いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

消費税

インボイス制度の「2割特例」⓵どういう制度?―令和5年度税制改正の大綱

【ポイント】
令和5年度税制改正の大綱で、免税事業者からインボイス発行事業者になった場合、売上税額の2割を納税額とすることができる、いわゆる「2割特例」が盛り込まれました。



令和5年度税制改正の大綱には、インボイス制度において小規模事業者に対する納税額に係る負担軽減措置が盛り込まれました。その中の一つが、いわゆる「2割特例」と言われるものです。

2割特例とは、免税事業者からインボイス発行事業者になった場合の税負担・事務負担を軽減するため、売上税額の2割を納税額とすることができる、というものです。
消費税の申告を行うためには、通常、経費等の集計やインボイスの保存などが必要となりますが、この特例を適用すれば、所得税・法人税の申告で必要となる売上・収入を税率(8%/10%)ごとに把握するだけで簡単に申告書が作成できるため、事務負担も軽減されます。

具体例を示すと次のようなイメージです。

【具体例】
・売上700万円(税額70万円)※サービス業
・経費150万円(税額15万円)
の場合の納税額


⓵実額計算(本則課税)の納税額:
70万円-15万円=55万円

②簡易課税の納税額:
70万円-35万円(※)=35万円

③2割特例の納税額:
70万円×20%=14万円
(この具体例は「令和5年度税制改正大綱(第二)(抄)」より筆者一部改訂)

2割特例を受ける場合、事前の届出は不要です。申告書に適用するかどうかを記載する欄が設けられる予定ですので、申告書の該当欄にチェックを入れればOKです。原則課税、簡易課税いずれの方法でも、2割特例との選択適用が可能です。
また、2割特例の適用は毎年続ける必要はなく、決算期ごとに有利な方を選べば問題ありません。
220714-01
(図の出典:「令和5年度税制改正大綱(第二)(抄)」)

※税制改正の大綱は、令和5年度の税制改正の方向性を示すものです。実際には、法案成立後に決定となります。

いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

申告をしていない個人にも税務調査はある?!―令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

【ポイント】
「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、無申告者に対する税務調査で、所得税及び消費税ともに1件当たり追徴税額が過去最高になったことがわかりました。

221220

「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、所得税無申告者に対する実地調査3,828 件行われています。
1件当たりの申告漏れ所得金額は、2,923 万円で、所得税の実地調査全体の 1,613 万円に比べ 1.8 倍となっています。
1件当たりの追徴税額過去最高の497 万円で、所得税の実地調査全体の323 万円の 1.5 倍です。

消費税の無申告者に対する実地調査も、5,257 件実施され、1件当たりの追徴税額過去最高の 245 万円となっています。

申告納税制度を取っている所得税や消費税にとって、自発的に申告・納付している方から見ると、無申告はとても不公平に思えます。
そのため、国税庁は資料収集などを行い、的確かつ厳格に対応することを表明しています。
また、実地調査だけでなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正する「簡易な接触」による調査も積極的に行っているそうです。

自分は申告をしていないから税務調査なんて絶対に無関係!
というのは誤解です。申告が必要かどうか、迷ったときは税務署または税理士等の専門家までお問い合わせください。


いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

申告・納付期限の期限延長手続き―法人税・消費税・源泉所得税

【ポイント】
新型コロナウイルス感染症の影響により申告等が困難な方については、法人税、消費税、源泉所得税を簡易な方法による申告・納付期限延長が認められています。


申告所得税、贈与税、個人事業者の消費税について、新型コロナウイルス感染症の影響により申告等が困難な方は、2022年4月15日までの間、簡易な方法により申告・納付期限の延長を申請することができるようになりました。

この簡易な方法による申告・納付期限の延長手続きは、法人税、消費税や、源泉所得税の納付期限延長手続きについても適用されます。

●法人税・消費税
(1)書面の申告書で申告・納付期限延長を申請する場合
申告書の右上の余白「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載してください。
たとえ納付税額がゼロだったとしても、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」正しく書くことをお勧めいたします!
中間(予定)申告書も同様に、右上の余白「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載してください。
220208-01

(2)各種会計ソフトを利用して e-Tax で申告・納付期限延長を申請する場合
電子申告及び申請・届出による添付書類の送付書「電子申告及び申請・届出名」欄等に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力してください。
220208-02

