いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

退職金

勤続5年以下の役員、退職金に対する税金が大幅UPの可能性?!

【ポイント】
特定役員退職手当等については、退職所得の計算上、「(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2」の「×1/2」部分が受けられません。


退職所得の金額は、その年中に支払を受ける退職手当等の収入金額から、その人の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とされていました。

平成25年1月1日以降、特定役員退職手当等については、この残額の2分の1とする措置が廃止され、特定役員退職手当等の退職所得の金額は、特定役員退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とされました。
これは、従来より退職所得の金額が大きくなるため、その分増税となるということです。

特定役員とは、役員等勤続年数が5年以下である人をいいます。
この場合の「役員等勤続年数」は、役員等として勤務した期間により計算した年数のことをいい、役員等として勤務した期間に1年未満の端数がある場合は、これを1年に切り上げて計算します。

したがって、原則として、退職手当等の支払者の下(法人等)において、退職の日まで引き続き勤務した期間のうち、役員等として勤務した期間により計算した年数が5年以下かどうかにより判定します。

もっと具体的に言うと、
役員等として勤務した期間が4年9ヶ月の場合「役員等勤続年数」は5年となり、この役員は勤続年数5年以下の「特定役員に該当します。」
逆に、役員等として勤務した期間が5年1ヶ月の場合「役員等勤続年数」は6年となり、この役員は勤続年数5年以下の「特定役員」に該当しません。

役員等の退職金については、ざっくりと「勤務期間5年以下だと優遇措置が使えない」と覚えておくとよいでしょう!


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退職金に対する所得税・住民税負担が変わりました

【質問】
約40年勤め上げた会社を5月末に定年退職することになりました。
今年から退職金に対する所得税などが上がる、という話を聞き、自分がいくらもらえるのかが不安です。

【回答】
平成25年1月1日以後に支払われるべき退職手当について、勤続年数が5年以内の会社役員等の退職金については、退職所得金額の計算における、いわゆる1/2課税が適用されなくなりました。



 まずは長年、会社に貢献されてきたこと、お疲れ様でした!
 退職金に係る税制改正、確かにあります。

 平成25年1月1日以後に支払われるべき退職手当等について、勤続年数が5年以内の会社役員等の退職金については、退職所得金額の計算におけるいわゆる1/2課税が適用されなくなりました。

(これまで)
所得税=(退職金等の金額-退職所所得控除額)×1/2×累進税率

(改正後)
勤続年数が5年以下の会社役員等の退職金等については、上記「×1/2」がなくなります。

 この改正により、例えば天下り等の後に受け取る退職手当の税負担軽減を是正することができる、と考えられています。

 ただし他の要件等がなく、単純に5年の勤続年数の有無によって適用の有無が決まるため、天下り等のケース以外で退職する役員については、勤続年数が5年を超えるか否かで税負担が大きく変わってしまいます。
 公平なのか、と言われると・・・(^-^;)。

 また、退職所得に係る住民税の計算についても上記の1/2課税の制限に加え、住民税の10%税額控除が廃止となるため、今後退職金等に係る税負担が増加する可能性があります。
 こうした改正を念頭に、「思ったより退職金が少ない!」ということにならないよう、ご注意下さい。


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定年後も継続雇用する社員に対する退職金

【質問】
弊社の社員が当期、定年を迎えます。
しかし、この社員は当社製品のコア技術(手作業の部分)を一手に担う社員であり、その技術継承のために定年後も継続雇用することにいたしました。
そうなると、この社員の退職はもう少し先になりますから、退職金の支払は実際の退職時に行い、当期は退職金を未払金扱いで計上したいと思っています。問題ないですか?

【回答】
継続雇用する社員に対して、退職金の支給額が確定している場合、実際には支給せずに、退職給与相当額を「未払金」扱いとして税務上の損金に計上することは、原則としてできません。
いったん確定した退職金をその時に支給せず、実際の退職時に支給するということであれば、損金計上する時期も実際の退職時となります。



 ご相談の方もおっしゃるとおり、団塊世代で特殊技能や専門職の経験を持っている社員は会社にとって貴重な財産です。
 そうした社員を、定年後も技術継承や知見を活かしたアドバイザーとして継続雇用するケースが最近増えつつあります。
 しかし、定年に達した社員を引き続き雇用する場合、退職金の取り扱いには注意が必要です。
 
 継続雇用する社員に対して、退職金の支給額が確定している場合、実際には支給せずに、退職給与相当額を「未払金」扱いとして税務上の損金に計上することは、原則としてできません。
 退職金の損金計上扱いは、現実に退職金を支給した場合にのみ認められるものです。
 いったん確定した退職金をその時に支給せず、実際の退職時に支給するということであれば、損金計上ができるのは実際の退職時であり、定年に達した日を含む事業年度での損金計上は認められません。

 定年後も引き続き雇用する人に対して「退職金」を支給したケースであっても、

・定年後の身分関係が正規の社員と異なるなど、実質的に「退職」があったと認められる事実があり、
・また、その後の退職給与計算に既往の在職年数を加味しないこととされている場合

には、その定年時に支給した金額は税務上の「退職給与」として扱われ、法人所得の計算上は損金計上が認められます。


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弔慰金と退職金

【質問】
先日亡くなった夫の葬儀の際、夫が勤めていた会社から弔慰金と花輪代をいただきました。
税法上、何か気をつけることはありますか?

【回答】
被相続人の勤務先から弔慰金などの名目で受け取った金銭のうち、実質上退職手当金等とみなされる金銭は相続税の対象となります。
被相続人の葬儀で遺族が受ける花輪代は相続税が課税されません。



 被相続人の勤務先から弔慰金などの名目で受け取った金銭のうち、実質上退職手当金等とみなされる金銭は相続税の対象となるので注意が必要です。

 相続税の対象となる退職手当金等には、被相続人に支給されるべきであった退職手当金や功労金などの金品で、現物支給されたものも含まれます。
 さらに被相続人の死亡後3年以内に支給される金額が確定したものが対象となります。

 しかし、このうちの全額が相続税の対象となるわけではありません。
 すべての相続人が取得した退職手当金等の合計額が、500万円に法定相続人数を掛けて算出される非課税限度額以下の場合は課税されません。

 また、退職手当金等以外の金品を勤務先から受け取った場合、次の(1)、(2)に該当する金額は弔慰金に相当する金額として相続税の対象外ですが、それを超える金額は退職手当金等として相続税が課税されます。

(1)被相続人が業務上において死亡した場合、被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する金額、
(2)被相続人が業務上以外で死亡した場合、被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する金額。

 ここでいう普通給与とは、給料や扶養手当、勤務地手当などの合計額を指します。

 ちなみに、被相続人の葬儀で遺族が受ける弔慰金や花輪代などに、通常相続税は課税されません。

 また、被相続人が生前に退職している勤務先から弔慰金を受け取った場合、すでに被相続人がその勤務先から退職手当金等の支給を受けていれば、この弔慰金は雇用者以外から支払われるものなので、相続税の対象とはなりません。
 この場合の弔慰金は遺族の一時所得となります。


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法人成りしたときの従業員の退職金

【質問】
おかげさまで今年の4月に法人成りをしました。
今月、個人事業だった頃から勤めていた従業員が退職することとなり、退職金を支払うことになりました。
退職金を支払うのは法人なので、法人の損金として処理してよいのでしょうか?


【回答】
個人事業を引き継いで設立された法人が、個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職に伴い退職金を支給した場合は、原則として個人時代の勤務に対応する部分の金額は法人の損金の額には算入されず、個人所得税の最終年分の必要経費になります。


  個人事業を引き継いで設立された法人が、個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職に伴い退職金を支給した場合は、一般的にはその退職金には個人時代と法人成り後の両方の勤務に対応する分が含まれていると考えられるため、原則として個人時代の勤務に対応する部分の金額は法人の損金の額には算入されず、個人所得税の最終年分の必要経費になります。

 今月退職する従業員の退職金も、個人時代の勤務に対応する部分の金額は、今年の個人所得の計算で必要経費としてください。

ただし、もし退職が法人設立後相当の期間が経過した後であるときは、その支給した退職金の金額が法人の損金の額に算入されます。
 法人成りして時間が経った企業については、按分は不要です。

 判断に迷う場合は、税理士等にご相談下さい。


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