いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

税金/相続・贈与税

相続税の申告漏れにご用心!生命保険等の契約者死亡による契約者変更

【ポイント】
契約者と被保険者が異なる生命保険契約等で、契約者が保険期間中に死亡した場合、新しく契約者となった人が契約の権利を引き継ぐことになります。
この場合、契約者が死亡した時点で「生命保険契約等に関する権利」として評価された金額が相続税の対象となるのでご注意ください。

180320相続税
たとえば、生命保険の中には契約者と被保険者が異なる契約があります。
もし、契約者が保険期間中に死亡した場合、新しく契約者となった人が契約の権利を引き継ぐことになります。

この場合、契約者が死亡した時点で、「生命保険契約に関する権利」として評価された金額相続税の課税対象となります。
「生命保険契約に関する権利」とは、ざっくり言うと「解約返戻金の額」と考えてOKですが、解約返戻金のほかに受け取れる前納保険料や配当金等がある場合は、これらの金額を加算し、源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には、当該金額を控除した金額となります。

実はこの「生命保険契約に関する権利」については、お金の移動がないため、相続税の申告の際にうっかり漏れてしまうことが多いので注意が必要です。

特に平成30年1月1日以降、契約者の死亡によって契約者の変更が行なわれた場合、解約返戻金100万円超の生命保険、損害保険については、保険会社が税務署に支払調書を提出しているため、税務署でも契約者死亡による契約者変更の情報はある程度把握しているものと予測されます。
この点は今後、相続税調査の対象になる可能性もありますので十分にご注意ください。
(解約返戻金の金額が小さいものでも、税務署が保険会社に問い合わせればすぐにわかるので油断は禁物です!)


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夫婦間で居住用の不動産を贈与した場合、配偶者控除の特例あり?!

【ポイント】
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、贈与税の確定申告を行うことにより、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できる特例があります。

180227贈与税配偶者控除
「確定申告」というと所得税の確定申告を思い浮かべる方が多いかと思いますが、贈与税の確定申告3月15日までに行う必要があります。
しかし、贈与税の申告はあまりなじみがない、という方も多いかもしれませんね。

今日は、贈与税の申告が必要な特例についてご説明いたします。

贈与税には、長年連れ添った夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例があります。

贈与税の配偶者控除の特例を使うための要件は次の通りです。

(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

なお、配偶者控除の特例を受けるためには、次の書類を添付して、贈与税の申告をすることが必要になります。

(1) 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
(2) 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
(3) 居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの
※金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、上記の書類のほかに、その居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明書など)も必要。

なお、配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができませんのでご注意ください。

平成29年中に該当する事実があり、この特例を使う方は、必ず3月15日までに贈与税の申告を行うようにしてください!


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特定一般社団法人等の理事が亡くなった場合、法人に相続税が?!

【ポイント】
平成30年度の与党税制改正大綱で、特定一般社団法人等の理事(相続開始前5年以内に理事だった方も含みます)が死亡した場合、その特定一般社団法人等が、一定金額をその被相続人(亡くなった理事の方)から遺贈により取得したものとみなして、その特定一般社団法人等に相続税が課税されることが明記されました。



平成30年度の与党税制改正大綱で、特定一般社団法人等の理事(相続開始前5年以内に理事だった方も含みますが死亡した場合、その特定一般社団法人等が、一定金額をその被相続人(亡くなった理事の方)から遺贈により取得したものとみなして、その特定一般社団法人等に相続税が課税されることが明記されました。

今回の改正ででてきた言葉について、その意味を説明いたします。

■特定一般社団法人等とは?
次のいずれかに該当する法人をいいます。
(1)相続開始の直前において、その法人の役員総数の2分の1超が同族役員だった場合。
(2)相続開始前5年以内に、その法人の役員総数の2分の1超が同族役員だった時期3年以上の期間であった場合。

■同族役員とは?
一般社団法人等の理事のうち、被相続人、その配偶者又は3親等内の親族その他当該被相続人と特殊の関係がある者(たとえば被相続人が会社役員を務める会社の従業員など)のことをいいます。

■遺贈により取得したものとみなす「一定の金額」の計算方法
該当する特定一般社団法人等の純資産額を、その理事が死亡したときにおける同族役員(亡くなった理事も含む)の数で割り算した金額が、遺贈されたものとみなされます。

