いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

印紙税

やり方次第で金額100倍に?!消費税増税に伴う契約書

【質問】
消費税増税に伴って、これまで1,050万円(消費税込み)で請負契約していたものを1,080万円(消費税込み)に金額変更することにしました。
新たに交わす契約書の作成にあたり、注意することはありますか?

【回答】
示す結果が同じであっても、契約書の記載方法や交わし方によって、必要な印紙税の金額が変わってきます。(200円から20,000円まで幅があります)



請負契約書や領収書など、印紙税が課される文書(「課税文書」と言います)は、「印紙税額一覧表」に20項目が分類されています。
そのうち、請負に関する契約書(工事請負契約書、請負金額変更契約書など)は印紙税額一覧表の「番号2」に定められているため、「2号文書」などと言われることもあります。

印紙税の金額は、契約書等における「記載金額」(ざっくり言うと「取引金額」)によって決定されます。
そのため、今回のポイントは、ご相談のような状況をどのように契約書の形に落とし込むのか、によって印紙税額がかなり変わってくる、というところです。

例えば、請負契約書上で「消費税等を50万円から80万円に増額する」「消費税等を30万円増額する」のように、取引全体の金額が明記されていない場合は「記載金額がない2号文書」として取扱い、印紙税額は200円となります。

ただし、「請負金額1,050万円」と記載された請負契約書を「請負金額1,080万円」と記載した請負契約書に差し替えるような場合は「2号文章」の中で契約金額5,000万円以下、という扱いになるため、それぞれの契約書に20,000円の印紙税が課せられます。


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消費税だけじゃない!4月1日が転換点-●●税の減税?!

※今回は、私からのクイズ!という形でお送り致します(^-^)。

【クイズ】
平成26年4月1日以降、自営業の方ほとんどに関係する改正で、年間を通して考えると業種によってはかなりのインパクトがある改正が適用されます。
現在とくらべて減税となる改正ですが、何だと思いますか?

【こたえ】
印紙税の非課税範囲の拡大です。平成26年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額5万円未満のものについて非課税となります。



事業を営んでいる方ほとんど全ての方に関連し、年間を通して考えると業種によってはかなりのインパクトがある改正が4月1日から適用されます。
そうであるにも関わらず、あまり話題になっていないようなので今回のブログで取り上げることに致しました。

その改正とは、領収証等に係る印紙税の非課税範囲の拡大です。

現在、「金銭又は有価証券の受取書」(領収証等)については、記載された受取金額が3万円未満のものが非課税とされています。
今回の改正により、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものについて非課税となります。

受取代金が3万円以上5万円未満で、領収証や契約書等を発行する取引は、自営業の方ならば一度や二度は経験したことがあるのではないでしょうか。
業種によってはかなり多いかと思います。
例えば旅館業などで宿泊代の領収書を発行するような場合、該当する金額の領収書が1日平均5枚あったとすると、1枚あたり200円、1年(365日)で365,000円!で、なんと30万円以上の減税となります。

印紙税は書類1枚当たりの税額が低く、とても地味な存在です。しかし、数が多くなれば決して小さな金額ではなくなります。
4月以降、5万円未満の領収証に印紙を貼ってしまうことのないように、全社員・会計担当スタッフ等に周知徹底することをお忘れなく!

さらに、印紙税にかかる文書について、この機会に見直してみることをオススメいたします!


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印紙税の過怠税

【質問】
印紙税は印紙を貼ることで納付したことになる、と聞きましたが、どのようなときに納付漏れとなるのでしょうか?


【回答】
必要な印紙を伝票に貼っていない場合や領収書への収入印紙を貼り忘れた場合等に印紙税の納付漏れとなることがあります。この場合、原則として過怠税が課されます。
その金額は納付しなかった印紙税の額+その2倍に相当する額です。



印紙税の納付は通常、作成した契約書、領収書等の課税文書に所定の額面の収入印紙を貼り付け、印章又は署名で消印することによって行います。

印紙税の納付漏れとして代表的なものは、契約金額が1万円以上の場合などに必要な収入印紙を伝票に貼っていなかったり、売上代金が3万円以上だった場合に必要な、領収書への収入印紙を貼り忘れていたといったものです。

