供した少額減価償却資産等については、現在、
①取得価額10万円未満の減価償却資産については、供用年度において全額損金算入できる
②取得価額20万円未満の減価償却資産については、3年間で均等償却
③中小企業者等が取得した30万円未満の減価償却資産については、合計300万円までを限度に、全額損金算入できる(2024年3月31日までの適用期限延長)

といった特例があります。

しかし、当期の利益を圧縮する目的で、自らが行う事業で使用しない少額な資産を大量に取得し、その取得した資産を貸し付けの用に供する事業者が多数現れました。
特例制度を利用して、大量取得した少額減価償却資産を全額当期の損金に算入し、賃貸料や売却益を当期以降複数の年度の益金に算入することにより、損金と益金の計上時期の相違を利用した節税スキームです。
税務調査の現場でも、ドローンや建築用足場など、1つ当たりの取得価額が10万円未満の少額減価償却資産を大量に取得後、即時償却を行い、その資産を他社に貸し出すケースが多数見受けられたといいます。

今回の改正では、このようなスキームに対処するため、少額減価償却資産等の取得価額の損金算入の特例の対象となる資産から、貸付(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産を除くこととされました。

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中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(期限延長)―令和4年度税制改正

【ポイント】
令和4年度の税制改正で、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、適用期限の2年延長が盛り込まれました。

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少額減価償却資産について、法人規模や適用期限が決まっているものがあります。
いわゆる「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」です。
この特例は、中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合には、合計300万円までを限度に、全額損金算入することができる、というもので、中小企業者等の方にはおなじみの特例です。

この特例について、適用期限が2年間延長され、2024年3月31日までに取得した減価償却資産が対象となります。
中小企業者にとっては使い勝手の良い特例の延長ですので、歓迎ですね!

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少額の減価償却資産、今の取り扱いってどうなっているの?―全法人対象・期限なしの規定

【ポイント】
少額の減価償却資産のうち、①使用可能期間が1年未満のもの、②取得価額が10万円未満のもの、については法人が事業を供した年度に取得価額の全額を損金算入できます。
また、取得価額が20万円未満の減価償却資産については、3年間で償却する一括償却資産の損金算入の規定を選択できます。
これらの規定は、法人の規模に関わらず適用され、時限的な措置ではありません。

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少額の減価償却資産の取り扱いについては時限的な制度が多く「あの法令って今でも有効なの?」と不安に思う方も少なくありません。
その中で、法人規模に関わらず適用され、時限措置のないもの(今のところずっと使えるもの)については、次の通りです。

(1)全額損金算入OK
法人が取得した減価償却資産のうち次の①または②に該当するものについては「少額の減価償却資産」となり、法人が事業の用に供した年度に、取得価額の全額を損金算入することができます。
なお、少額の減価償却資産は、事業の用に供した事業年度においてその取得価額の全額を損金経理している場合に、損金の額に算入することができます。したがって、いったん資産に計上したものをその後の事業年度で一時に損金経理をしても損金の額に算入することはできませんのでご注意ください。

①使用可能期間が1年未満のもの
…この場合の「使用可能期間」は、法定耐用年数ではなく、その法人の営む業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつ、その法人の平均的な使用状況などからみて、その使用可能期間が1年未満であるものをいいます。
例えば、テレビ放映用のコマーシャルフィルムは、通常、減価償却資産として資産計上し、法定耐用年数2年で減価償却しますが、テレビ放映期間は1年未満であることが一般的です。
このような場合、テレビ放映の期間が1年未満のもの「使用可能期間が1年未満のもの」に該当します。

②取得価額が10万円未満のもの
…この場合の「取得価額」は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。
例えば応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子が1組で取引されるものですから、1組で10万円未満になるかどうかを判定します。また、カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、部屋ごとにその合計額が10万円未満になるかどうかを判定します。

(2)3年で均等償却
取得価額が20万円未満の減価償却資産については、事業年度ごとに、その全部または一部の合計額を一括し、これを3年間で償却する一括償却資産の損金算入の規定を選択することができます。

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30万円未満の減価償却資産、一括償却できるのは一時的なものだった?!

【ポイント】
一定の中小企業者等が1件30万円未満の減価償却資産(いわゆる少額減価償却資産)を取得した場合に、一定の要件のもとに全額を損金に算入できる特例制度の適用期限が、平成32年3月31日まで2年間延長されました。(所得税も同様)

180424少額減価償却資産
いわゆる「少額減価償却資産」の特例とは、従業員1,000人以下の中小企業者等が、1件30万円未満の減価償却資産(いわゆる少額減価償却資産)を取得した場合に、当該減価償却資産の合計額300万円を限度として全額を損金に算入することができる制度です。
かなり使い勝手がよいため、この制度のお世話になった方はかなり多いように感じます。

当たり前のように使っていた制度かもしれませんが、実はこの制度、期限付きの特例措置という扱いに変わりはありません。
平成30年度の税制改正で、適用期限が平成32年3月31日までの2年間、延長されました。所得税についても同様の扱いとなります。

この制度が特例、ということは「本則」もあります。
全ての企業に対して適用される「本則」は以下の通りですのでご注意ください。

●取得価額10万円未満・・・全額損金算入(即時償却)
●取得価額20万円未満・・・3年間で均等償却(3年間で毎年1/3ずつ損金算入できる)
●それ以外・・・通常の減価償却を行なう


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年代物の家具などの減価償却

【質問】
当社の応接室には、年代物の家具と著名な画家の描いた絵画を飾っています。
この家具と絵画はどのような形で減価償却をすればよいでしょうか?

【回答】
法人税法上、書画骨とうは時の経過によりその価値が減少しない資産として原則として減価償却資産に該当しません。ただし、一定の例外があります。


ご相談の方のように、応接室に年代物の調度品や絵画(骨董品)を飾る会社もあるかと思います。
「骨董品」については、時の経過により価値が減少しないものとみなされるため、原則減価償却資産に該当しません。

そうなると、何が「骨董品」に該当するのか、が問題になります。

総務省による日本標準商品分類では、
「製作後100年を経過したもの」
を、骨董として分類しているものの、現実には昭和以降に製作されたものでも、著名人が作成して「骨董品」に該当しそうなものもありますよね。

法人税基本通達の取扱いでは、以下のような一定の判断基準が示されています。

「書画骨とう(※)のように、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないのであるが、次に掲げるようなものは原則として書画骨とうに該当する。

(1) 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
(2) 美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等」

この場合、複製のようなもので単に装飾的目的にのみ使用されるものは書画骨とうに該当しません。
また、書画骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては号2万円)未満であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができます。

ある程度価値の高い調度品は念のため減価償却しないほうが無難かもしれませんね。


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