いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

改正

住宅ローン控除の見直し―令和4年度税制改正

【ポイント】
令和4年度税制改正で、住宅ローン控除について控除率、控除期間を見直すとともに、環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置等が講じられます。

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令和4年度税制改正で、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の見直しが行われました。
2022年1月1日以降に住宅の取得や居住を開始した方の住宅ローン減税について、主に次のような改正が行われています。

・2025年12月末までの入居者を対象とするとともに、省エネ性能等の高い認定住宅等につき、新築住宅等・既存住宅ともに、借入限度額の上乗せが行われます。
控除率は0.7%に引き下げ(改正前の控除率は1%)
所得要件は2,000万円以下に引き下げ(改正前は3,000万円以下)
・新築住宅等について、控除期間を13年とする。また、2023年以前に建築確認を受けた新築住宅について、合計所得金額1,000万円以下の者に限り、40㎡以上の住宅を控除対象とします。

そもそも住宅ローン控除は、住宅ローンを借りる際に支払う金利負担を軽減するために設けられた減税制度です。40年ほど前から始まりましたが、社会情勢にあわせて何度も改正が繰り返されてきました。
2017年に住宅ローン控除の適用を開始した納税者約1,700人について調べたところ、実際に78%の人が1%を下回る借入金利で、住宅ローンを借りていたことがわかりました。
このような場合には、毎年の住宅ローン減税による税金の控除額が、ローンの支払額を上回ることになります。このような状況だと、住宅ローンを組む必要がないのに借り入れをしたり、住宅ローン控除の適用期間が終了するまでローンの繰り上げ返済をしない動機づけになる可能性が指摘されていました。

今回の改正は、こうした社会情勢を踏まえて控除率の引き下げなどが行われたものと言えるでしょう。

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税込み価格で契約した事務所家賃、消費税アップ後は?

【質問】
ある法人に事務所を賃貸している者です。この法人とは、不動産の賃貸料につき、税込み価格で契約しております。2019年10月1日以後、消費税率が引き上げられた後は、賃貸料としていくらを請求すればよいでしょうか?

【回答】
消費税率引き上げ後は、引き上げ分を上乗せして請求することになります。

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事務所の家賃などを消費税込みの価格で契約している方も少なくないかと思います。
こうした場合、契約書通りの金額(旧税率)で請求するのか、引き上げ後の税率を適用して請求すればよいのか、迷うところです。

結論的には、消費税率引き上げ後は、引き上げ分を上乗せして請求することになります。

なお、万一、借り手に「税込で契約しているから、契約金額通りの金額しか支払わない」と言われた場合、「買いたたき」(通常支払われる対価に比べて対価の額を低く定めることにより、消費税の転嫁を拒否すること)に該当するとされ、借り手側に公正取引委員会等による調査が行われ、転嫁拒否による不利益の回復など必要な指導が行われることがあります。
重大な転嫁拒否等の行為を行った事業者については、公正取引委員会が勧告を行い、事業者名等を公表します。


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個人の消費税確定申告、みなし仕入率変更にご注意ください!

【ポイント】
個人事業主の平成28年分の消費税の確定申告にあたり、簡易課税制度のみなし仕入率が変更になった業種がありますのでご注意ください。



この時期に「確定申告」といえば、個人の所得税等の確定申告を思い浮かべる方が多いかと思います。
しかし、いわゆる「個人の確定申告」は所得税だけではありません。消費税、贈与税など、3月をめどに提出期限がくるものがいくつかあります。

意外に思われるかもしれませんが、個人でも要件を満たした方には消費税の申告・納税義務があります。(個人だから消費税は関係ない、というのは誤解です!)
今日は、個人の消費税の確定申告関連で、平成28年分の申告から適用される簡易課税制度のみなし仕入れ率の改正についてお話しいたします。

簡易課税制度のみなし仕入率は、以下のように改正されています。

●金融業及び保険業が、第四種事業から第五種事業へ(みなし仕入率60%から50%へ)
●不動産業が第五種事業から新たに設けられた第六種事業へ(みなし仕入率50%から40%へ)


この改正は、原則として、個人事業者については、平成28年分から適用されます。(法人の場合は平成27年4月1日以後に開始する課税期間から)

ただし、「消費税簡易課税制度選択届出書」を平成26年9月30日までに提出しており、これにより平成27年分から簡易課税制度を選択した個人事業者については、経過措置により、改正前のみなし仕入率が適用されます。

簡易課税制度を適用している該当業種の個人事業主の方はご注意ください。


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契約書、領収書等にかかるスキャナー保存制度が使いやすく?!(2)

【ポイント】
国税関係書類に係るスキャナー保存制度について、平成28年9月30日以後に行う承認申請から、受領者等が読み取りを行う場合の手続きの整備、相互けんせい要件に係る小規模事業者の特例が適用されます。



