いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

印紙税

世界最大の収入印紙「化粧紙印紙」

明治時代の初期、粗悪な生糸の輸出を取り締まるため、生糸に印紙制度を導入し、検査に合格した生糸には、その証として、生糸印紙が貼用されました。
この生糸印紙は大蔵省の作成・販売で、印紙税の一つです。

生糸は一定量にまとめて一束に梱包したり、さらに数束を一定量にまとめて梱包するなど、梱包の仕方が様々でした。
中でも「鉄砲造り」という梱包は、約34キログラムの生糸を梱包するやり方です。
この大量の生糸について、印紙を添付しようとすると3600枚も必要になるため、梱包本体にぐるりと巻き付けて添付を1回で済ませる「化粧紙印紙」(けしょうがみいんし)というものがあったそうです。
縦169ミリメートル、横467ミリメートルの大きさで、横の長さはA3の横の長さより長い!というもので、世界最大の印紙だそうです。
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※図は国税庁HPより拝借しました。

駐車場を借りたときの契約書、印紙税はどうなる?

【質問】
駐車場を借りたときの契約書に、印紙税は必要なのでしょうか?

【回答】
その賃貸借契約書が、駐車場という「施設の賃貸借」なのか、「土地の賃貸借」なのかによって印紙税の取り扱いが変わります。



印紙税の基本的な考え方として、建物や施設、物品などの賃貸借契約書には、印紙税がかかりません。
しかし、土地又は地上権の賃貸借契約書は、印紙税額一覧表の第1号の2文書に該当し、印紙税がかかります。

駐車場の賃貸借契約書を内容的に大きく分けると、駐車場という「施設の賃貸借」にあたる場合と「土地の賃貸借」に当たる場合があります。
どちらに該当するかによって、印紙税の取扱いが変わります。

(1)車庫を賃貸借する場合
車庫という「施設」の賃貸借契約書になるため、印紙税はかかりません。

(2)駐車場の一定の場所に駐車することの契約の場合
駐車場という「施設」の賃貸借契約書になるため、印紙税はかかりません。

(3)車の寄託(保管)契約の場合
この契約書は、車という物品を預かる寄託契約書ですから、印紙税はかかりません。

(4)駐車する場所としての土地を賃貸借する場合
駐車する場所として、いわゆる駐車場としての設備のない更地を賃貸借する場合の賃貸借契約書は、印紙税額の一覧表の第1号の2文書「土地の賃借権の設定に関する契約書」に該当し、印紙税がかかります。

なお、土地の賃貸借契約書の記載金額は、目的物の使用収益のための対価(いわゆる地代)ではなく、貸借権の設定のための対価、すなわち権利金、名義変更料、更新料等後日返還されることが予定されていないものの金額をいいます。
例えば、土地賃借権契約書で、その契約書に記載されている金額が月額地代のみであるような場合には、記載金額のない第1号の2文書となります。


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注文請書の印紙税、メール送信すればお得に?!

【質問】
注文請書(受注先に対して受注の意思を明示するために当社が作成する書面)をPDF化して電子メールで受注先に送れば、印紙税がかからないと聞きました。本当ですか?

【回答】
ご質問の注文請書を電子メールで受注先に送った場合、印紙税はかかりません。



ご質問の注文請書は、印紙税法上の「契約書」に該当するため、印紙税の課税文書となります。
それなのに印紙税がかからない、とはどういうことなのでしょうか?

結論から言うと、「課税文書が作成されていない」ために印紙税がかからないのです。
PDFで「作成」しているのになぜ?とさらに混乱されたかもしれませんね。

実は、印紙税法に規定する課税文書の「作成」とは、「単なる課税文書の調製行為」をいうのでなく、「課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう」ものとされ、課税文書の「作成の時」とは、ご相談のケースの場合は「交付の時」とされています。

つまり、注文請書の調製行為(PDF化)を行ったとしても注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書をPDF化して電子メールで送信したとしても、課税文書を「作成」したことにはならない、というのが印紙税法の考え方なのです。
印紙税の課税原因(課税文書の作成の時に課税)が発生していない以上、印紙税はかからないという理屈になります。
ファックス送信した場合も、おおむね電子メールと同様の考え方をします。

