最近、クレジットカードを使う機会が大幅に増えています。最近ではNHK受信料、電気代やガス代などの公共料金にいたるまで、クレジットカードが利用できるようになりました。

 先月、国内大手クレジットカード会社12社が「公金クレジット決済協議会」を設立するための準備委員会を立ち上げました。
 税金や国民年金、水道料金などの「公金市場」といわれる分野にクレジットカード決済を導入するための課題整理やインフラ面の検証を行う協議会の設立に向けて、準備が進められているようです。

 税金や国民年金などがクレジットカードで支払えるようになると、さらに便利になるかな、と感じています。


 消費者にとっては、「手持ちの現金がなくてもすぐに決済ができる」「手数料がかからない」「カードのポイントが貯まる」などのメリットがあるクレジットカードの利用。
 でも、店舗側の事情は少し異なります。


 クレジットカードの加盟店になると、カード発行会社からの入金はカード料率による手数料を差し引かれて入金されます。

 そのカード料率は実店舗で3〜5%(インターネットショップでは5〜7%)です。

 たとえば、1万円の商品代金がクレジットカードで決済されると、300円〜700円の手数料が発生するわけです。
 利益率の低い商品などでは馬鹿にならない手数料です。


 さらに、この手数料は消費税の課税取引にならないため、仕入税額控除することもできません。

 なぜなら、カード発行会社との取引は宅急便等の代金引換(代引き)サービスとは異なり、債権譲渡取引とみなされているからです。

 つまり、カード発行会社からの入金額(売上代金−手数料)は売上代金(売掛金)をカード発行会社に債権譲渡した額とみなされ、売上代金と実際の入金額との差額(手数料)は債権の譲渡損失として処理することになるのです。

 消費税法では、売掛金その他の金銭債権の譲渡は非課税とされています。

 したがって、クレジットカードの手数料(=譲渡損失)は仕入税額控除の対象にはならないのです。

 公金分野に関しては、税・料という特殊性や契約の対象が国や自治体となること、また、公金に関する諸法令の面でも、業界として関係省庁との様々な協議や確認を行う必要があるようです。

 公金をクレジット決済できるようになるには、手数料の問題等も含めて解決すべき課題がまだまだありそうですね。