いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

自由民主党

自由民主党が平成19年度税制改正大綱を発表 (個人編)

 昨年12月中旬に発表された与党税制改正大綱のポイントのうち、今日は個人に関連する主な改正ポイントをご紹介します。

1.住宅税制
A.住宅ローン減税の拡充
 平成19年及び20年に入居する者に対して、控除率を引き下げた上で控除期間を10年から15年に延長する制度を創設します。この制度は、従来の住宅ローン減税との選択適用になる見込みです。

 所得税の住宅ローン控除制度を中・低所得者層が利用した場合、税源移譲の影響で減税額が減少することを踏まえた改正点です。


B.住宅バリアフリー改修促進税制等の創設
 高齢化社会に向けてでしょうか、一定の要件を満たした場合、自宅についてバリアフリー改修工事を行う居住者等対する減税措置が盛り込まれました。

 住宅ローンを借り入れてバリアフリー改修工事を含む増改築工事を行った者に、その住宅ローン残高の一定割合を5年間所得税額控除するバリアフリー改修促進税制の導入が検討されています。(住宅ローン減税との選択)

 また、改修工事完了の翌年の固定資産税の税額が1/3に減額される予定です。


C.住宅の住み替え等を促進するための改正点
 ライフサイクルに応じた住宅の住み替えを促進のため、あるいは住宅を売ってもローンを返済しきれない場合の新生活支援のための制度です。

 主なポイントは特定の居住用財産の買い替えや好感の場合の長期譲渡所得の課税の特例、居住用財産の買い替え等の場合の譲渡損失の繰越控除等制度及び特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除等制度の適用期限を3年間延長する、などです。


D.住宅用家屋の所有権保存登記に対する登録免許税の税率軽減措置の延長
 住宅用家屋の所有権移転登記に対する登録免許税の税率軽減措置についても、所要の整備をおこなったうえ、2年延長することが盛り込まれました。


2.寄附金、子育て支援をする企業への税制改正
 寄附金控除の控除対照限度額を30%から40%に引き上げることが盛り込まれています。
 また、直接個人とは関係ありませんが、子育てを支援する企業の取り組みを支援するため、事業所内託児施設の設置費用に係る割増償却制度を創設することも検討されています。


 個人に対しても様々な減税措置があるように見えますが、定率減税の廃止の影響で、増税感があるかもしれません。(ちなみに、年収500万円夫婦子2人世帯で、約18,000円の増税です)


 今年3月の税制改正に向けて、注目してみましょう!

自由民主党が平成19年度税制改正大綱を発表 (企業編-2)

「自由民主党が平成19年度税制改正大綱を発表 (企業編-1)」から続きます。
 中小企業やベンチャー支援に関する税制改正の主なポイントは次の通りです。


A.中小同族会社に対する留保金課税制度の撤廃
 資本金1億円以下の会社は、留保金課税制度の対象から外されます。これによって、資本金が1億円以下であると、「留保金課税及び外形標準課税がかからない」ということになります。
 資金調達の面で制約を受けがちな中小企業にとって、財務基盤が強化されるため、うれしい改正点です。


B.「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」の基準所得額引き上げ
 昨年導入された「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」について、平成19年4月1日以後に開始する事業年度から、適用除外基準である基準所得金額を現行800万円から1600万円に引き上げます。

 平たく言うと、会社の利益と社長の給料を合計して1600万円以下の会社であれば、この増税項目の対象外ということになります。これもうれしい改正ですね。


C.相続時精算課税制度の見直し
 相続時精算課税制度において、取引相場のない株式等(中小企業の株式等)を贈与した場合、贈与者の年齢要件を60歳に引き下げるとともに、非課税枠を500万円上乗せする特例が設けられます。
 また、取引相場のない種類株式について、相続税等における評価が明確化されます。

 制度化の暁には、中小企業が事業承継を早期にかつ計画的にできるようになる、というメリットが見込まれます。


D.地域密着型中小企業に対する特例
 地域に存在する産業資源を活用して事業活動を行う中小企業に対する課税の特例や、地域産業活性化支援税制の創設などが盛り込まれています。


E.エンジェル税制の拡充
 将来、日本の経済を支えるベンチャー企業育成を支援するため、エンジェル税制の対象企業を拡大するとともに、手続きが合理化されます。
 また、個人投資家(エンジェル)が投資したベンチャー企業の株式の譲渡益について2分の1に軽減する課税特例の適用期限が2年延長されます。


 日本の現在・将来の経済基盤と地域経済を支える中小企業やベンチャー企業に対する税制改正は、うれしいポイントが盛りだくさんです。
 法案の成立が待ち望まれるところですね。

自由民主党が平成19年度税制改正大綱を発表 (企業編-1)

 本日のブログは2本立ての年末特大号(?!)です。

今月14日、与党税制改正大綱が発表されました。
 今日はこちらの話題から、来年度から改正されそうなポイントをいくつかご紹介いたします。


 全体的に見ると、安部首相が掲げる経済拡大・地域格差縮小路線を背景に、各種企業減税を盛り込んだのが特徴でしょう。

 今回の決定分だけで4500億円の減税となり、そのほとんどが企業関連の減税となりました。(ただし、前年度に決定していた所得税の定率減税の廃止分が1兆円の増税でトータルでは増税)


1.減価償却制度
 今回の改正の中でもっとも大きな減税額が予想されるものが減価償却制度の改正です。
償却可能限度額(95%)と残存価格の撤廃、新規取得資産について法定耐用年数以内に取得価額全額を償却できるような制度への見直し、250%定率法の導入などが盛り込まれました。

 平たく言えば「より多くの減価償却費の計上が認められる」ことになるわけです。
 これにより、設備投資を促進し、経済成長への足がかりにしていくことが期待されます。


2.中小企業・ベンチャー支援
 今回の改正の特徴として、中小企業やベンチャー支援に関連する減税措置が数多く盛り込まれていることが挙げられます。
 地域経済の活性化の担い手は中小企業である、という認識のもとでの改正点が多く見られます。

 ポイントについては、「自由民主党が平成19年度税制改正大綱を発表 (企業編-2)」でご紹介します。