いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

必要経費

会社員でも必要経費がある?!給与所得者の特定支出控除

【質問】
会社員でも、必要経費が認められる場合があると聞きましたが、どんなときに認められるのでしょうか?

【回答】
会社員等の給与所得者が「特定支出」をした場合、その年の特定支出の額の合計額が「その年中の給与所得控除額×1/2」を超えるときに、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度(給与所得者の特定支出控除)があります。


会社員の方にはあまりなじみのない「必要経費」ですが、実は一定の要件を満たせば、給与所得控除後の所得金額から「一部の必要経費」のようなもの(正確に言うと「一部の特定支出」をマイナスすることができます。
これが「給与所得者の特定支出控除」です。

「給与所得者の特定支出控除」とは、会社員等の給与所得者が「特定支出」をした場合、その年の特定支出の額の合計額「その年中の給与所得控除額×1/2」(平成28年分以降。それ以前の場合は別の計算になります)を超えるときは、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度のことをいいます。

「特定支出」とは、会社等から補填を受けずに自腹で支払った通勤費や研修費など一定の費用のことをいいます。イメージ的には、会社等での職務上、必要な経費のようなものになりますが、詳しくは次回、説明いたします。
ちなみに給与所得控除額は以下のように計算します。
180213給与所得控除額
ざっくり言うと「年間給与額(額面)が162.5万円までの人は、自腹で支払った通勤費等の特定支出が32.5万円以上」(給与額が上がると、特定支出の下限額は上がります)というイメージです。

たとえば、年間給与額(額面)が500万円の人の場合、
給与所得控除額は500万円×20%+54万円=154万円となり、特定支出控除を受けるためには154万円×1/2=77万円以上の特定支出をした場合に限られる、ということになります。

数十万円単位で、職務上、必要な経費を自腹で負担したかも・・・という方は、制度を使うことを検討するとよいかもしれませんね。


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自宅兼事務所の家賃が必要経費にならない?!

【質問】
自宅の一部を事務所として利用していますが、事務所として使っている部分の家賃を経費として計上できないという話を聞きました。
具体的にどういうことなのでしょうか?

【回答】
自宅の一部を事務所としている場合でも事業の遂行上必要であり、明らかに区分出来れば必要経費として認められます。
一方で、平成25年10月17日、自宅で保険代理店を営む納税者が支払う家賃を必要経費として認めない東京地裁の判決が出ました。



 保険代理店やネットビジネスなど、事務所を構えなくてもできる個人ビジネスはけっこうあります。
 その場合、自宅の一部を事務所としていることも多いと思います。

 このような場合に、事務所スペースに対応する家賃や建物の減価償却費、あるいは水道光熱費等を必要経費として計上することの是非が問われる裁判の判決に注目が集まっています。

 平成25年10月17日の東京地裁判決で争われたのは、生命保険の代理店業務を営む方のケースでした。
 月17万円で賃借していた住宅で、1階はビジネス専用の集会場、2階の洋室のうち1部屋は業務専用スペースとして、そられの面積に対応する家賃を必要経費としていました。

 これを必要経費に算入することが認められるかが争われた裁判において、裁判所は
「本件住宅について、全体として居住の用に供されるべき3LDKの2階建て住宅であり、その構造上、本件住宅の一部を居住用部分と事業用部分とに明確に区分することができる状態にないことは明らかであると指摘」
したそうです。

 また、「リビングなどを業務専用スペースとして常時使用し、それ以外の用向きには使用していなかったとは考えられないと指摘している」とされています。

 そのうえで、「本件住宅のうちのリビングなどが業務専用スペースとして使用されたいたことを前提に、その面積に対応する家賃を業務の遂行上必要なものとして必要経費に算入することはできない」と必要経費性を否定しています。

所得税では、「家事関連費が必要経費として認められるには、その主たる部分が事業の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することが出来る場合に限られる」という定めがあります。

 この定めがあるからには、自宅の一部を事務所としている場合でも事業の遂行上必要であり、明らかに区分出来れば必要経費として認められるわけですが、適用するには十分な注意が必要となりそうです。


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修繕積立金はいつ必要経費になるか?

【質問】
昨年、賃貸の用に供するためにマンションの1室を購入しました。
購入した直後から、管理規約に従い、管理組合に対し修繕積立金を毎月支払っています。
確定申告で不動産所得を計算しなければならないのですが、この修繕積立金は必要経費になるのでしょうか?

【回答】
原則として、実際に修繕等が行われその修繕等が完了した日の属する年分の必要経費になりますが、一定の要件を満たす場合には、支払期日の属する年分の必要経費に算入して差し支えありません。



 修繕積立金は、マンションの共用部分について行う将来の大規模修繕等の費用の額に充てられるために長期間にわたって計画的に積み立てられるものです。
 ですから、実際に修繕等が行われていないのであれば、具体的な「給付をすべき原因となる事実」が発生していないことになります。

 その場合、管理組合への支払期日の属する年分の必要経費には算入されず、実際に修繕等が行われ、その費用の額に充てられた部分の金額について、その修繕等が完了した日の属する年分の必要経費に算入されることになります。

 とはいうものの、修繕積立金は区分所有者となった時点で、管理組合へ義務的に納付しなければならないものであるとともに、管理規約において、納入した修繕積立金は、管理組合が解散しない限り区分所有者へ返還しないこととしているのが一般的です。

 そこで、修繕積立金の支払がマンション標準管理規約に沿った適正な管理規約に従い、次の事実関係の下で行われている場合には、その修繕積立金について、その支払期日の属する年分の必要経費に算入しても差し支えないものと考えられます。

(1)区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること
(2)管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと
(3)修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと
(4)修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること

 したがって、ご相談の方が支払った修繕積立金は、原則として実際に修繕等が行われ、その修繕等が完了した日の属する年分の必要経費になりますが、上記(1)ないし(4)のいずれの要件も満たす場合には、支払期日の属する年分の必要経費に算入して差し支えありません。


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