いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

課税

新型コロナ関連の助成金、税金がかかるの?!

【ポイント】
新型コロナウイルス感染症に対する各種助成金について、課税対象となるものと課税対象とならないものがあります。

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新型コロナウイルス感染症に対する緊急経済対策として、様々な助成金等が支給されています。
これらの助成金について、税務上の取り扱いが気になるところです。

まず、特別定額給付金(一人あたり一律10万円)については、所得税の対象にはなりません。これは、4月30日に成立した新型コロナウイルスに対応するための臨時特例に関する法律に「所得税を課さない」と記載されているからです。
子育て世帯への臨時特別給付金(児童1人あたり1万円)も、課税対象外です。

一方、持続化給付金(法人は最大200万円、個人事業主は最大100万円)や、雇用調整助成金(雇用を維持した企業等に休業手当を助成)、各自治体が支給する休業要請への協力金等については、法律上、法人税や所得税の課税対象となります。

ただし、受け取った金額に対して法人税等を支払わなければいけない、というわけではなく、受け取った金額は「売上などと同様に収入として計上する」ということです。
ここから通常通り、費用等を差し引いて課税所得を計算していくことになりますので、非常に大雑把に言うと「助成金を受け取ってもなお赤字ならば法人税等は発生しない可能性が高い」ということになります。


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講習費用や学資金を会社が負担する場合の注意点

【質問】
当社では、役員や従業員に対して、積極的に技術や知識を習得してもらうべく、各種技術講習等の講習費用や学校の授業料等を会社で負担しようと考えています。
支払う際に、何か注意点はありますか?

【回答】
技術や知識を習得させるための費用や学校の授業料などの学資金を支給する場合、一定の要件を満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。



 ご相談の方のように、役員や従業員の方に、仕事に関係する技術や知識を習得させるための費用や学校の授業料などの学資金を支給する場合があります。
 この場合には、支給した費用が一定の要件を満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。
 その取り扱いは、技術や知識の習得費用であるか、学資金であるか、によって取り扱いが異なります。

<技術や知識の習得費用>
 技術や知識の習得費用は、次の三つのいずれかの要件を満たしており、その費用が適正な金額であれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。

(1)会社などの仕事に直接必要な技術や知識を役員や使用人に習得させるための費用であること。

(2)会社などの仕事に直接必要な免許や資格を役員や使用人に取得させるための研修会や講習会などの出席費用であること。

(3)会社などの仕事に直接必要な分野の講義を役員や使用人に大学などで受けさせるための費用であること。

<学資金>
 学資金を支給する場合には、役員と使用人ではその取扱いが違います。
 役員や使用人に学資金を支給する場合には、課税されるのが原則です。

 ただし、使用人本人が通学している高校までの学資金を支給する場合で、その修学のための費用として適正なものは、給与として課税しなくてもよいことになっています。
(もし、学資金の支給対象者が役員又は使用者である個人の親族のみである場合は、原則通り課税されます)

 ちなみに、大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校の学資金を支給する場合には、<技術や知識の習得費用>に該当するものを除き、給与として課税されますのでご注意ください。


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創業記念の記念品を支給する場合の所得税

【質問】
おかげさまで当社は、創業10周年を迎えます。
そこで、本年3月(決算月)に在籍する全従業員に対し、一律1万円分の商品券を支給することとしました。
創業記念の記念品には課税されないと聞いているのですが、問題ないですよね?

【回答】
一定の要件を満たした記念品に係る経済的利益は、強いて課税しなくて差し支えありません。
ただし、この場合の商品券は、給与等として処理し、課税の対象になります。



 創業後の記念周年等の区切りを記念して従業員に対し記念品等を支給することは、一般的に行われています。
 いずみ会計の顧問先の方とお話ししていても、こうした記念品等を支給するのですが・・・といったご相談が多いので、今回は一例をご相談として取り上げることに致しました。

 創業の周年記念の記念品等については、

●その支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつ、そのものの価額(処分見込価額により評価した価額)が1万円以下のものであること、
●創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品であること、
●創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものであること、

のいずれにも該当するものについては、所得税の定めでは「強いて課税しなくて差し支えない」としています。

 ただし、この取扱いを受けるのは「記念品に係る経済的利益」に限られるため、記念品に代えて支給する金銭については、給与等として課税の対象になります。

 ご相談の方のように、会社の創業記念として商品券の支給が行われるような場合は、その支給を受けた各従業員は当該商品券と引き換えに、商品を自由に選択して入手することが可能となりますので、商品券の支給については金銭による支給とあまりかわらない、と言えます。

 したがって、この場合の商品券の支給については、課税しない経済的利益には該当せず、給与等として課税の対象になりますのでご注意下さい。


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