いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

個人

申告をしていない個人にも税務調査はある?!―令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

【ポイント】
「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、無申告者に対する税務調査で、所得税及び消費税ともに1件当たり追徴税額が過去最高になったことがわかりました。

221220

「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、所得税無申告者に対する実地調査3,828 件行われています。
1件当たりの申告漏れ所得金額は、2,923 万円で、所得税の実地調査全体の 1,613 万円に比べ 1.8 倍となっています。
1件当たりの追徴税額過去最高の497 万円で、所得税の実地調査全体の323 万円の 1.5 倍です。

消費税の無申告者に対する実地調査も、5,257 件実施され、1件当たりの追徴税額過去最高の 245 万円となっています。

申告納税制度を取っている所得税や消費税にとって、自発的に申告・納付している方から見ると、無申告はとても不公平に思えます。
そのため、国税庁は資料収集などを行い、的確かつ厳格に対応することを表明しています。
また、実地調査だけでなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正する「簡易な接触」による調査も積極的に行っているそうです。

自分は申告をしていないから税務調査なんて絶対に無関係!
というのは誤解です。申告が必要かどうか、迷ったときは税務署または税理士等の専門家までお問い合わせください。


いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

インターネット取引を行っている個人の税務調査―令和3事務年度 所得税及び消費税調査等

【ポイント】
「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、インターネット取引を行っている個人に対する税務調査を積極的に行っており、特に暗号資産(仮想通貨)等取引を行っている個人の調査に係る1件当たりの追徴税額は高水準であることがわかりました。

221227
「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、インターネット取引を行っている個人の税務調査に力を入れていることがわかりました。
国税庁はインターネット上のプラットフォームを介して行う「シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引暗号資産(仮想通貨)等の取引を行っている個人」に対して、資料情報の収集・分析を積極的に行っているとのことです。
シェアリングエコノミー等新分野の経済活動とは、シェアリングビジネス・サービス、ネット広告(アフィリエイト等)、デジタルコンテンツ、ネット通販、ネットオークションその他新たな経済活動を総称した経済活動のことを示しています。

令和3事務年度においては、令和3事務年度においては、839 件の実地調査が行われ、前事務年度 639 件を上回っています。申告漏れ所得金額の総額は 116 億円1件当たりの追徴税額は 266 万円となっています。

また、今事務年度から暗号資産(仮装通貨)等取引についても独立して結果が公表されています。(前事務年度までは集計上、シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に含まれていました)
令和3事務年度においては444 件の実地調査が行われ、申告漏れ所得金額の総額は 162 億円1件当たりの追徴税額は 1,194 万円となっており、かなりの高水準であることがわかります。

国税はネット取引に弱いから税務調査はない、というのは今は昔の話なのかもしれませんね。

いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

個人事業でも消費税の納税義務、あります!-こんな方はご用心-

【質問】
フリーランスで活動している者です。
個人なので消費税については関係ないと考えていいですよね?

【回答】
フリーランスなどの個人事業主であっても、消費税の課税事業者の要件に該当すれば、消費税等の申告・納税義務が発生します。


「個人への支払なので、消費税は関係ない」と考えている方は少なくありません。

しかし、実際のところ、次のいずれかに該当する個人事業者の方は、平成28 年分の消費税及び地方消費税(まとめて「消費税等」といいます)の確定申告が必要です。

(1)基準期間(平成26年分)の課税売上高が1,000万円を超える方
(2)基準期間(平成26年分)の課税売上高が1,000万円以下で、「消費税課税事業者選択届出書」を提出している方
(3)(1)、(2)に該当しない場合で、「特定期間」(平成28年分の場合は、平成27年1月1日から平成27年6月30日までの期間)の課税売上高が1,000万円を超える方(※)

(※)「特定期間」における1,000 万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額によることもできます。

大雑把に言うと、平成26年分の課税売上高(宅地の賃貸料など、課税売上高に含めないものもありますが、ざっくり「売上」の金額と考えてください)が1,000万円を超える方や、平成27年の上半期だけで課税売上高が1,000万円を超えてしまった方は、消費税の申告・納税等の手続きが必要になります。

特に、この年度だけ課税売上高が1,000万円を越えてしまい、ご本人が自覚しないままに消費税の申告・納税義務が発生していることがありますのでご注意ください。

逆に言うと、平成28年分の消費税等について、確定申告が必要な(1)から(3)の要件に当てはまらない方が、平成28年中に設備投資等たくさんの課税仕入(非常にざっくりになりますが「経費」や資産の購入等の支出と考えてください)を行い、消費税の確定申告をすれば消費税が戻ってくるような場合でも、平成27年12月末までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出していない方は、消費税の確定申告ができません。(当然、税金も戻ってきません

設備投資等、大きな支出をする際には消費税等の申告・納税を考えて、早めに手続きをしておくことも重要です。
個人に消費税は関係ない、なんてことはありませんよ!


いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

意外と知らない?!個人の実印について

【ポイント】
いわゆる「個人実印」は、住民票の登録がある市区町村で、基準を満たした印鑑を登録することができます。
別の市区町村へ転居した場合は、転入届の提出により住民登録をした後、転居後の市区町村で改めて印鑑の登録を行う必要があります。



いわゆる「個人実印」と呼ばれる印鑑は、住民票の登録がある市区町村で登録することができます。
登録した印鑑については「印鑑証明書」を発行することができ、この証明書をもって、印鑑が「登録されているもの」であることを担保します。

印鑑証明書には住所や生年月日等が記載されており、これは住民登録と紐づいています。
そのため、同一市区町村内で転居した場合は、自動的に印鑑証明書記載の住所も書き換わることとなりますが、別の市区町村へ転居した場合は、転入届の提出により住民登録をした後、転居後の市区町村で改めて印鑑の登録を行う必要があります。
(場合によっては転居前の市区町村にて「印鑑廃止」の手続きが必要となることもあります。)

印鑑登録については、1974年に当時の管轄省庁である自治省から「印鑑登録に関する通知」が出されています。
しかし、実際の運用は市区町村ごとに規則が設けられているため、全国統一の基準というのはない、というのが現状です。(とはいえ、旧自治省の通知に従って運用しているところが多いと思われますが・・・)

さて、気になるのが登録する印鑑について。
字体や形、サイズ等自由に選ぶことができますが、多くの市区町村で一応のルールとして、下記のような内容が定められています。

・既に他人に登録されているもの
・戸籍上の「氏名」「氏または名」「氏と名の一部の組み合わせ」以外の物
(他人の名前が表記された印鑑は登録できません。)
・戸籍上の氏名以外の記載があるもの(職業や誕生日等)
・英字や数字を使用しているもの
(住民登録をしている外国人の方も、印鑑はカタカナで作成する必要があります。)
・印影が不鮮明なもの
・印影が小さすぎる、または大きいすぎるもの
(基準は8mm四方に収まる=小さすぎる、25mm四方に収まらない=大きすぎる)
・変形・破損しやすい印鑑を使用しているもの(ゴム印等はNG)
・同一世帯の者と同じもしくはよく似たもの
・外枠がないもの
・4分の1以上印影が欠けているもの
・印影が陰刻されているもの(文字が白く浮かぶもの)

・・・と、意外と基準は多いです。
特に注意する点としては、まず、印鑑は大きすぎても小さすぎても登録をすることができませんので、サイズには注意が必要です。
また、いわゆる「白文」の印鑑(朱肉をつけて押したときに文字が白くなるもの)も、おしゃれですが登録できません
基準を満たしていたとしても、100円ショップの三文判のように大量生産されていて同一の陰影が多数存在すると思われるものは登録ができない可能性もあります。

なお、印鑑登録の対象年齢は15才以上で、これに満たない年齢の場合はたとえ保護者の同意があっても印鑑を登録することができません。

印鑑登録は大人のみに許されたもの?!なんですよ!


いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

(つぶやき)個人の確定申告、新提案?!

新年は、個人事業者の私にとり、仕事の年度開始の時期でもあります。


世間一般的なお正月が、仕事の上でも開始の時期であることは
私にとっては、わかりやすく、また生活サイクルに馴染みます。


とは言え、税理士業務はこの時期が繁忙期真っ最中。


出来れば、個人事業者の確定申告も決算月を選択制にすればよい、と
うっすら、ぼんやり考えてみたりします。


ただ、毎年の税制改正で個人事業者の決算月を
選択制にしよう、という提案はいまだかつて、ないように思います(笑)

これからも期待薄いかな、と思いますね。