いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

税金/税務調査

申告をしていない個人にも税務調査はある?!―令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

【ポイント】
「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、無申告者に対する税務調査で、所得税及び消費税ともに1件当たり追徴税額が過去最高になったことがわかりました。

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「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、所得税無申告者に対する実地調査3,828 件行われています。
1件当たりの申告漏れ所得金額は、2,923 万円で、所得税の実地調査全体の 1,613 万円に比べ 1.8 倍となっています。
1件当たりの追徴税額過去最高の497 万円で、所得税の実地調査全体の323 万円の 1.5 倍です。

消費税の無申告者に対する実地調査も、5,257 件実施され、1件当たりの追徴税額過去最高の 245 万円となっています。

申告納税制度を取っている所得税や消費税にとって、自発的に申告・納付している方から見ると、無申告はとても不公平に思えます。
そのため、国税庁は資料収集などを行い、的確かつ厳格に対応することを表明しています。
また、実地調査だけでなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正する「簡易な接触」による調査も積極的に行っているそうです。

自分は申告をしていないから税務調査なんて絶対に無関係!
というのは誤解です。申告が必要かどうか、迷ったときは税務署または税理士等の専門家までお問い合わせください。


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インターネット取引を行っている個人の税務調査―令和3事務年度 所得税及び消費税調査等

【ポイント】
「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、インターネット取引を行っている個人に対する税務調査を積極的に行っており、特に暗号資産(仮想通貨)等取引を行っている個人の調査に係る1件当たりの追徴税額は高水準であることがわかりました。

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「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、インターネット取引を行っている個人の税務調査に力を入れていることがわかりました。
国税庁はインターネット上のプラットフォームを介して行う「シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引暗号資産(仮想通貨)等の取引を行っている個人」に対して、資料情報の収集・分析を積極的に行っているとのことです。
シェアリングエコノミー等新分野の経済活動とは、シェアリングビジネス・サービス、ネット広告(アフィリエイト等)、デジタルコンテンツ、ネット通販、ネットオークションその他新たな経済活動を総称した経済活動のことを示しています。

令和3事務年度においては、令和3事務年度においては、839 件の実地調査が行われ、前事務年度 639 件を上回っています。申告漏れ所得金額の総額は 116 億円1件当たりの追徴税額は 266 万円となっています。

また、今事務年度から暗号資産(仮装通貨)等取引についても独立して結果が公表されています。(前事務年度までは集計上、シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に含まれていました)
令和3事務年度においては444 件の実地調査が行われ、申告漏れ所得金額の総額は 162 億円1件当たりの追徴税額は 1,194 万円となっており、かなりの高水準であることがわかります。

国税はネット取引に弱いから税務調査はない、というのは今は昔の話なのかもしれませんね。

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富裕層への税務調査、より厳しく―令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

【ポイント】
「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、富裕層に対する調査で1件当たり申告漏れ所得金額、1件当たり追徴税額ともに過去最高になったことがわかりました。

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国税庁が、富裕層に対して、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に積極的に税務調査を行っていることがわかりました。
富裕層とは、有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な個人、海外投資等を積極的に行っている個人などが該当します。

令和3事務年度においては、富裕層向けの実地調査(特別・一般)2,227 件(前事務年度は2,158 件)が実施されました。
1件当たりの申告漏れ所得金額は、過去最高の 3,767 万円となっており、前事務年度の2,259 万円と比べても大幅にUP、所得税の実地調査(特別・一般)全体の 1,613 万円と比べても 2.3 倍となっています。
申告漏れ所得金額の総額 839 億円(前事務年度は 487 億円)に上ります。

1件当たりの追徴税額も、過去最高の 1,067 万円となり、前事務年度の543 万円の2倍近く、所得税の実地調査(特別・一般)全体の 323 万円に比べて3.3 倍となっています。また、追徴税額の総額は 238 億円(同 117 億円)に上ります。

特に、海外投資等を行っている「富裕層」に対しては、1件当たりの追徴税額2,953 万円で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の 323 万円に比べ 9.1 倍と高額となっています。
近年は、海外投資を行っている個人や海外資産を保有している個人などに対して、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などもチェックされています。
「海外だから日本の国税の目は届かない」というのは、昔のことになりつつあるのかもしれませんね。

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調査件数は減っているが追徴税額はコロナ前に近づく?!―最近の税務調査

【ポイント】
「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」の所得税の調査等の状況によると、実地調査の件数は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として低水準である一方で、追徴税額の総額は、新型コロナウイルス感染症影響前の金額に迫る結果となりました。

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国税庁が「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」を発表しました。令和3事務年度の特徴は次の通りです。

●実地調査件数は減少、簡易な接触の件数は増える
これによると、令和3事務年度(令和3年7月から翌年の6月末)の所得税の調査等の状況は、実地調査の件数は、特別調査・一般調査が2万4千件(前事務年度1万9千件)、着眼調査が7千件(同5千件)であり、合計3万1千件(同2万4千件)でした。
このほか、簡易な接触の件数は 56 万8千件(同 47 万8千件)で、調査等の合計件数は 60 万件(同 50 万2千件)となりました。
ちなみに申告漏れ等の非違があった件数 31 万7千件(同 27 万9千件)となっています。

コロナ前の平成30事務年度(平成30年7月から翌年6月末)は、特別調査・一般調査が5万件、着眼調査が2万3千件で合計7万3千件、簡易な接触の件数は 53 万7千件ですので、コロナ禍によって実地調査件数が約半数に落ち込んでいることがわかります。
反対に、簡易な接触(臨場せずに、文書や電話連絡、来所依頼に基づいた面接などで申告内容を是正するもの)の件数が増えているのも、コロナ禍の影響と言えるでしょう。

●追徴税額はコロナ禍前を上回る
実地調査による追徴税額は、804 億円(前事務年度 533 億円)、簡易な接触による追徴税額254 億円(同 199 億円)となっており、調査等合計では 1,058 億円(同 732 億円)でした。
これは、コロナ禍前の平成30事務年度の1,195 億円(調査等合計)に迫る金額となりました。

コロナ禍だから税務調査は全くない!ということはありません。備えあれば憂いなし、まずは適正申告・納税が基本ですね!

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売上げに関する帳簿 を作成・保存していない事業者の加算税―令和4年度税制改正

【ポイント】
帳簿を作成・保存する義務のある事業者が、売上げに関する帳簿を保存していなかったことや帳簿の売上げについての記載が不十分であったことが税務調査において把握された場合には、帳簿に記載すべき事項に関する申告漏れ等に対して通常課される過少申告加算税等 (過少申告加算税・無申告加算税) の割合が最大10%加重されます。

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令和4年度税制改正により、帳簿を作成・保存する義務のある事業者が、申告所得税、法人税・地方法人税、消費税の税務調査において、税務職員から「売上げ(業務に係る収入を含む)に関する調査に必要な帳簿」の提示等を求められ、かつ、次のいずれかに該当する場合には、帳簿に本来記載等をすべき事項に関する申告漏れ等に対して課される通常の過少申告加算税・無申告加算税(過少申告加算税等)の割合が 10%又は5%加重されることとなりました。詳しくは、次の通りです。

① 帳簿の提示等をしなかった場合
⇒ 過少申告加算税等の割合が 10%加重されます。

② 帳簿への売上金額の記載等が、本来記載等をすべき金額の半分未満だった場合
⇒ 過少申告加算税等の割合が 10%加重されます。

③ 帳簿への売上金額の記載等が、本来記載等をすべき金額の半分以上3分の2未満だった場合
⇒ 過少申告加算税等の割合が5%加重されます。

この規定は令和6年1月1日以後に法定申告期限等が到来する申告所得税・法人税・消費税について適用されます。(申告所得税については令和5年分の確定申告に対する修正申告等から対象です)


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