●源泉所得税
(1)納付書

所得税徴収高計算書(納付書)の「摘要」欄「新型コロナウイルスによる納付期限延長申請」と記載してください。
220208-03

(2)納付書の e-Tax ソフト
所得税徴収高計算書(納付書)の「摘要」欄「新型コロナウイルスによる納付期限延長申請」と入力してください。
220208-04
220208-05


いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

簡易課税制度を選択した際の注意点

【ポイント】
簡易課税制度とは、「みなし仕入率」によって仕入税額控除の計算を行うため、実際の課税仕入れ等の税額をすることなく仕入税額控除の計算ができるメリットがあります。
ただし、必ず納税額が発生する、基準期間の課税売上高が5,000万円を超えると簡易課税制度が適用されないなど、注意すべき点もあります。

200204NISA

2023年10月1日から、消費税の「インボイス制度」がはじまり、仕入税額控除を受けるために保存すべき請求書等が適格請求書(いわゆるインボイス)に代わります。
インボイスは、免税事業者は発行できないため、とりあえず簡易課税制度を採用する方もいらっしゃるかと思います。

簡易課税制度とは、その課税期間の前々年又は前々事業年度(以下「基準期間」)の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者が、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、仕入控除税額の計算を行うことができる、という制度です。

簡易課税制度では、仕入控除税額は課税売上高に対する税額の一定割合となります。
この一定割合を「みなし仕入率」といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等、不動産業及びその他の事業の6つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。

■みなし仕入率
第一種事業(卸売業)=90%
第二種事業(小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業))=80%
第三種事業(製造業等、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く))=70%
第四種事業(その他の事業)=60%
第五種事業(サービス業等)=50%
第六種事業(不動産業)=40%


例えば、消費税がかからない費用である人件費の比率が極めて高い事業の場合、簡易課税制度を利用したほうが、納税額が有利になることがあります。
また、課税売上高から仕入税額控除額を計算するため、絶対にインボイスをもらわなくてはいけない!ということもありません。(=消費税の計算のためにインボイスを受けないと不利になることもありません。

ただし、簡易課税制度は以下の点に注意する必要があります。
まず、課税売上高があれば必ず納税額が発生する点は注意してください。
また、一度簡易課税制度を採用した場合、2年間は簡易課税制度をやめることができないのが原則であり、もしも基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合には、その課税期間については、簡易課税制度は適用できず、原則課税が適用されることになります。

課税事業者になる際には、原則課税と簡易課税どちらが有利か、きちんとシミュレーションすることをオススメいたします。
また「簡易課税制度を適用しているから、仕入税額控除を計算するためのインボイスは全く不要」ということではありませんのでご注意ください。


いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

インボイス制度で免税事業者がとる方法は三択?!-(3)簡易課税制度を適用する

【ポイント】
インボイス制度がはじまると、「インボイスの保存」が消費税の仕入税額控除の要件となります。インボイスは消費税の課税事業者しか発行することができません。
免税事業者の場合、インボイス制度が始まったときに取りうる方法の一つが「簡易課税制度を適用する」です。基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は、簡便な計算により仕入税額控除の金額を計算することができます。

210525

2023年10月1日から、消費税の「インボイス制度」がはじまり、仕入税額控除を受けるために保存すべき請求書等が適格請求書(いわゆるインボイス)に代わります。

インボイスは、税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」(いわゆる「インボイス発行事業者」)しか発行することができませんが、インボイス発行事業者として登録を受けられるのは、消費税の課税事業者(=消費税の申告・納税が必要な方)に限られます。
つまり、免税事業者はインボイスが発行できません。

最悪の場合、「インボイスを発行してくれる事業者じゃないと仕入税額控除ができないから、なるべくインボイスを発行しない事業者との取引を少なくする」と、取引先事業者から選別される可能性も否定できず、小規模事業者にとっては死活問題になり得る大きな問題です。

インボイス制度に対して、免税事業者が取りうる選択肢は3つになります。
(1)メリット・デメリット双方を理解したうえで免税事業者を続ける
(2)消費税の課税事業者(原則課税)になる
(3)消費税の簡易課税制度を適用する


このうち、今回は「(3)消費税の簡易課税制度を適用する」についてお話しいたします。

消費税の納税額の計算は、原則として
課税売上げに係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額
で計算します。
しかし、その課税期間の前々年又は前々事業年度(以下「基準期間」)の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、仕入控除税額の計算を行うことができます。
これを簡易課税制度といいます。

簡易課税制度は、文字通り簡易な計算方法で仕入税額控除が計算できる点がメリットですが、注意点もあります。
詳しくは、次の機会にお話しいたします。


いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから