いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

経費

国への義援金とは

【質問】
以前、国や地方公共団体への義援金は全額寄付金控除の対象になると聞きました。
国に直接義援金を出す方法はあるのでしょうか?

【回答】
日本政府は、4月5日から「東日本大震災義援金政府窓口」を開設し、義援金の受付をはじめました。



 ご相談の方のように、直接政府や自治体に義援金を送りたい、という方もいらっしゃるかと思います。

 日本政府は、東日本大震災を受けての義援金の受付手続きを、4月5日からはじめました。
 義援金は、地方公共団体を通じて、被災者の方々へ届けられる、とのことです。

 通常払込み又は銀行振込の用紙に、住所、氏名、電話番号をご記入のうえ、お近くの金融機関(全国の銀行、信用金庫の本店又は支店、郵便局)から指定の口座に振り込む、という形になります。
 インターネットバンキングや携帯電話からの送金も可能です。
(口座名義はいずれの銀行も 「東日本大震災義援金政府窓口」 です)

 口座情報などは内閣府ホームページからご確認ください。
http://www.cao.go.jp/gienkin/

 なお、この義援金は「指定寄付金等」に該当するため、個人の方は所得税及び個人住民税の寄附金控除の対象となります。
 また、法人の場合は支払額の全額が損金に算入されます。

 寄附金控除を受ける場合、法人の場合は、以下の書類が必要になります。

1.金融機関の窓口での振込みをした時に受け取る振込金受取書(受領証)
2.金融機関のATMで振込みをした時に受け取る振込票
3.ゆうちょ銀行(郵便局)の窓口での通常払込みをした時に受け取る半券(受領証)
4.インターネットバンキングなどのパソコンによる振込みをした時に、振込日・寄附者・寄附金額・振込先が表示された確認画面をプリントしたもの
5.日本政府が発行する受領証書(携帯電話からの送金等で、受領証などが用意できない方)

 5の受領証書の発行を受けるためには、受領証書希望受付フォームの登録が必要です。

 パソコンからインターネット経由で登録をしてください。
(携帯電話には対応していないそうです^-^;)


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交通手段や通信手段の遮断又はライフラインの遮断などによる申告・納付等の期限延長について-被災地域が納税地以外の方へ

※本日は震災被害にかかる申告・納税につき、2つの記事をお送りいたします。

 2つめのニュースです。

 今般発生した東北地方太平洋沖地震の被害状況に鑑み、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県以外の地域が納税地、という納税者の方も、地震の影響により申告・納付等ができない方(以下のような事情がある方)は、申告・納付等の期限延長が認められます。

1 地震により納税者が家屋等に損害を受ける等の直接的な被災を受けたことにより申告等を行うことが困難

2 行方不明者の捜索活動、傷病者の救助活動などの緊急性を有する活動への対応が必要なことから申告等を行うことが困難

3 交通手段・通信手段の遮断や停電(計画停電を含む)などのライフラインの遮断により納税者又は関与税理士が申告等を行うことが困難

4 地震の影響で
A)納税者から預かった帳簿書類の滅失
又は
B)申告書作成に必要なデータの破損等
の理由で、税理士が関与先納税者の申告等を行うことが困難

5 税務署における業務制限(計画停電を含む)により相談等を受けられないことから申告等を行うことが困難

 状況が落ち着いた後、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」に必要事項を記載し、税務署に提出してください。
 申告等と併せてこの申請書を提出していただくこともできます。

 なお、上記の事情に該当しない場合であっても、今般発生した地震の影響により申告・納付等ができない方は、所轄税務署にご相談ください。

 ご不明な点は、所轄税務署または税理士に御相談ください。

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期中で役員給与を改定した場合の取扱い

 世間では「景気は緩やかな回復」などと言われていますが、中小企業経営者の方々の中には、いまだ景気回復を実感できない方も多いのではないでしょうか。

 中には、業績回復が思わしくなく、やむなく人件費を削っている、という企業もあるかもしれません。
 今日はそんな人件費のうち、役員給与を改定した場合のお話をいたします。


 もし期中で役員給与を減額した場合、原則としてその期に支払った役員給与の全額が損金にならないことも起こりえます。

 たとえば80万円の役員給与を7ヶ月支払った後、70万円に減額して5ヶ月支払ったような場合、80万円×7ヶ月+70万円×5ヶ月=910万円全額が損金不算入となり、法人税が課税されることになります。

 役員給与は、任意にあるいは随時に変更することについて、税務上、一定の制限がされる仕組みになっています。


 ただし、これにはいくつかの特例があります。

 まず、業績が著しく悪化したこと(その他これに類する理由を含む)により、役員給与を改定した場合は、たとえ期中で改定しても役員給与は全額損金として認められます。

 また、会計期間開始の日から3月を経過する日までに改定された場合も、全額損金として認められます。

 役員給与の支給額を定める時期が一般的に定時株主総会のときであることや、事業年度終了の日間近の改定を容認すると、利益の払い出しの性格を有する役員給与の増額改定を認めることにつながる等の理由から、この規定が定められています。

 以上が法人税法施行令に定められている特例です。

 この他、改定前に支給された金額と改定後に支給された金額の差額のみを損金不算入とする、という事例が、昨年12月に国税庁から発表された「役員給与に関する質疑応答事例」に書かれていました。

 たとえば80万円の役員給与を7ヶ月支払った後、70万円に減額して5ヶ月支払ったような場合、(80万円-70万円)×5ヶ月=50万円が損金不算入となる、ということです。


 この事例については、まだどの法令にも定められていません。
 おそらく今後は通達などで取扱い詳細について補完がされていくと思います。

 もし実際に施行されれば、資金繰り等がやや厳しめの企業にとって注目すべき改定になりそうです。
 今後の動きに要注意ですね。

まとめて台数分を購入したソフトウエアの税務処理

 来年の1月、マイクロソフトの新しいパソコン用基本ソフト(OS)であるWindows Vista(ウィンドウズ・ビスタ)が発売されます。

 実はWindows Vistaを利用するには、かなりの高性能パソコンが必要といわれており、現在販売されているパソコンでもWindows Vistaが利用できないかもしれないらしいのです。

 パソコンの買替えを考えているユーザーの中には、「Windows Vistaの登場を待つか」と悩んでいる方もいるかもしれませんね。


 ところで、パソコンのOSやソフトウエアがバージョンアップしたり、会社全体や部署全体のパソコンを買替えたりした場合、利用しているソフトウエアをすべて買替えなければならないケースがあります。

 今日はまとめて台数分購入したソフトウエアの税務処理についてのお話です。


 ソフトウエアの金額は、1本だけならば大した金額になりませんが、まとめて台数分となると大きな金額になることがあります。
 たとえば、1台あたり8万円のソフトウエアを10台分購入した場合、総費用は80万円になります。

 これは80万円のソフトウエアを購入したとみなされるのか、それとも1台分ずつ(8万円)で判定されるのかによって、税務上の取り扱いが変わってきます。

 もし、80万円のソフトウエアを購入したとみなされると、そのソフトは減価償却資産(無形固定資産)として5年(販売用なら3年)で償却しなければならなくなります。

 しかし、ソフトウエアの金額が8万円と判定されれば、「少額減価償却資産」(原則は取得価額10万円以下。中小企業の場合は30万円以下の特例あり)の特例を受けて、全額を当期の費用として処理することも可能になるからです。この場合、どちらになると思いますか?


 「少額減価償却資産」であるかどうかの判定は、通常1単位として取引される単位ごとに判定します。つまり、そのソフトウエアは1台分ずつで判定できます。

 もし、1台分の金額が8万円なら少額減価償却資産ですから、当期の必要費用として処理することが可能になります。

少額減価償却資産−(2) 「中小企業者の少額減価償却資産の特例」を選択する際の注意点

 今日は、少額減価償却資産のお話の2回目です。

 前回のお話で、資産の額によっては、いくつかの減価償却方法の中から有利なものを選べることをお話いたしました。

 今回は選ぶ際に気をつけなければいけないポイントをご紹介いたしましょう。


 前回ご説明のとおり、今年度税制改正では、「中小企業者の少額減価償却資産の特例」制度について年間300万円の上限が設定されました。

 この改正で注意しなければならないのは、単純に年間300万円を超えた金額が即時損金算入できなくなるということではなく、資産単位で判断されるということです。

 簡単な例を示すと、一台27万円の資産を20台購入した場合、27万円×11台分(297万円)までは即時に損金算入できますが、12台目以降の9台分(243万円)やその他の購入資産については年間300万の上限を超えてしまうので、通常の減価償却等を行うことになります。


 ところで、減価償却資産を購入した場合、償却方法として
A.通常の減価償却
B.3年均等償却(20万円未満の資産)
C.少額減価償却資産の即時損金算入(同10万円未満)
D.中小企業者の少額減価償却資産の特例(同30万円未満、年間300万円の上限あり)
の選択することになりますが、その選択により地方税(償却資産税)の取扱いが変わることは注意が必要です。


■償却資産税が課税される(A.とD.)
A.通常の減価償却、D.中小企業者の少額減価償却資産の特例
■償却資産税は課税されない(B.とC.)
B.3年均等償却、C.少額減価償却資産の即時損金算入


 中小企業者の少額減価償却資産の特例を選択した場合に償却資産税が課税されることに注意してください。

 これは地方税法において償却資産税の対象外となる少額資産の対象が「法人税法、または所得税法に規定されたもの」とされていることによるものです。
 中小企業者の少額減価償却資産の特例は租税特別措置法で規定されているため、償却資産税の対象となってしまうのです。

 中小企業者の少額減価償却資産の特例を選択した場合は、購入代金を即時損金算入するとともに、償却資産税申告のために通常の減価償却と同様にその資産についても償却資産申告に必要な管理を行う必要があります。