いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

少額減価償却資産

少額の減価償却資産等の取得価額の損金算入の特例(資産の範囲)―令和4年度税制改正

【ポイント】
令和4年度の税制改正で、少額の減価償却資産等の取得価額の損金算入制度等の対象資産から、貸付(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産を除くことが決まりました。

220510
法人が取得し、事業の用に供した少額減価償却資産等については、現在、
①取得価額10万円未満の減価償却資産については、供用年度において全額損金算入できる
②取得価額20万円未満の減価償却資産については、3年間で均等償却
③中小企業者等が取得した30万円未満の減価償却資産については、合計300万円までを限度に、全額損金算入できる(2024年3月31日までの適用期限延長)

といった特例があります。

しかし、当期の利益を圧縮する目的で、自らが行う事業で使用しない少額な資産を大量に取得し、その取得した資産を貸し付けの用に供する事業者が多数現れました。
特例制度を利用して、大量取得した少額減価償却資産を全額当期の損金に算入し、賃貸料や売却益を当期以降複数の年度の益金に算入することにより、損金と益金の計上時期の相違を利用した節税スキームです。
税務調査の現場でも、ドローンや建築用足場など、1つ当たりの取得価額が10万円未満の少額減価償却資産を大量に取得後、即時償却を行い、その資産を他社に貸し出すケースが多数見受けられたといいます。

今回の改正では、このようなスキームに対処するため、少額減価償却資産等の取得価額の損金算入の特例の対象となる資産から、貸付(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産を除くこととされました。

いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(期限延長)―令和4年度税制改正

【ポイント】
令和4年度の税制改正で、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、適用期限の2年延長が盛り込まれました。

220503

少額減価償却資産について、法人規模や適用期限が決まっているものがあります。
いわゆる「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」です。
この特例は、中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合には、合計300万円までを限度に、全額損金算入することができる、というもので、中小企業者等の方にはおなじみの特例です。

この特例について、適用期限が2年間延長され、2024年3月31日までに取得した減価償却資産が対象となります。
中小企業者にとっては使い勝手の良い特例の延長ですので、歓迎ですね!

いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

30万円未満の減価償却資産、一括償却できるのは一時的なものだった?!

【ポイント】
一定の中小企業者等が1件30万円未満の減価償却資産(いわゆる少額減価償却資産)を取得した場合に、一定の要件のもとに全額を損金に算入できる特例制度の適用期限が、平成32年3月31日まで2年間延長されました。(所得税も同様)

180424少額減価償却資産
いわゆる「少額減価償却資産」の特例とは、従業員1,000人以下の中小企業者等が、1件30万円未満の減価償却資産(いわゆる少額減価償却資産)を取得した場合に、当該減価償却資産の合計額300万円を限度として全額を損金に算入することができる制度です。
かなり使い勝手がよいため、この制度のお世話になった方はかなり多いように感じます。

当たり前のように使っていた制度かもしれませんが、実はこの制度、期限付きの特例措置という扱いに変わりはありません。
平成30年度の税制改正で、適用期限が平成32年3月31日までの2年間、延長されました。所得税についても同様の扱いとなります。

この制度が特例、ということは「本則」もあります。
全ての企業に対して適用される「本則」は以下の通りですのでご注意ください。

●取得価額10万円未満・・・全額損金算入(即時償却)
●取得価額20万円未満・・・3年間で均等償却(3年間で毎年1/3ずつ損金算入できる)
●それ以外・・・通常の減価償却を行なう


いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

30万円未満の備品類は一括償却OKの「少額減価償却資産特例」の今

【質問】
取得価額30万円未満の備品類を買ったときに、一定要件を満たしていれば全額費用にできる制度は今年度(平成28年3月31日)で終わりなのでしょうか?

【回答】
平成28年度の税制改正で、少額減価償却資産特例は2年延長されることとなりました。
ただし、この特例の適用対象にも改正が入りましたのでご注意ください。


ご相談の方がおっしゃっているのは「中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成18年4月1日から平成28年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができる」という、いわゆる「少額減価償却資産特例」といわれるものです。

この「少額減価償却資産特例」は、平成28年度の税制改正で適用期限が2年、延長されることが決まりました。
マイナンバー制度への対応のために必要となるパソコンやデータ管理システムなどの少額減価償却資産にこの制度を適用できるように、という狙いがあるようです。

ただし、「中小企業者等」の範囲が少し変わります。

これまで「中小企業者等」とは、原則として「資本金または出資金の額が1億円以下の法人」とされてきましたが、改正後は「資本金または出資金の額が1億円以下の法人かつ、常時使用する従業員が1,000人以下の法人」という条件が加えられました。

なお、購入した備品類を「少額減価償却資産特例」により一括で損金算入できる、というのはあくまでも法人税法上の話です。
固定資産税法上は、原則として課税標準の計算に含める必要がありますので、資産台帳の整備などにご注意ください。


いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

少額減価償却資産−(2) 「中小企業者の少額減価償却資産の特例」を選択する際の注意点

 今日は、少額減価償却資産のお話の2回目です。

 前回のお話で、資産の額によっては、いくつかの減価償却方法の中から有利なものを選べることをお話いたしました。

 今回は選ぶ際に気をつけなければいけないポイントをご紹介いたしましょう。


 前回ご説明のとおり、今年度税制改正では、「中小企業者の少額減価償却資産の特例」制度について年間300万円の上限が設定されました。

 この改正で注意しなければならないのは、単純に年間300万円を超えた金額が即時損金算入できなくなるということではなく、資産単位で判断されるということです。

 簡単な例を示すと、一台27万円の資産を20台購入した場合、27万円×11台分(297万円)までは即時に損金算入できますが、12台目以降の9台分(243万円)やその他の購入資産については年間300万の上限を超えてしまうので、通常の減価償却等を行うことになります。


 ところで、減価償却資産を購入した場合、償却方法として
A.通常の減価償却
B.3年均等償却(20万円未満の資産)
C.少額減価償却資産の即時損金算入(同10万円未満)
D.中小企業者の少額減価償却資産の特例(同30万円未満、年間300万円の上限あり)
の選択することになりますが、その選択により地方税(償却資産税)の取扱いが変わることは注意が必要です。


■償却資産税が課税される(A.とD.)
A.通常の減価償却、D.中小企業者の少額減価償却資産の特例
■償却資産税は課税されない(B.とC.)
B.3年均等償却、C.少額減価償却資産の即時損金算入


 中小企業者の少額減価償却資産の特例を選択した場合に償却資産税が課税されることに注意してください。

 これは地方税法において償却資産税の対象外となる少額資産の対象が「法人税法、または所得税法に規定されたもの」とされていることによるものです。
 中小企業者の少額減価償却資産の特例は租税特別措置法で規定されているため、償却資産税の対象となってしまうのです。

 中小企業者の少額減価償却資産の特例を選択した場合は、購入代金を即時損金算入するとともに、償却資産税申告のために通常の減価償却と同様にその資産についても償却資産申告に必要な管理を行う必要があります。