いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

令和5年度

1万円未満の課税仕入れのインボイスが不要?!―令和5年度税制改正の大綱

【ポイント】
令和5年度税制改正の大綱で、中小事業者については1万円未満の課税仕入れ(経費等)について、インボイスの保存がなくても帳簿の保存のみで仕入税額控除ができるようになる、いわゆる「少額特例」が盛り込まれました。
特例の対象者と特例の期間が限られているのでご注意ください。

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令和5年度税制改正の大綱に、いわゆる「少額特例」が盛り込まれました。
これは、消費税込み1万円未満の課税仕入れ(経費等)について、インボイスの保存がなくても帳簿の保存のみで仕入税額控除ができることを言います。

この少額特例の判定単位は、課税仕入れに係る1商品ごとの金額により判定するのではなく、一回の取引の合計額が1万円未満であるかどうかにより判定します。
例えば、消費税込み7,000円のA商品と8,000円のB商品を同時に買った(合計で消費税込み15,000円)場合、一回の取引額は15,000円になるため、少額特例は適用されません。

この特例が適用されるのは中小事業者に限られます。
中小事業者とは、原則として、基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間(個人事業者=前年1~6月までの期間、法人=前事業年度の開始の日以後6月の期間)における課税売上高が5,000万円以下の事業者のことを言います。

また少額特例は、適用期間が限られており、2023年10月1日から2029年9月30日までに行われた課税仕入れが対象となります。たとえ課税期間の途中であっても、2029年10月1日以後に行う課税仕入れについては、少額特例は適用されないので注意が必要です。

※税制改正の大綱は、令和5年度の税制改正の方向性を示すものです。実際には、法案成立後に決定となります。

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インボイス制度の「2割特例」③適用期間―令和5年度税制改正の大綱

【ポイント】
「2割特例」の適用期間は、2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属する各課税期間となります。ただし、2023年9月30日までの期間については2割特例の適用が受けられない点に注意が必要です。

2割特例の適用期間は、2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属する各課税期間となります。

例えば、免税事業者である個人事業者が2023年10月1日から登録を受ける場合には、2023(令和5)年分(10月~12月分のみ)の申告から2026(令和8)年分の申告までの計4回の申告が適用対象となります。

また3月決算の法人で、2023年10月1日から登録を受ける場合には、2023(令和5)年度(10~翌3月分のみ)の申告から、2026(令和8)年度の申告までの4回分の申告が特例の対象となります。
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(図の出典:「インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答」(財務省))

ただし、2割特例の適用期間開始はインボイス制度施行後の2023(令和5)年10月1日からであるため、インボイス制度の施行前の期間を含む申告については2割特例の適用を受けられない点に注意が必要です。
例えば、2022年中に課税事業者選択届出書を提出して免税事業者から課税事業者となり、2023年から課税事業者となった個人事業主の場合、2023年1月から9月までの期間については2割特例の対象外となるため、2023(令和5)年分については、2割特例が受けられません。
(2024(令和6)年分については、基準期間における課税売上高が1,000万円を超える等の事情がなければ2割特例を選択できます)

インボイス制度を見越して早めに動いたにも関わらず、特例の恩恵を受けられないのは明らかな不利と言えます。
そのため、2023(令和5)年分の申告について2割特例の適用を受けるかどうかを検討できるように、その課税期間中(この例の場合、法案の施行予定日である2023年4月1日から12月31日まで)に「課税事業者選択不適用届出書」を提出することで、その課税期間(令和5年分)から課税事業者選択届出書の効力を失効できることとされます。

この手続を行うことにより、2023(令和5)年1月~9月分の納税義務が改めて免除され、インボイス発行事業者として登録を受けた令和5年10月1日から12月31日までの期間について納税義務が生じることとなり、その期間について2割特例を適用することが可能となります。

※税制改正の大綱は、令和5年度の税制改正の方向性を示すものです。実際には、法案成立後に決定となります。

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インボイス制度の「2割特例」⓵どういう制度?―令和5年度税制改正の大綱

【ポイント】
令和5年度税制改正の大綱で、免税事業者からインボイス発行事業者になった場合、売上税額の2割を納税額とすることができる、いわゆる「2割特例」が盛り込まれました。



令和5年度税制改正の大綱には、インボイス制度において小規模事業者に対する納税額に係る負担軽減措置が盛り込まれました。その中の一つが、いわゆる「2割特例」と言われるものです。

2割特例とは、免税事業者からインボイス発行事業者になった場合の税負担・事務負担を軽減するため、売上税額の2割を納税額とすることができる、というものです。
消費税の申告を行うためには、通常、経費等の集計やインボイスの保存などが必要となりますが、この特例を適用すれば、所得税・法人税の申告で必要となる売上・収入を税率(8%/10%)ごとに把握するだけで簡単に申告書が作成できるため、事務負担も軽減されます。

具体例を示すと次のようなイメージです。

【具体例】
・売上700万円(税額70万円)※サービス業
・経費150万円(税額15万円)
の場合の納税額


⓵実額計算(本則課税)の納税額:
70万円-15万円=55万円

②簡易課税の納税額:
70万円-35万円(※)=35万円

③2割特例の納税額:
70万円×20%=14万円
(この具体例は「令和5年度税制改正大綱(第二)(抄)」より筆者一部改訂)

