いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

免税

消費税の「非課税」と「免税」、似て非なるポイント

【質問】
消費税の非課税と免税の違いを教えてください。

【回答】
その取引のために行った課税仕入れについて、仕入れ税額の控除を行うことができるかどうかが非課税と免税で取り扱いが異なります。



ざっくりと「消費税がかからない取引」というと、非課税取引、免税取引の2種類があります。
実はこの2つの取引には大きな違いがあります。

消費税は国内で消費される財貨やサービスに対して広く公平に負担を求める税金で、原則として国内におけるすべての取引が課税の対象となります。
しかし、国内取引であっても消費に負担を求める税としての性質上や社会政策的配慮から課税の対象としないこととされている取引があり、これを「非課税取引」といいます。
非課税取引の代表例として、土地や有価証券、商品券などの譲渡、預貯金や貸付金の利子、社会保険医療などの取引が該当します。

この非課税取引のほかにも、消費税が免除される「免税取引」があります。
免税取引の代表例は、商品の輸出や国際輸送、外国にある事業者に対するサービスの提供などのいわゆる輸出類似取引などです。(この場合には、輸出証明書を保管するなど、一定の要件を備えている必要があります)

どちらも「消費税がかからない取引」で同じように見えますが、非課税と免税の違いは、その取引のために行った課税仕入れについて仕入税額の控除を行うことができるかどうか、という点です。

非課税とされる取引には消費税が課税されないため、非課税取引のために行った課税仕入れについては、原則としてその仕入れに係る消費税額を控除することができません。

これに対して、免税とされる輸出や輸出類似取引は、課税資産の譲渡等に当たりますが、一定の要件が満たされる場合に、その売上げについて消費税が免除されるものです。
したがって、その輸出や輸出類似取引などの免税取引のために行った課税仕入れについては、原則として仕入れに係る消費税額を控除することができます。


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消費税の見直し!設立2期目は要注意。

【質問】
新しく事業を始め2期目になります。おかげ様で1期目がとても好調で、課税売上高が1,000万円を超えました。1期は基準期間がありませんので免税事業者だったのですが、やはり1,000万円を超えると免税は難しいのでしょうか‥。

【回答】
免税では扱われません。平成23年度に税制改正がありました。この改正によりどう変わったのかと言うと、基準期間(個人の場合は前々年のこと、法人の場合は前々事業年度のこと)の課税売上高が1千万円以下なら免税されていたのですが、特定期間(前事業年度開始の日から6ヶ月間のこと)の課税売上高が1,000万円を超えた場合、前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下であっても、消費税の納税義務は免除されないことになりました。

したがって1,000万円を超えた場合は、新設法人であっても設立2期目から課税事業者となるわけです。因みにこの改正は、平成25年1月1日以降に開始する事業年度から適用されておりますのでご注意ください。

課税事業者なのか免税事業者なのかを特定期間で判別するには、課税売上高か支払給与額のどちらか有利な方を判定基準として選択できます。
法人を設立するにあたり、事業年度の長さによって納税義務を免除される期間も異なってまいりますので、設立を検討されている場合やご不明な点等がございましたらご相談ください。

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消費税の納税義務の判定方法が変わります!

【質問】
会社を設立し、今年1月1日から第3期を迎えました。
第1期は売上が1,000万円を超えなかったので、第3期は消費税の免税事業者になるものと思っていたのですが、税理士から「今年から消費税の課税事業者になりますね」と言われてしまいました。
なぜでしょうか?

【回答】
平成25年1月1日以降開始事業年度では、これまでの要件に加え、前期の期首から6ヶ月間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、当期は課税事業者となります。


ご相談の方が疑問に思われるとおり、これまでは基準期間(原則として前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えると消費税の課税事業者となりました。

しかし、平成25年1月1日以降開始事業年度では、これまでの要件に加え、当課税期間(当期)の前事業年度開始の日から6ヶ月間(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間は課税事業者となります。
たとえ、前々事業年度に課税売上高がなかったとしても、前事業年度の課税売上高によっては当課税期間から課税事業者となる場合があります。

なお、課税売上高に代えて、特定期間の給与等支払額の合計額が1,000万円超であるかによって判定することもできます。給与等支払額とは、特定期間中に支払った所得税の課税対象とされる給与、賞与等の合計額です。(未払給与等は対象となりません)支払明細書の控えや源泉徴収簿から所得税の課税対象とされるものを合計して算出してください。

ご相談の方は設立3期目ということですね。決算の情報を見ていないので断定はできませんが、おそらく第2期で大幅に業績を伸ばし、特定期間の課税売上や給与等支払額が1,000万円を超えてしまったのではないでしょうか。