国税関係書類(契約書、領収書等)に係るスキャナー保存制度について、平成28年9月30日以後に行う承認申請から、次のような改正がされました。

(1)読み取り装置に係る要件の緩和
(2)受領者等が読み取りを行う場合の手続きの整備
(3)相互けんせい要件に係る小規模事業者の特例


今日は(2)と(3)についてお話しいたします。

(2)については、具体的に以下の点が改正のポイントとなります。

(イ)国税関係書類の作成又は受領後、受領者等が署名を行った上で、特に速やか(具体的には3日以内)にタイムスタンプを付す

(ロ)A4以下の大きさの国税関係書類については、大きさに関する情報の保存を要しない

(ハ)相互けんせい要件について、受領者等以外の者が記録事項の確認(必要に応じて原本の提出を求めることを含む)を行うこととすることで足りる

(3)は、小規模企業者は、いわゆる「適正事務処理要件」について、税務代理人が定期的な検査を行うことによって、相互けんせい要件を不要とすることができるようになった、ということです。

(2)の(ハ)と(3)について少し詳しく説明いたします。
平成27年度に行われた改正で、適正な事務処理の実施を担保するための措置として「適正事務処理要件」が新たに追加されました。
この「適正事務処理要件」に国税関係書類の作成または受領からスキャナーでの読み取りまでの各事務について、「相互けんせい」、「定期検査」及び「再発防止」に掲げる事項に関する規程が定められています。

これまで、「相互けんせい要件」及び「定期検査要件」を満たすためには最低でも3名の人員が必要でした。
「事業者」が国税関係書類を受領する場合、領収書をスキャナーで読み取り紙の原本書類と同等であることを確認した後にタイムスタンプを付与するまでの事務を「外部の者」に委託し、定期的な検査については「顧問税理士」に依頼するなどの措置が必要でした。)

東京国税局 電話相談センターによると、今回の改正により、たとえば経理部で領収書を受け取った場合、スキャナー等の担当者紙の原本書類と同等であることを確認する担当者別々にいれば、経理部内でタイムスタンプを付与するまでの事務を行うことができるようになりました。(これが(2)(ハ)の改正です)

また、今回の改正では、小規模企業者の場合、定期検査を顧問税理士等に依頼すれば「相互けんせい要件」を不要とすることができるようになりました。(これが(3)の改正です)

ざっくり言うと、たとえば社長一人の会社(または小規模事業者)などで国税関係書類を受領した場合、定期的な検査のみを「顧問税理士」に依頼すれば、社長がスキャナーで読み取り、紙の原本書類と同等であることを確認してタイムスタンプを付与してもかまわない、ということです。


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方針大転換?!会社員の源泉徴収票にマイナンバーの記載不要に!

【ポイント】
平成27年10月2日に行われた改正により、マイナンバー制度が開始後の平成28年1月以降も、給与などの支払を受ける方に交付する源泉徴収票など一定の書類への個人番号の記載は行わないこととされました。



平成27年10月2日に行われた所得税法施行規則等の改正により、マイナンバー制度が始まった後の平成28年1月以降も、「給与などの支払を受ける方に交付する源泉徴収票などへの個人番号の記載は行わないこと」(=ざっくり言うと、会社員の源泉徴収票等にマイナンバーの記載は行わないこと)とされました。

ちなみに、この改正前は、支払を受ける方に対して交付する源泉徴収票などについて、本人等の個人番号を記載して交付しなければならないこととされていました。制度開始直前ですが、180度方針が転換されたことになります。
これによって、従業員に対しては、交付する源泉徴収票に個人番号が記載されないため、番号法施行後においても、従来と取扱いは変わらないことを説明する必要が出てきましたのでご注意下さい。

それにしても、なぜ従業員に交付する源泉徴収票に個人番号を記載しないことになったのでしょうか。

国税庁では、「本人交付が義務付けられている源泉徴収票などに個人番号を記載することにより、その交付の際に個人情報の漏えい又は滅失等の防止のための措置を講ずる必要が生じ、従来よりもコストを要することになることや、郵便事故等による情報流出のリスクが高まるといった声に配慮した」と回答しています。

ちなみに、個人番号が記載不要となる税務関係書類は、以下のものです。
<個人番号の記載が不要となる税務関係書類>
※給与などの支払を受ける方に交付するものに限ります。
・給与所得の源泉徴収票
・退職所得の源泉徴収票
・公的年金等の源泉徴収票
・配当等とみなす金額に関する支払通知書
・オープン型証券投資信託収益の分配の支払通知書
・上場株式配当等の支払に関する通知書
・特定口座年間取引報告書
・未成年者口座(いわゆるジュニアNISA)年間取引報告書
=平成28年1月施行予定
・特定割引債の償還金の支払通知書=平成28年1月施行予定

なお、税務署に提出する源泉徴収票などには、引き続き個人番号の記載が必要ですので、こちらもご注意下さい。


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