ただし、電子メールで送信した後に注文請書の現物を別途持参するなど、相手方に「交付」した場合には、課税文書を作成したことになります。
もちろん、現物の注文請書には印紙税が課されますのでご注意ください。

なお、契約の内容等によっては、電子メールでやり取りした契約そのものが有効かどうか、が争われる可能性などもありますので、詳しくは専門家にご確認ください。


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同じマイホームなのに契約書の印紙に違いが・・・

【質問】
長男と長女がそれぞれにマイホームを手に入れたようです。
マイホーム購入資金の援助をしたのですが、マイホームの契約書を見てふと疑問に思いました。
長男の契約書には印紙が貼られておらず、長女の契約書には印紙が貼られていました。
長男の契約書には何か不備があるのでしょうか?

【回答】
建売住宅の供給(不動産の譲渡契約書)の場合は不課税文書となりますが、請負契約に基づく家屋の建築は課税文書となります。



印紙税でよく問題になるのが、その契約の文書が請負契約か、売買契約か、という点です。

請負契約だと2号文書または7号文書という扱いになり、印紙税がかかります。
一方で物品の売買契約ならば、継続する売買契約で第7号文書になるものを除き、不課税文書になります。

契約書を拝見しておりませんのであくまでも推測になりますが、一般的に建売住宅の場合は不動産の譲渡契約書を取り交わすこととなり、これは売買契約と認められます。
そのため、契約書に印紙税はかかりません。

いわゆる注文住宅で、家屋の建築に関する請負契約を結んだ場合、この文書は一般的に「2号文書」という扱いになり、印紙税がかかります。

請負契約か、売買契約か、の判別については、基本通達で一定の基準が示されています。

【請負契約に該当すると認められるもの】
●注文者の指示に基づき一定の仕様又は規格等に従い、製作者の労務によって工作物を建設することを内容とするもの
(具体例)家屋の建築、道路の建設、橋りょうの架設・・・など

●注文者が材料の全部又は主要部分を提供(有償、無償を問わない。)し、製作者がこれによって一定物品を製作することを内容としたもの
(具体例)生地提供の洋服の仕立て、材料支給による物品の製作・・・など

●製作者の材料を用いて注文者の設計又は指示した規格等に従い一定物品を製作することを内容とするもの
(具体例)船舶・車両・機械・家具等の製作、洋服等の仕立て・・・など

●一定物品を一定の場所に取り付けることによって所有権を移転することを内容とするもの
(具体例)大型機械の取り付け・・・など

●修理又は加工を内容とするもの
(具体例)建築・機械の修繕、塗装・・・など

【売買契約に該当すると認められるもの】
●一定物品を一定の場所に取り付けることによって所有権を移転することを内容とするものであるが、取付行為が簡単であって、特別の技術を要しないもの
(具体例)テレビを購入した時のアンテナの取付けや配線・・・など

●製作者が工作物をあらかじめ一定の規格で統一し、これにそれぞれの価格を付して注文を受け、当該規格に従い、工作物を製作し、供給することを内容とするもの
(具体例)建売住宅の供給(不動産の譲渡契約書)・・・など

●あらかじめ一定の規格で統一された物品を、注文に応じ製作者の材料を用いて製作し、供給することを内容とするもの
(具体例)カタログ又は見本による機械、家具等の製作・・・など


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消費税増税に伴う契約金額の変更文書の印紙税(1)

【質問】
取引先との相談によって、消費税増税に伴って、増税分だけを
請負契約書には「当初の請負金額1,050万円(うち消費税額等50万円)を1,080万円(うち消費税額等80万円)に変更する」と記載したのですが、印紙税はいくらになるのでしょうか?

【回答】
記載金額のない2号文書として200円の印紙税が課されます。



前回、請負契約で消費税増税分の値上げをする場合、文書の作り方によって印紙税が変わってくることをご紹介いたしました。
そのポイントは、記載金額によって印紙税額が変わる、というものです。

では、ご相談の方のように、請負契約書において「当初の請負金額1,050万円(うち消費税額等50万円)を1,080万円(うち消費税額等80万円)に変更する」と記載した文書はどのような扱いになるのでしょうか。

この文章は、新たに課される消費税等相当額のみを増額するための契約書の契約金額を変更するものなので、「記載金額のない2号文章」になります。

そのため、印紙税額は200円となります。


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