いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

税制改正

「ふるさと納税」、一部自治体は対象外になる可能性も?!

【ポイント】
野田総務大臣が、ふるさと納税制度について「過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税の対象外にすることもできるよう、制度の見直しを検討する」ことを明らかにしました。
総務省において、見直し案を取りまとめ、与党の税制調査会において議論される予定です。

180911ふるさと納税
9月11日の閣議後会見において、野田総務大臣が、ふるさと納税制度について「過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税の対象外にすることもできるよう、制度の見直しを検討する」ことを明らかにしました。

もともと、ふるさと納税は、地方で生まれ育った方たちが故あって地方を離れ、都市部等で社会人として収入を得る中、それを直接今の制度では返すことができないという中で、ふるさとを思う気持ちを寄付という形で届ける、というコンセプトのもと、自分たちの応援したい自治体に寄付をすることによって住民税や所得税に一定の控除額が認められる、というものです。

ふるさと納税制度ができた当初は、寄付と控除という関係性だけでしたが、多くの人たちにふるさとを、その地方を思い出してもらうために「返礼品」という形が生まれ、実際に多くの人がふるさと納税の存在を知り、制度利用が進むようになりました。

ところが、返礼品自体が本来の趣旨とは違う、全く地元にかかわりのない高額商品を提供することによって、多額の寄付を求めるというケースも顕著になってきました。
そこで、総務省はこれまでに2回、返礼割合は3割以内におさめること、返礼品は地場産品にすることなど、本来の趣旨に沿ったものにするよう、自治体に求めてきたといいます。

結果として、返礼割合が3割以上だった自治体は1156自治体から246自治体に減少したといいますが、依然として一部の自治体は通知に沿った対応が行なわれない状況があるといいます。
一方で、通知に沿って返礼品の見直しを行なった自治体からは「正直者がバカを見ないようにしてほしい」という要望もある、といいます。

こうしたことを踏まえて、制度本来の趣旨を取り戻すため、今回の見直し検討を決めたといいます。
総務省において、見直し案を取りまとめ、与党の税制調査会において議論を進める予定です。

ふるさと納税という制度は、とてもいい制度だと思います。
たとえば、被災自治体に寄付という形で支援ができ、さらに税制面で恩恵を受けることができることから、災害時における自治体支援の新しい形ができつつあるように思います。
ふるさと納税ワンストップ制度など、使い勝手がよくなる制度も充実しつつある今ですので、今後の議論には注目したいと思います!


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30万円未満の減価償却資産、一括償却できるのは一時的なものだった?!

【ポイント】
一定の中小企業者等が1件30万円未満の減価償却資産(いわゆる少額減価償却資産)を取得した場合に、一定の要件のもとに全額を損金に算入できる特例制度の適用期限が、平成32年3月31日まで2年間延長されました。(所得税も同様)

180424少額減価償却資産
いわゆる「少額減価償却資産」の特例とは、従業員1,000人以下の中小企業者等が、1件30万円未満の減価償却資産(いわゆる少額減価償却資産)を取得した場合に、当該減価償却資産の合計額300万円を限度として全額を損金に算入することができる制度です。
かなり使い勝手がよいため、この制度のお世話になった方はかなり多いように感じます。

当たり前のように使っていた制度かもしれませんが、実はこの制度、期限付きの特例措置という扱いに変わりはありません。
平成30年度の税制改正で、適用期限が平成32年3月31日までの2年間、延長されました。所得税についても同様の扱いとなります。

この制度が特例、ということは「本則」もあります。
全ての企業に対して適用される「本則」は以下の通りですのでご注意ください。

●取得価額10万円未満・・・全額損金算入(即時償却)
●取得価額20万円未満・・・3年間で均等償却(3年間で毎年1/3ずつ損金算入できる)
●それ以外・・・通常の減価償却を行なう


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中小企業者向け「所得拡大促進税制」がよりシンプルに

【ポイント】
平成30年度の税制改正で、中小企業者等向けの所得拡大促進税制の見直しが行なわれ、一定の賃上げ等を達成した場合に給与等支給増加額の15%又は25%を税額控除するとされました。
従来よりも、シンプルな制度になったのが特徴です。


180417所得拡大促進税制
青色申告書を提出する中小企業者が国内雇用者に対して賃上げをした場合、法人税が優遇される制度「所得拡大促進税制」です。
平成30年度の税制改正により、よりシンプルな制度として生まれまわりました。

改正前は、給与支給額要件が、基準年度(平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち、最も古い事業年度の直前事業年度)との比較などを含めて3用件を満たす必要がありましたが、改正により、賃上げ率が前年度比1.5%以上の1点になりました。(基準年度との比較要件は廃止

また、税額控除については、原則として給与等支給額の対前年度増加額の15%、一定の基準を満たした場合は25%(いずれも法人税額の20%が上限)となりました。

25%にするための「一定の基準」とは、(1)および(2)を満たすことをいいます。

(1)賃上げ率が前年度比2.5%以上
(2)次の(イ)又は(ロ)のいずれかの要件を満たしていること

 (イ)教育訓練費等が対前年比10%以上増加していること
 (ロ)事業年度終了の日までに、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、その経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行なわれたものとして証明されたこと

なお、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において適用されます。

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青色申告特別控除、3種類に!これまでどおりの控除を受けたい場合は?