2割特例を受ける場合、事前の届出は不要です。申告書に適用するかどうかを記載する欄が設けられる予定ですので、申告書の該当欄にチェックを入れればOKです。原則課税、簡易課税いずれの方法でも、2割特例との選択適用が可能です。
また、2割特例の適用は毎年続ける必要はなく、決算期ごとに有利な方を選べば問題ありません。
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(図の出典:「令和5年度税制改正大綱(第二)(抄)」)

※税制改正の大綱は、令和5年度の税制改正の方向性を示すものです。実際には、法案成立後に決定となります。

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NISA大改正!③非課税期間が無期限に―令和5年度税制改正の大綱

【ポイント】
令和5年度税制改正の大綱によると、2024年からNISAの非課税期間が無期限になります。
これにより、NISAは年間投資360万円・総額1,800万円の非課税枠の範囲内であれば、いつ投資を始めても売却益非課税で投資ができることになります。

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令和5年度税制改正の大綱で最も注目されたトピックスの一つが、個人投資家の優遇制度「NISA」の抜本的な拡充・恒久化です。
2024年から始まる非常にインパクトのある改正で、大きく3つのポイント⓵生涯投資枠1800万円に拡大、②年間投資上限額が360万円に、③非課税期間が無期限に)があります。
今回は、③非課税期間が無期限に、についてお話しいたします。

これまでは一般NISAが5年、つみたてNISAが20年という期限の縛りがありました。
令和5年度税制改正の改正により、この期限の縛りが撤廃されることとなりました。
そのため「NISAは恒久化され、年360万円・総額1,800万円の非課税枠を守っていれば、いつ投資を始めても売却益非課税で投資ができる」という制度になります。
株式等の売却益については20%の譲渡所得税が課税されるのが原則であるため、NISAの制度は非常に有利な制度であると言えるでしょう。

ただし、現行の一般NISAをお持ちの方は、ロールオーバーの面で注意が必要です。
現行の一般NISAの場合、5年の非課税期間終了後は原則として特定口座に払い出されることになります。特定口座に払い出されたときの取得価額は、払い出されたときの時価になるため、払い出し時に時価が下がっていると、NISAを始めた頃の価格に戻ったとしても、その値上がり分は課税されてしまうことになります。
こうした不利益を防ぐために、非課税期間経過後、その商品を新たな非課税投資枠に移す「ロールオーバー」という制度があります。

非課税期間が無期限になることで、期限切れによる特定口座への移し替えが必要なくなります。もちろん、移し替えの際の時価の付け替えによる不利については考えなくてよくなります。
現行の一般NISAをお持ちの方は、5年間の非課税期間が終わった後、2024年から始まる新しいNISAへのロールオーバーができないため、順次特定口座に払い出すことになる点にご注意ください。

※税制改正の大綱は、令和5年度の税制改正の方向性を示すものです。実際には、法案成立後に決定となります。

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NISA大改正!②年間投資上限額が360万円に―令和5年度税制改正の大綱

【ポイント】
令和5年度税制改正の大綱によると、2024年からNISAの年間投資上限額が、つみたて投資枠年120万円、成長投資枠240万円の合計360万円になることが検討されています。また「投資し続けなければいけない」という縛りもないため、ライフスタイルにあわせてできる範囲で投資できる柔軟性があります。

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令和5年度税制改正の大綱で最も注目されたトピックスの一つが、個人投資家の優遇制度「NISA」の抜本的な拡充・恒久化です。
もともと、一般家庭の投資家の育成を目的として、一定の非課税枠内の投資であれば、その売却益を非課税(原則は20%の所得税が課税される)とする制度です。今回は、その一定の非課税枠の考え方のうち、年間投資上限額が360万円になった点についておはなしいたします。

これまでの一般NISAの年間投資上限額120万円、つみたてNISAの40万円から、年360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)に大幅に増額されます。
つまり、最速で5年間で生涯非課税枠1,800万円を使い切ることができる、という計算になります。
年間投資上限額が設けられている理由は、投資は早いうちに初めて長期間投資をしたほうが有利になりやすいので、もしも1,800万円の非課税枠を1年で使い切ることができるなら、年間で1,800万円もの大金を投資に回すことのできる富裕層に有利な制度となってしまい、一般家庭の投資家育成という制度の趣旨から外れてしまうからです。

なお、生涯非課税枠1,800万円のところでお話しした「売却による非課税枠の復活」は、年間投資上限には適用されません。(もし年間投資枠の投資枠が売却により復活してしまうと、短期間で売り買いを繰り返す方や富裕層に有利な制度になってしまいます)

単純計算では、年360万円ということは毎月最大30万円の投資を5年間続けると生涯非課税枠1,800万円の枠を満額で使い切るというイメージです。
しかしこれは、あくまでも上限額にすぎません。必ず5年で使い切る必要は全くありませんし、自分のペースでできる範囲で枠を使っていけば問題ありません。
また、金銭的余裕のある時は年200万円、育児や介護などで金銭的余裕のないときは投資しない、といった感じでライフスタイルに合わせて柔軟に投資できる制度であることも、実生活に則した改正ではないでしょうか。

※税制改正の大綱は、令和5年度の税制改正の方向性を示すものです。実際には、法案成立後に決定となります。

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