たとえば、純資産額5000万円の特定一般社団法人で、同族役員数が5人だった場合、
5000万円÷5人=1000万円が遺贈されたものとみなされます。

相続税対策スキームとして一度動き出してしまった以上、後に引くことは難しいかと思います。
様々な対策が考えられる中、ベストな方法は何か、次の一手は慎重に考えて行動してください。
なお、さらに詳しい情報は、「公益法人会計.com」でも公開する予定です。

※与党税制改正大綱とは、次の年度の税制改正の主要項目や今後の税制改正に当たって、与党の基本的な考え方を示したものです。そのため、現時点では決定事項ではありません。
正式な法令等の改正内容やタイミングにご注意ください。

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相続税対策スキーム封じ?!小規模宅地の特例に改正か?

【ポイント】
2018年度税制改正で、小規模宅地の特例の中で、相続が発生したときに、一定の要件を満たした相続人が、被相続人と同居していなくても3年以上持ち家がなければ減税を受けることができる、いわゆる「家なき子」の特例について、改正が入るもようです。



2018年度の税制改正で、相続税の過度な節税を防ぐ措置の導入が検討されています。
その一つが、小規模宅地の特例の中で、いわゆる「家なき子」の特例に関するものです。

小規模宅地の特例とは、本来、相続により、亡くなった人(被相続人)の配偶者や子など同居していた人の税負担を軽減するために導入されたもので、相続人と同居していた土地を相続した場合、土地の評価額を最大で8割減らして相続を受ける人の税負担を減らす、というものです。

ただし、小規模宅地の特例の中に「被相続人の配偶者及び同居相続人がいないこと」「3年以上持ち家がないこと(=借家住まいであること)」など一定の要件を満たした場合は、小規模宅地の特例と同様の減税を受けることができる、という規定があります。これが「家なき子」の特例といわれるものです。

そのため、持ち家をあらかじめ親族に贈与する節税スキームが流行しています。
スキームの一例を説明すると、祖父、父、子の三世代の一族で、祖父と父がそれぞれマイホームを持っている、と仮定します。
このスキームをが使おうとした場合、あらかじめ子に対してマイホーム(家屋)を贈与します。贈与から3年たつと、父は持ち家のない「家なき子」になります。
親族(この場合は子)の持っている家に無償で住んでいる場合も、家を「所有」していなければ「持ち家がない」とされるため、父の日常生活になんら支障はありません。
父が子にマイホームを贈与して3年以上経過して祖父が亡くなり、相続が発生したときに、父は「家なき子」の特例を使って祖父の宅地の評価額を小規模宅地の特例同様の有利な条件にする、というイメージです。
親と同居したくないけれど相続税はオトクにしたい!という方などは、このスキームを検討された方も少なくないかと思います。

今回の改正で、相続人(主に子)が相続時に住んでいた家が、もともと相続人が所有していた家だった場合や、相続人が3親等以内の親族が所有する家に住んでいる場合などは対象外にすることなどを検討しているそうです。

こうした相続税スキームは、早めに動くのがポイントになってきますが、たとえ不利になる法改正があっても一度動いてしまうと後戻りしにくいというデメリットもあります。
今回説明した改正は、まだ検討段階ではありますが、相続税対策は将来的な法改正の可能性も含めて、慎重に考えるよう、心がけてください。


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海外居住者に対する国外財産への課税義務、居住年数に要注意

【ポイント】
相続人と被相続人双方が一定期間、海外居住している場合、国外財産の課税がなくなる制度につき、居住期間の要件が「5年超」から「10年超」に延長されました。



これまでは、5年超日本に住所のない親から、5年超日本に住所がない子への相続または贈与について、国外財産に対しては課税を免れることができました。

しかし、この制度を利用して、一部の富裕層の間で親と子の双方が相続税や贈与税の制度がないシンガポールや香港等に住所を移し、5年を経過した後に国外に移した財産を贈与(または相続)させるという租税回避的な行為が見られるようになりました。

こうした問題点を踏まえて、平成29年度の税制改正により、海外居住者に対する相続税・贈与税の納税義務に関して、居住期間の要件が「5年超」から「10年超」に延長されることとなりました。

この制度は、平成29年4月1日以後の相続等から適用されています。
制度的にはすでに始まっておりますのでご注意ください。