いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

決算

深い理由はないけれど3月決算・・・はやめましょう!

【ポイント】
売上の季節変動が大きい商売、お金に余裕がない月の2ヶ月前決算期、繁忙期と決算期が重なっている場合などは、決算期の設定を慎重に行い、場合によっては決算期の見直しも視野に入れてください。



法人を設立して、考えなければいけないことの一つが「決算期」です。
この「決算期」、あまり深く考えずに「決算といえば3月でしょ?」「なんとなく年末じゃない?」と適当に決めたが故に、その後苦労することもあります。

業態や資金繰りの都合によって、オススメ(&オススメできない)決算期があるので、心当たりの方はチェックしてください!

●売上の季節変動が大きい商売の決算期
スキー場や海水浴場などがわかりやすい例になりますが、売上に季節変動がある業種の場合、決算期は売上が上がる月を避けるのがベターです。

売上が上がる月は利益の予測が立てにくく、予想を上回る売上により利益が急増したり、予想を下回る売上で赤字になったり、資金繰りも立てにくくなります
売上に季節変動がある業種の場合、売上が上がる月が期首から事業年度の真ん中あたりにあると、事業計画も資金繰りも立てやすくなります。

●お金に余裕がない月の2ヶ月前の決算期は避ける!
資金繰りの事を考えると、お金に余裕がない月の2ヶ月前の決算期は避けたほうがよいでしょう。
決算から2ヶ月後には、決算の申告期限とともに、法人税・消費税などの納付期限がやってくるため、この時期は、通常業務よりも多くのキャッシュが必要になります。

特に、従業員にボーナスを支払う月、納期の特例を受けている場合の7月や1月(源泉税の支払があるため)、売掛金の回収が少ない月、仕入れの支払いが多い月などは、ただでさえ通常より多くのキャッシュが必要となるため、注意が必要です。

●繁忙期と決算月が重なっている場合は決算期変更も視野に!
決算月から申告月にかけては、通常の会計業務に加え、決算業務が必要となります。
特に、商品数が多い小売や卸売りなどの業種は、商品などの在庫を数える「棚卸」作業にかなりの時間が取られます。
決算業務に手を取られ、本業に影響を及ぼすことがないように、繁忙期に決算が重ならないように設定することがベターです。
実際に、小売業の大手企業は、いわゆる「ニッパチ」(2月、8月の閑散期)を決算月とするところも少なくありません。
もし「繁忙期と決算期がダダかぶり」の場合は、決算期の変更も視野に入れたほうがよいでしょう。


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家賃を前払いすると節税になる!?

【質問】
家賃を1年分前払いすれば、支払った分は当期の費用に計上でき、
節税対策になると聞いたのですが、本当でしょうか?

【回答】
条件により、家賃などの1年以内の短期の前払費用については、当期に支払った分を
当期に損金算入でき、節税対策につながることもあります。

まず前払費用とは、法人が一定の契約により継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、その事業年度終了の時において“まだ提供を受けていない役務に対応する費用”をいいます。

前払費用の例としては、家賃や保険料、工業所有権等の使用料などがあります。この前払費用は、原則として、支出時には損金算入できず、支払いがあった事業年度以降にはじめて損金算入すべきものです。

しかし、以下の条件を満たす1年以内の短期の前払費用については、例外的にその支払いがあった事業年度に損金算入できる処理を認めています。

(法人税基本通達2-2-14)
1.一定の契約に従って継続的に役務の提供を受けるものであること
2.支払日から1年以内に役務の提供を受けるものであること
3.毎期継続して同様の経理処理をおこなうこと
4.収益と直接対応させる必要のある費用でないこと
5.当期中に支払いが済んでいること

例えば3月末決算法人が、年払の契約により、4月から翌年3月までの1年分の家賃を3月末までに支払う場合は、条件の1から5にすべて当てはまりますので、支払時点の事業年度に損金算入できます。

逆に、支払時点の事業年度への損金算入が認められないケースもあります。上記の家賃の例において、4月から翌年4月までの13か月分の家賃を支払っていれば、条件2を満たしませんし、利益が出たから年払、出なかったからと月払というように年度ごとに契約変更している場合は、条件3を満たしませんので、支払時点の事業年度への損金算入は認められません。

また、特定のサービスを一時的に受けるためにあらかじめ支払った対価や継続的な物品の購入などの費用は、前払費用ではなく前払金に該当するため、これらの費用も適用外となります。

例えば、前払給料・前払顧問料・翌期放映のテレビCMなどは一般的に特定のサービスをその時々に受けるためのものですから、前払金として処理するのが妥当です。

借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、条件4に該当しませんので、この場合も適用外となります。


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