いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

2022年04月

少額の減価償却資産、今の取り扱いってどうなっているの?―全法人対象・期限なしの規定

【ポイント】
少額の減価償却資産のうち、①使用可能期間が1年未満のもの、②取得価額が10万円未満のもの、については法人が事業を供した年度に取得価額の全額を損金算入できます。
また、取得価額が20万円未満の減価償却資産については、3年間で償却する一括償却資産の損金算入の規定を選択できます。
これらの規定は、法人の規模に関わらず適用され、時限的な措置ではありません。

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少額の減価償却資産の取り扱いについては時限的な制度が多く「あの法令って今でも有効なの?」と不安に思う方も少なくありません。
その中で、法人規模に関わらず適用され、時限措置のないもの(今のところずっと使えるもの)については、次の通りです。

(1)全額損金算入OK
法人が取得した減価償却資産のうち次の①または②に該当するものについては「少額の減価償却資産」となり、法人が事業の用に供した年度に、取得価額の全額を損金算入することができます。
なお、少額の減価償却資産は、事業の用に供した事業年度においてその取得価額の全額を損金経理している場合に、損金の額に算入することができます。したがって、いったん資産に計上したものをその後の事業年度で一時に損金経理をしても損金の額に算入することはできませんのでご注意ください。

①使用可能期間が1年未満のもの
…この場合の「使用可能期間」は、法定耐用年数ではなく、その法人の営む業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつ、その法人の平均的な使用状況などからみて、その使用可能期間が1年未満であるものをいいます。
例えば、テレビ放映用のコマーシャルフィルムは、通常、減価償却資産として資産計上し、法定耐用年数2年で減価償却しますが、テレビ放映期間は1年未満であることが一般的です。
このような場合、テレビ放映の期間が1年未満のもの「使用可能期間が1年未満のもの」に該当します。

②取得価額が10万円未満のもの
…この場合の「取得価額」は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。
例えば応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子が1組で取引されるものですから、1組で10万円未満になるかどうかを判定します。また、カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、部屋ごとにその合計額が10万円未満になるかどうかを判定します。

(2)3年で均等償却
取得価額が20万円未満の減価償却資産については、事業年度ごとに、その全部または一部の合計額を一括し、これを3年間で償却する一括償却資産の損金算入の規定を選択することができます。

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中小企業の賃上げ促進税制―令和4年度税制改正

【ポイント】
令和4年度の税制改正で、雇用者全体の給与総額が対前年比で1.5%以上の賃上げをした中小企業について、税額控除の控除率が最大25%から最大40%に引き上げられました。



積極的な賃上げや人材投資を行った一定の中小企業に対しては、雇用者全体の給与総額の対前年度増加額に対して最大25%の税額控除が認められています。(所得拡大促進税制)
令和4年度の税制改正により、その控除率が最大40%にまで拡大することとなりました。

雇用者全体の給与総額が、対前年度増加率1.5%以上の中小企業については、その増加額に対して基本的に15%の金額が税額控除されます。
令和4年度の税制改正では、これに加えて、雇用者全体の給与総額が対前年度増加率2.5%以上だった場合にさらに15%の上乗せが、教育訓練費(一定の要件あり)の対前年度増加率が10%以上だった場合はさらに10%の上乗せがあります。(15%+15%+10%=40%が最大です)
適用期限は2022年4月1日から2024年3月31日までに開始する各事業年度とされ、1年間期限が延長されています。
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世界最大の収入印紙「化粧紙印紙」

明治時代の初期、粗悪な生糸の輸出を取り締まるため、生糸に印紙制度を導入し、検査に合格した生糸には、その証として、生糸印紙が貼用されました。
この生糸印紙は大蔵省の作成・販売で、印紙税の一つです。

生糸は一定量にまとめて一束に梱包したり、さらに数束を一定量にまとめて梱包するなど、梱包の仕方が様々でした。
中でも「鉄砲造り」という梱包は、約34キログラムの生糸を梱包するやり方です。
この大量の生糸について、印紙を添付しようとすると3600枚も必要になるため、梱包本体にぐるりと巻き付けて添付を1回で済ませる「化粧紙印紙」(けしょうがみいんし)というものがあったそうです。
縦169ミリメートル、横467ミリメートルの大きさで、横の長さはA3の横の長さより長い!というもので、世界最大の印紙だそうです。
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※図は国税庁HPより拝借しました。

住宅ローン控除に残高証明書の提出が不要に?!―令和4年度税制改正

【ポイント】
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受けるために、これまでは銀行等から交付された住宅ローンに係る残高証明書を提出又は提示しなければなりませんでしたが、令和4年度の税制改正で残高証明書の提出等が不要となります。

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住宅ローン控除の適用を受けるには、確定申告・年末調整の際に銀行等から交付された住宅ローンに係る残高証明書を提出又は提示することになっています。

令和3年度の税制改正により、納税者の残高証明書の提出又は提示を不要とする改正が行われました。
納税者の申告利便の向上の観点から行われた改正です。

なお、納税者から残高証明書の提出は不要となりますが、これに代えて、銀行は年末残高の情報等を記載した調書を税務署に提出することになります。

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馬券税

1942年から1948年にかけて「馬券税」という税金があったのをご存知でしょうか?
馬券税とは、競馬法に基づいて開催される競馬の開催者、あるいは軍馬資源保護法に基づいて開催される鍛練馬競走の開催者に対して課される税金でした。
それまでの競馬の開催者は、売上の11.5%を政府納付金として国に納付し、その残りから馬券の購入者に払い戻し(払戻金)を行っていましたが、馬券税法が施行されると、この政府納付金のほかに、馬券税として売上の7%と、払戻金のうち20%を国に納付することとなったそうです。
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当時は競馬を楽しむ人が急激に増えていたそうで、競馬は全国12か所で開催され、1942年の売上が約1.7億円、翌年の1943年には約2億円と徐々に増えていった様子がうかがえます。
日本で初めての三冠馬となったセントライトが三冠レースを走っていたのが1941年ですので、人気も高まっていたのかもしれません。
しかし、戦争の影響で競馬場施設が接収となり、1943年の宮崎競馬を最後に競馬は開催されなくなりました。馬券税は1945年8月1日に課税を停止、翌1946年9月1日から再開したものの、1948年に施行された新競馬法により廃止となりました。

ちなみに現在では、日本中央競馬会(JRA)が日本中央競馬会法に基づき、売上の10%と、利益の1/2を国庫へ納付しています。

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