いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

マイホーム

夫名義でマンション購入、ローンは夫婦で返済-贈与にご用心?!

【質問】
夫婦でマンションを購入することにしました。
私たちは共働きなので、マンションの名義を夫としますが、ローンは夫婦の連帯債務で、ローンの返済は共働きの収入から行いたいと思っています。
この場合、贈与税等の問題はあるのでしょうか?

【回答】
マンションの名義が夫単独であるにもかかわらず、ローンの返済は夫婦で行うような場合、ローン返済の年ごとに妻から夫に贈与があったものとされるため、注意が必要です。



ご相談の方のように、マンションの名義が夫単独であるにもかかわらず、ローンの返済は夫婦で行うような場合、ローン返済の年ごとに妻から夫に贈与があったものとされます。
その年のローン返済額に妻の所得が夫婦の所得の合計に占める割合を乗じて計算した金額がその年の贈与額になり、一定金額以上に達した場合には贈与税が課税されますので注意が必要です。

これを避けるために、マンションを夫と妻の名義にすることが考えられます。
この場合も、実際の購入資金の負担割合と所有権登記の持分割合が異なっている場合には、贈与税の問題が生ずることがありますのでご注意ください。


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消費税が上がる前にマイホームを取得したい

【質問】
マイホームの取得を考えています。
一生に一度の買い物、かなり高額なので、消費税が上がる前に買わないと損をするのではないかと心配です。
どのタイミングまでに買えば、消費税5%で買えますか?

【回答】
事業者が平成25年10月1日(指定日)の前日までの間に締結した工事の請負に係る契約に基づき、平成26年4月1日以後に引き渡しを行う場合には、当該工事にかかる消費税は5%の税率を適用します。



 住宅などを購入する個人消費者にかかる消費税、金額が大きいだけに影響も大きいですね。
 ご心配な気持ち、よくわかります。今日は請負工事時の消費税のお話をします。

 消費税は平成26年4月1日から5%から8%に、さらに平成27年10月1日には10%に引き上げられます。
 ただし、消費税増税時の請負工事の消費税には経過措置があります。

 事業者が平成25年10月1日(以下「指定日」という)の前日までの間に締結した工事の請負に係る契約に基づき、平成26年4月1日以後に引き渡しを行う場合には、当該工事に係る消費税については、5%の税率を適用する、というものです。
 指定日というのが消費税改正の6ヵ月前に設けられています。

 税率が変わるのが平成26年4月1日ですが、指定日以前に契約しているものは5%を適用できる、という話です。

 同様に、平成27年10月1日に消費税が10%に引き上げられるときの指定日は6ヵ月前の平成27年4月1日になります。
 この前日までの間に契約締結し、平成27年10月1日以後に引き渡しを行う場合には、8%の消費税が適用されます。

 ちなみに、請負工事以外でも、次のような業務も同じ経過措置が設けられています。

(1)その他の請負に係る契約
修繕や運送、保管、印刷、広告、仲介、技術援助、情報の提供に係る契約等

(2)委任その他の請負に類する契約
検査、検定等の事務処理の委託に関する契約、市場調査その他の調査に係る契約等

(3)仕事の完成に長期間を要するもの
上記の(1)(2)のような契約は、仕事の完成に長期間を要することが通例ですが、実際に長期間を要するかは問わないようです(^-^;)。

(4)仕事の目的物の引き渡しが一括して行われるもの
運送、設計、測量など、目的物の引き渡しを要しない請負等の契約では、契約した役務の全部の完了が一括して行われるものも含まれます。

(5)相手方の注文が付されているもの
目的物の仕様や規格に相手方の指示があるもの。
例えば、船舶、車両、機械、家具等の製作、洋服等の仕立て、広告宣伝用資産の製作、建物・機会の修繕など修理や加工等を目的とする請負契約が該当します。


 ご相談の方の場合、もし、5%の税率を適用したいのであれば、平成25年9月30日までに契約を締結することが必要です。
 ただ、マイホームは本当に一生ものの買い物になります。消費税はあくまでも検討課題の一つとして、納得のいくようしっかり検討することをオススメいたします。


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身内からマイホーム資金の援助を受けた

【質問】
マイホームを購入する際に、妻の両親から「親族がマイホーム資金を提供しても税金がかからない」と言われて500万円を援助してもらいました。
税金はかからないですよね?

【回答】
平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属から住宅取得等資金を贈与された場合、一定の要件を満たすときは、一定額まで贈与税が非課税となりますが、妻の両親は基本的に「直系」尊属に該当しないため、贈与税の非課税制度を適用するのは難しいでしょう。


 平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間に、父母や祖父母など「直系尊属」からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます)を取得した場合で一定の要件を満たすときは、「一定の金額」について、贈与税が非課税となります。(以下、この制度を「新非課税制度」といいます)

 「一定の金額」とは、以下の通りです。

住宅取得等資金の贈与税の非課税


 「省エネ等住宅」とは、省エネ等基準(省エネルギー対策等級4相当であること、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上であること又は免震建築物であることをいいます。)に適合する住宅用の家屋であることにつき、一定の証明書等(住宅性能証明書、建設住宅性能評価書の写し、長期優良住宅認定通知書の写し及び認定長期優良住宅建築証明書など)を贈与税の申告書に添付することにより証明されたものです。

 ここで注意したいのが、受贈者(受け取る人)の条件です。

 間違いやすいのが、「贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること」という点。
 これは、親や祖父母などの直系尊属からの贈与でなければ適用されない(子や孫からの贈与は対象外)、ということです。

 さらに、「直系」というところもポイント。
 配偶者の父母(又は祖父母)は「直系」の尊属には当たらないので、これも注意が必要です。(但し、養子縁組をしている場合は直系尊属に当たります)

 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等を行うこと、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること(工期が伸びている場合等は居住することが確実、と見込めればOKです)、平成23年分以前の年分において、旧非課税制度(平成22・24年の各税制改正前の「住宅取得等資金の贈与税の非課税」のこと)の適用を受けたことがないこと等も条件になります。

 なお、新非課税制度は、贈与税の申告期間内に贈与税の申告書及び添付書類などを提出した場合に限り、その適用を受けることができます。

 贈与税の申告期間は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。

 新非課税制度について概要をご紹介いたしましたが、この制度の適用については確認すべき細かい規定が結構あります。(東日本大震災の被災者向けに「震災に係る住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度もあります)

 該当しそうだな、と思われる方は、国税庁のホームページ等をご確認いただくか、税務署、税理士等までご相談下さい!


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妻の父からマイホーム資金をもらったとき

【質問】
平成23年中に妻の父から新築するマイホームの資金として800万円の援助を受けました。
確か親族からのマイホーム資金の贈与については1000万円まで税金がかからない、と言われているので問題ないと思いますが、何か手続きが必要なら教えて下さい。

【回答】
住宅取得等資金の贈与税の非課税制度(新非課税制度)は、父母や祖父母など直系尊属からの贈与にのみ適用されます。配偶者の父母(又は祖父母)は、あなたの直系尊属には当たりませんので、新非課税制度の適用を受けることはできません。


 従来、父母や祖父母などからの贈与により、マイホーム用の家屋の新築、取得又は増改築等のための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます)を取得した場合、一定の要件を満たすときは500万円までの金額について贈与税が非課税とされていました。

 この制度は改正され、平成22年1月1日から平成23年12月31日までの間に直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金については、新しい非課税制度が適用されています。

 平成23年1月1日から12月31日までに住宅取得等資金が贈与された場合、制度の適用を受ける人は一定の条件を満たせば1,000万円までの金額について贈与税が非課税となります(以下、「新非課税制度」といいます。)
 ご相談の方はこの新非課税制度のことを少しご存じなのかもしれませんね。


 ただし資金援助を受ける人には、要件があります。

(1) 日本に居住していること(日本に住所地がない場合は別途要件がある)
(2) 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。
(3) 贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
(4) 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。

 ご質問の場合の問題は(2)です。
 新非課税制度(昔の制度もそうですが)は、直系尊属、つまり父や母、祖父母などからの贈与に限られます。
配偶者の父は直系尊属ではないため、この非課税制度を使うことはできません。

 どのような申告をすればいいのか、はいくつかの選択肢がありますので、現状を税理士等に詳しくご相談いただくことをオススメいたします。


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