いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

本当にあった?!世界の税制―独身税

世界には、日本では想像できないようなユニークな税制があります。
その国が抱える課題を解決するために導入されることもありますが、中には思惑通りに進まず失敗に終わった税制もあります。

ブルガリア1968年から1989年まで約20年間実施されていた「独身税」も、今はなき税制の一つです。
この独身税は、25歳以上の独身者のみが対象で、収入の5~10%を税金として微収するものでした。
婚姻者と比べて税金を高くすることで、結婚を促し、結婚する人を増やして出生率を上げることを狙っていたようです。
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しかし、収入の5~10%というのは大きな税負担です。仮に年収300万円の方であれば、15~30万円という、かなり痛い金額です。
そのため、独身税の負担のせいで独身者がお金を貯めることができず、結婚や出産が難しくなり、より出生率が低下するという悪循環に陥りました。
実際、独身税が導入されていた間、ブルガリアの出生率2.18から1.86へと下がってしまい、目論見は完全に外れてしまいました。

ブルガリアの失敗を見て、その後独身税を導入する国はありません。
少子化に苦しむ日本が万一、独身税を導入したら「独身税の負担のせいで独身者がお金を貯めることができず、結婚や出産が難しくなり、より出生率が低下する」というブルガリアの二の舞になりそうな気がします?!


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「富裕層」って何?

【ポイント】
国税庁は、富裕層について一定のイメージを持って、積極的に税務調査をしています。

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「富裕層」というと、どういうイメージがありますか?
大株主や大地主、高給取り…といったイメージがあるかと思いますが、国税庁では富裕層について「こんな感じの人」というのを公表していること、ご存知でしょうか?

国税庁の税務調査に関する報道資料によると、次のような人を富裕層としているようです。
・有価証券・不動産等の大口所有者
・経常的な所得が特に高額な個人
・海外投資等を積極的に行っている個人

…など

こうした富裕層については、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に積極的に税務調査を実施している、とのことです。
富裕層と言って私たちがイメージするものとあまり離れてはいないかな、と思いますね。
以上、今日は小さなネタでした!


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本当にある!世界の珍しい税制―学位税

世界には、日本にはないユニークな税制が結構あります。
オーストラリアで実施されている「学位税」も、日本にはないユニークな税制です。

オーストラリアでは、最終的な学歴に対して税負担が定められており、大学卒業以上であれば原則として、いわゆる「学位税」(「卒業税」と呼ばれることもあります)を負担することとなっています。
大学卒業後に一定以上の収入があれば3~6%の範囲で学位税が徴収され、条件に満たない収入である場合には無税とされます。
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オーストラリアにある大学はほとんどが国立大学であり、その学費の多くは国で負担しています。
日本にも国立大学はありますが、その学費の支払い方法が日本とオーストラリアでは大きく異なるのです。

オーストラリアでは原則的に、学生負担となる学費の一部は卒業後のあと払いとされており、これが学位税と呼ばれるものです。
イメージ的には、卒業後に学費を返済する奨学金返済のような形で納税するものが学位税、のような感じです。
そのため、親の経済力によって大学進学の可否が左右されにくく「学びたい!」という意思のある人が平等に大学卒業を目指せる点が大きなメリットです。

ちなみに、オーストラリアではこの仕組みを「Student Financial Supplement Scheme(SFSS)」としており、税と同じように徴収して運用していますが、税(Tax)とは呼んでいません。

オーストラリアは日本ほど大学進学率が高くなく、大卒者であればほとんどはエリートとして扱われ、収入の多い職業に就けることが多いようです。
自分の学費を「出世払い」する前提のこの制度は、教育の機会均等という点からも公平な制度としてオーストラリアでは受け入れられているといいます。(ほとんどが国立大学、という環境であることもポイントでしょう!)

日本とはまったく異なる環境だからこそ運用できる税ですね!

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少額の減価償却資産等の取得価額の損金算入の特例(資産の範囲)―令和4年度税制改正

【ポイント】
令和4年度の税制改正で、少額の減価償却資産等の取得価額の損金算入制度等の対象資産から、貸付(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産を除くことが決まりました。

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法人が取得し、事業の用に供した少額減価償却資産等については、現在、
①取得価額10万円未満の減価償却資産については、供用年度において全額損金算入できる
②取得価額20万円未満の減価償却資産については、3年間で均等償却
③中小企業者等が取得した30万円未満の減価償却資産については、合計300万円までを限度に、全額損金算入できる(2024年3月31日までの適用期限延長)

といった特例があります。

しかし、当期の利益を圧縮する目的で、自らが行う事業で使用しない少額な資産を大量に取得し、その取得した資産を貸し付けの用に供する事業者が多数現れました。
特例制度を利用して、大量取得した少額減価償却資産を全額当期の損金に算入し、賃貸料や売却益を当期以降複数の年度の益金に算入することにより、損金と益金の計上時期の相違を利用した節税スキームです。
税務調査の現場でも、ドローンや建築用足場など、1つ当たりの取得価額が10万円未満の少額減価償却資産を大量に取得後、即時償却を行い、その資産を他社に貸し出すケースが多数見受けられたといいます。