また、ご相談の方のような会社(一般法人)もあるかと思いますが、より注意が必要なのはNPO法人です。
NPO法人の場合には、今まで消費税の免税事業者であった法人が、指定管理や行政からの委託事業を受けて、急に課税売上が増加するという例が十分に考えられます。
4月から新しい事業年度が始まるNPO法人の方が多いかと思いますので、しっかりとした事前準備を行って下さい。


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翌年度消費税免税事業者になる場合の在庫

【質問】
諸事情により、当社は来期から消費税の免税事業者となります。
今期はかなりの赤字が出てしまい、法人税はゼロとなりましたが思ったより消費税が課税されてしまいました。
なぜこうなったのでしょうか?

【回答】
詳細は実際の決算書等を見てみなければわかりませんが、課税売上が基準以上である場合、消費税が課税されます。
また、翌期免税事業者になる納税者の在庫は、課税仕入れから除かなければならないという規定も、消費税納税額をプラスにしたのかもしれません。



 消費税の納付税額は、「課税期間ごとに売上げに対する税額から、仕入れに含まれる税額と保税地域からの引取りに係る税額との合計額を差し引いて」計算します。
 つまり、「売上のときに預かった消費税額」から、「仕入や経費の支払いなどの際(課税仕入)に支払った消費税額」を差し引いた金額が消費税の納付税額になる、ということです。

 この理屈で言うと、差し引く金額=「仕入や経費の支払いなどの際(課税仕入)に支払った消費税額」が大きければ大きいほど、消費税額が小さくなりますね。

 一見、赤字だと消費税を払わなくていいような気分になりますが、ほとんどの企業は消費税を納付することになります。

 その大きな要因の一つは、給与・賞与の存在です。
 従業員や役員の給与、従業員の賞与は、法人税法上、損金に算入される費用です。つまり、法人税を計算する上では課税所得をマイナスする働きがあります。
 ところが、給与や賞与は支払う際に消費税がかかりませんから、消費税の計算をする上では税額をマイナスする働きがありません。

 大雑把に言うと、「もし給与や賞与の金額がゼロだったとしても、やはり赤字になる」くらいの大赤字でない限り、原則論では消費税は支払うことになるのです。

 さらに、ご相談の方の場合はもう一つの事情がありそうです。
 それは、「翌期免税事業者になる納税者の在庫は、課税仕入から除く」という規定です。

 原則として、商品の仕入の際に支払った消費税額は消費税をマイナスする働きがあります。
 しかし、ご相談の方のように翌期が免税事業者になる場合、在庫の消費税はマイナスできなくなるのです。

 この論点、実はプロの税理士でもうっかり見落とすことのあるポイントです。ぜひご注意下さい。


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消費税の免税事業者の基準が変わる

【質問】
当社は消費税の免税事業者ですが、来年(平成25年1月1日)から免税事業者の基準が変わる、という話を聞きました。
新しい基準について教えて下さい。

【回答】
平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度については、基準期間の課税売上高が1000万円以下であっても「特定期間」の課税売上高が1000万円を超えた場合、当課税期間から消費税の課税事業者となります。(給与等支払額の合計額により判定することもできます)


 平成25年1月1日からの消費税免税事業者についての規定の前に、現行の消費税免税事業者について簡単にご説明いたします。

 現在、その課税期間の「基準期間における課税売上高」が1000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除されます。

 「基準期間における課税売上高」とは、
・個人事業者の場合は原則として前々年の課税売上高のことをいい、
・法人の場合は原則として前々事業年度の課税売上高のことをいいます。

 「課税売上高」とは、輸出などの免税取引を含め、返品、値引き、割戻しをした対価の返還等の金額を差し引いた額(税抜き)です。

(基準期間が1年でない法人の場合は、原則として1年相当に換算した金額により判定することとされています。
具体的には、基準期間中の課税売上高を、基準期間に含まれる事業年度の月数で割った額に12を掛けて計算した金額により判定します。)

 なお、基準期間において免税事業者であった場合には、その基準期間中の課税売上高には、消費税が含まれていませんから、基準期間の課税売上高を計算するときには税抜きの処理は行いません。

 新たに設立された法人については、設立1期目及び2期目の基準期間はありませんので、原則として納税義務が免除されます。

 しかし、基準期間のない事業年度であってもその事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1000万円以上である場合は、納税義務は免除されません。

 平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度については、基準期間の課税売上高が1000万円以下であっても「特定期間」の課税売上高が1000万円を超えた場合、当課税期間から課税事業者となります。

 「特定期間」とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間をいいます。

 課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。


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