【ポイント】
平成30年度の税制改正で、青色申告特別控除がこれまでの最大65万円または10万円の2種類から、最大65万円・55万円・10万円の3種類になることが盛り込まれました。現在65万円の控除を受けている方で、一定要件を満たさない方については、55万円の控除になるので注意が必要です。


個人事業主の青色申告者には様々な税制上の特典がありますが、その一つが青色申告特別控除です。
一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しく期限内申告している人で不動産所得、事業所得、山林所得のある人が、原則としてその年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出すれば、青色申告者として青色申告特別控除を受けることができます。

これまでは、
・不動産所得又は事業所得のある青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高65万円
・それ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得を通じて最高10万円
と、所得の種類や記帳の方法により2種類の青色申告特別控除を受けることができました。

しかし、平成30年度の税制改正で、青色申告特別控除が65万円、55万円、10万円の3種類になることが議論されています。

これまで65万円の控除を受けていた方について、一定の要件を満たさない方は最大55万円の控除となる点がポイント。つまり、一定の要件を満たさなければ青色申告特別控除が10万円減ってしまうことになります。

そうなると、一定の要件を満たしてこれまでどおり65万円の青色申告特別控除を受けたい!と思いますよね?これまでどおり65万円の控除を受けるためには、次の2つの要件のうちいずれか一つを満たしていればOKです。

(1)電磁的記録の備付け及び保存をしている場合
その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律に定めるところにより電磁的記録の備付け及び保存を行っていること。
(2)e-Taxにより電子申告をしている場合
その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までに電子情報処理組織(e-Tax)を使用して行うこと。

いずれも事前準備に手間がかかりますので、時間の余裕をもって準備をすすめてください。
ちなみに平成32年分以後の所得税及び平成33年度分以後の個人住民税から適用される予定です。

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相続税対策スキーム封じ?!小規模宅地の特例に改正か?

【ポイント】
2018年度税制改正で、小規模宅地の特例の中で、相続が発生したときに、一定の要件を満たした相続人が、被相続人と同居していなくても3年以上持ち家がなければ減税を受けることができる、いわゆる「家なき子」の特例について、改正が入るもようです。



2018年度の税制改正で、相続税の過度な節税を防ぐ措置の導入が検討されています。
その一つが、小規模宅地の特例の中で、いわゆる「家なき子」の特例に関するものです。

小規模宅地の特例とは、本来、相続により、亡くなった人(被相続人)の配偶者や子など同居していた人の税負担を軽減するために導入されたもので、相続人と同居していた土地を相続した場合、土地の評価額を最大で8割減らして相続を受ける人の税負担を減らす、というものです。

ただし、小規模宅地の特例の中に「被相続人の配偶者及び同居相続人がいないこと」「3年以上持ち家がないこと(=借家住まいであること)」など一定の要件を満たした場合は、小規模宅地の特例と同様の減税を受けることができる、という規定があります。これが「家なき子」の特例といわれるものです。

そのため、持ち家をあらかじめ親族に贈与する節税スキームが流行しています。
スキームの一例を説明すると、祖父、父、子の三世代の一族で、祖父と父がそれぞれマイホームを持っている、と仮定します。
このスキームをが使おうとした場合、あらかじめ子に対してマイホーム(家屋)を贈与します。贈与から3年たつと、父は持ち家のない「家なき子」になります。
親族(この場合は子)の持っている家に無償で住んでいる場合も、家を「所有」していなければ「持ち家がない」とされるため、父の日常生活になんら支障はありません。
父が子にマイホームを贈与して3年以上経過して祖父が亡くなり、相続が発生したときに、父は「家なき子」の特例を使って祖父の宅地の評価額を小規模宅地の特例同様の有利な条件にする、というイメージです。
親と同居したくないけれど相続税はオトクにしたい!という方などは、このスキームを検討された方も少なくないかと思います。

今回の改正で、相続人(主に子)が相続時に住んでいた家が、もともと相続人が所有していた家だった場合や、相続人が3親等以内の親族が所有する家に住んでいる場合などは対象外にすることなどを検討しているそうです。

こうした相続税スキームは、早めに動くのがポイントになってきますが、たとえ不利になる法改正があっても一度動いてしまうと後戻りしにくいというデメリットもあります。
今回説明した改正は、まだ検討段階ではありますが、相続税対策は将来的な法改正の可能性も含めて、慎重に考えるよう、心がけてください。


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