今回の改正では、このようなスキームに対処するため、少額減価償却資産等の取得価額の損金算入の特例の対象となる資産から、貸付(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産を除くこととされました。

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本当にある!世界の珍しい税制―ポテトチップス税

世界には、日本にはないユニークな税制が結構あります。
ユニークだな!と思うその税制も、なんとなく課税しているのではなく、その国ならではの制度や課題、お国柄などが反映されていて面白いです。

今日は「ポテトチップス税」についてのお話しです。
これはハンガリーで実際に課税されているもので、その名の通りポテトチップス等に5~20%課税されているものです。

実は、ハンガリーは成人の約4人に1人が肥満、という「肥満体国」なのだそうです!
政府は国民の健康対策として、ポテトチップスをはじめとする糖分・塩分の高い菓子、飲料などに課税するようになったのが、いわゆる「ポテトチップス税」です。
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日本で特定の食品(酒類以外で)に「健康対策として」と課税するのはちょっと想像しづらいですが、近年の健康志向の高まりを受けてポテトチップス税に似た税制を取り入れている国は他にもあります。
例えば、アメリカやフランスでは砂糖の入った炭酸飲料に「ソーダ税」を、デンマークではバターやチーズに「脂肪税」などが課されているといいます。
お国柄、なのかもしれませんね。


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中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(期限延長)―令和4年度税制改正

【ポイント】
令和4年度の税制改正で、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、適用期限の2年延長が盛り込まれました。

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少額減価償却資産について、法人規模や適用期限が決まっているものがあります。
いわゆる「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」です。
この特例は、中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合には、合計300万円までを限度に、全額損金算入することができる、というもので、中小企業者等の方にはおなじみの特例です。

この特例について、適用期限が2年間延長され、2024年3月31日までに取得した減価償却資産が対象となります。
中小企業者にとっては使い勝手の良い特例の延長ですので、歓迎ですね!

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少額の減価償却資産、今の取り扱いってどうなっているの?―全法人対象・期限なしの規定

【ポイント】
少額の減価償却資産のうち、①使用可能期間が1年未満のもの、②取得価額が10万円未満のもの、については法人が事業を供した年度に取得価額の全額を損金算入できます。
また、取得価額が20万円未満の減価償却資産については、3年間で償却する一括償却資産の損金算入の規定を選択できます。
これらの規定は、法人の規模に関わらず適用され、時限的な措置ではありません。

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少額の減価償却資産の取り扱いについては時限的な制度が多く「あの法令って今でも有効なの?」と不安に思う方も少なくありません。
その中で、法人規模に関わらず適用され、時限措置のないもの(今のところずっと使えるもの)については、次の通りです。

(1)全額損金算入OK
法人が取得した減価償却資産のうち次の①または②に該当するものについては「少額の減価償却資産」となり、法人が事業の用に供した年度に、取得価額の全額を損金算入することができます。
なお、少額の減価償却資産は、事業の用に供した事業年度においてその取得価額の全額を損金経理している場合に、損金の額に算入することができます。したがって、いったん資産に計上したものをその後の事業年度で一時に損金経理をしても損金の額に算入することはできませんのでご注意ください。

①使用可能期間が1年未満のもの
…この場合の「使用可能期間」は、法定耐用年数ではなく、その法人の営む業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつ、その法人の平均的な使用状況などからみて、その使用可能期間が1年未満であるものをいいます。
例えば、テレビ放映用のコマーシャルフィルムは、通常、減価償却資産として資産計上し、法定耐用年数2年で減価償却しますが、テレビ放映期間は1年未満であることが一般的です。
このような場合、テレビ放映の期間が1年未満のもの「使用可能期間が1年未満のもの」に該当します。

②取得価額が10万円未満のもの
…この場合の「取得価額」は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。
例えば応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子が1組で取引されるものですから、1組で10万円未満になるかどうかを判定します。また、カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、部屋ごとにその合計額が10万円未満になるかどうかを判定します。

(2)3年で均等償却
取得価額が20万円未満の減価償却資産については、事業年度ごとに、その全部または一部の合計額を一括し、これを3年間で償却する一括償却資産の損金算入の規定を選択することができます。

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中小企業の賃上げ促進税制―令和4年度税制改正

【ポイント】
令和4年度の税制改正で、雇用者全体の給与総額が対前年比で1.5%以上の賃上げをした中小企業について、税額控除の控除率が最大25%から最大40%に引き上げられました。



積極的な賃上げや人材投資を行った一定の中小企業に対しては、雇用者全体の給与総額の対前年度増加額に対して最大25%の税額控除が認められています。(所得拡大促進税制)
令和4年度の税制改正により、その控除率が最大40%にまで拡大することとなりました。

雇用者全体の給与総額が、対前年度増加率1.5%以上の中小企業については、その増加額に対して基本的に15%の金額が税額控除されます。
令和4年度の税制改正では、これに加えて、雇用者全体の給与総額が対前年度増加率2.5%以上だった場合にさらに15%の上乗せが、教育訓練費(一定の要件あり)の対前年度増加率が10%以上だった場合はさらに10%の上乗せがあります。(15%+15%+10%=40%が最大です)
適用期限は2022年4月1日から2024年3月31日までに開始する各事業年度とされ、1年間期限が延長されています。
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