いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

法人

意外と知らない?!法人の実印について

【ポイント】
法人の印鑑登録は、設立手続きの際に行います。
なお、印鑑登録のルール上は、一定の大きさであり、照合に適するものであれば、印鑑の記載内容等はある程度自由に決めることができます。



法人格を有する会社は、個人と同じように実印の登録を行うことができます。
個人の印鑑登録は任意で、「実印は持っていない」という人も少なくないのに対して、会社の場合は設立手続きの際に法人の印鑑登録も同時に行いますので、どの会社にもいわゆる「実印」があるはずです。

法人の印鑑は、商業登記規則に印鑑登録のルールが定められています。
主なポイントは次のとおりです。
・印鑑の大きさは、辺の長さが一センチメートルの正方形に収まるもの
又は辺の長さが三センチメートルの正方形に収まらないものであってはならない。
・印鑑は、照合に適するものでなければならない。


一般的には丸型で周りに商号の記載があり、真ん中に「代表印」「代表取締役印」等刻印の入ったものを使用していることが多いかと思いますが、法律上、こうしたことを記載しなければいけない、という決まりはありません。

つまり、法律上大きすぎず小さすぎないもの(基準を満たしているもの)で、かつ照合できるものであれば、原則としてどのようなものでも会社の実印として登録できるのです。
もちろん、字体や形、記載内容など、ある程度自由に選ぶことができる、とされています。

法人の印鑑の製作が間に合わず、とりあえず適当な印鑑を登録し(例えば代表者の実印などでも大きさ条件等を満たしていれば登録できます)、後で出来あがった法人の印鑑を改めて登録、ということも可能です。(もちろん、改めて登録する際のコストはかかります)

なお、法人が住所変更(本店移転)した場合、同じ法務局の管轄内であれば印鑑証明書も自動的に書き換わりますが、管轄が変わった場合は、再度届出をする必要があります。(なお、法人のみの規定として、旧管轄において印鑑廃止の手続きは不要です)
また、本店移転に伴う印鑑再登録の場合は、法人の印鑑届出の際に必須となる「代表の方の個人の印鑑証明書」の提出は免除されます。


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【まとめ】法人が義援金等を支出した場合の取扱い

【ポイント】
法人が、一定の義援金等を支出した場合は、支出額の全額が損金の額に算入されます。


 震災関連の義援金等の取扱いについて、一通りまとめてみます。
 前回は個人の取扱いだったため、今回は法人の取扱いです。こちらのほうがややシンプルですね。

■法人が義援金等を支出した場合には、その義援金等が「国又は地方公共団体に対する寄附金」(国等に対する寄附金)か「指定寄附金」に該当すれば、支出額の全額が損金の額に算入されます。


■損金算入となる寄附金
「国等に対する寄附金」は(1)(2)(3)(8)です。
「指定寄附金」は(4)から(7)です。

(1)国又は地方公共団体に対して直接寄附した義援金等

(2)日本赤十字社の「東日本大震災義援金」口座へ直接寄附した義援金、
新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金等で最終的に国又は地方公共団体に拠出されるもの

(3)社会福祉法人中央共同募金会の「東日本大震災義援金」として直接寄附した義援金等

(4)社会福祉法人中央共同募金会の「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」として直接寄附した義援金等

(5)認定NPO法人に対する「東日本大震災の被災者支援活動に特に必要な費用」に充てるための寄附金
(一定の条件あり)

(6)公益社団法人又は公益財団法人に対する「東日本大震災の被災者支援活動に特に必要な費用」に充てるための寄附金
(一定の条件あり)

(7)公共法人・公益法人等・特例民法法人・認定NPO法人に対し、東日本大震災により滅失又は損壊をした建物等(収益事業以外の事業の用に専ら供されていたものに限ります。)の原状回復に要する費用に充てるために行った寄附金
(一定の条件あり)

(8)(1)から(7)以外の義援金等で、寄附した義援金等が、募金団体を通じて、最終的に国又は地方公共団体に拠出されることが明らかなもの


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寄附をしたとき-2 法人の場合

前回、寄附金のお話をいたしましたが、今回はその続きです。

寄附をしたとき-1 個人の場合


 これまでのお話では、個人が国や公益法人等に寄附をした場合、支出した寄附金(特定寄附金)のうち一定額を所得税控除することができる(寄附金控除)、ということでした。

 ただし、これは個人が国や公益法人などに特定寄附金を支出した場合に受けられるもの。法人が支出した寄附金については、個人の寄附金控除とは別の取扱いがあります。


 法人が支出する寄附金とは、「法人が行った金銭その他の資産の贈与または経済的な無償の供与」をいい、「広告宣伝費や交際費、福利厚生費とされるものは除かれる」とされています。

 そして、損金算入できる寄附金については、税法上で一定の制限が定められています。
 それは、無制限に寄附金の損金算入を認めてしまうと、課税所得の圧縮を無制限に認めてしまう結果になるからです。


 ちなみに、寄附金には「その他の資産の贈与」つまり物品等の寄附も含まれます。物品等の価額は「時価」で算定することとなっています。

 たとえば、寄附した物品が購入時には10万円、寄附したときの時価が100万円であれば、100万円を寄附したことになります。

 税務上は、10万円の資産で100万円分の価値の寄附をしたと考えられ、差額の90万円は益金(譲渡益)として処理することになります。
 これは個人、法人ともに処理方法は同じです。