もし印紙税、課税文書の作成者が印紙の貼り忘れ等により、納付すべき印紙税を納付しなかった場合、原則として過怠税(税法上の罰金のようなものです)が課されます。
その金額は、納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、つまり当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。

もし、2万円の印紙税が必要なところを貼り忘れ等により納付しなかった場合、過怠税は納付しなかった印紙税の額2万円+その2倍に相当する金額2万円×2との合計額、6万円となります。

所得税や法人税の場合、税務調査で指摘を受けて修正や更生があった時は、本来納付すべき税額(本税)に加えて過少申告加算税等を納付することになります。
しかし、印紙税の場合は、本来納付すべき2万円を含む6万円全額が過怠税という扱いになります。印紙税の過怠税は重いのです。

しかも過怠税は、性格的には「納付漏れ等による罰金」ですので、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されません。
本来、損金にできる印紙税2万円の出費で済むはずが、納付漏れにより、その3倍の6万円の出費になるばかりでなく、支出した6万円全額が損金不算入となります。

ただし、税務調査を受ける前に、自主的に納付していなかったことを申し出た場合、過怠税は1.1倍に軽減されます。
また、「貼り付けた」印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります。

自社で作成・発行した文書が課税文書に該当するか否か、また課税文書に該当する場合、いくらの印紙が必要となるか、判断に迷った場合は顧問税理士等の専門家にご相談下さい。


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駐車場を賃借する契約書の印紙税

【質問】
社用車を駐車するための駐車場を賃借する予定です。
複数の知人の話を聞くと、契約書に印紙を貼った人と貼らなかった人がいるようです。
賃借料に金額的な差はあまりなかったと思うのですが、貼らない人は印紙税をけちったということになるのでしょうか?

【回答】
駐車場の賃貸借契約書の場合、その内容が土地の賃貸借なのか、駐車場という施設を賃貸借するのかによって、印紙税の取扱いが異なります。


 駐車場の賃貸借契約書の場合は、その内容が土地の賃貸借であるのか、あるいは駐車場という施設を賃貸借するものであるのかによって、印紙税の取扱いが異なってきます。

 これは、土地又は地上権の賃貸借契約書は、印紙税額一覧表の第1号の2文書に該当し、印紙税がかかりますが、建物や施設、物品などの賃貸借契約書は印紙税がかからないからです。

 駐車場を借りるための契約の形態には、おおむね次のようなものが考えられますが、印紙税はその形態により取扱いが異なるのです。


1 駐車する「場所」としての土地を賃貸借する場合
 駐車する場所として、いわゆる駐車場としての設備のない更地を賃貸借する場合の賃貸借契約書は、印紙税額の一覧表の第1号の2文書「土地の賃借権の設定に関する契約書」に該当し、印紙税がかかります。

2 車庫を賃貸借する場合
 車庫という施設の賃貸借契約書ですから、印紙税はかかりません。

3 駐車場の一定の場所に駐車することの契約の場合
 駐車場という施設の賃貸借契約書ですから、印紙税はかかりません。

4 車の寄託(保管)契約の場合
 この契約書は、車という物品を預かる寄託契約書ですから、印紙税はかかりません。

 印紙税がかからなかった人は、印紙税をけちった訳ではなく、車庫や駐車場の一定の場所に駐車することの契約、あるいは車の保管契約だった可能性が高いですね。

 なお、土地の賃貸借契約書の記載金額は、目的物の使用収益のための対価(いわゆる地代)ではなく、貸借権の設定のための対価、すなわち権利金、名義変更料、更新料等後日返還されることが予定されていないものの金額をいいます。


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領収書に貼る印紙税の、ちょっと「おトク」なお話

 オフィス街の小売店などでは、領収書を発行することが多いのではないでしょうか。

 領収書は印紙税法上の第17号文書「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」にあたり、領収額が3万円以上の場合は印紙税がかかります。

 領収書1件1件の印紙税は少なくても、年間まとめると思いのほか大きな税負担になるケースも少なくありません。


 印紙税の額は領収金額によって以下のように段階的に上がる仕組みです。

・領収額3万円未満:非課税
・〜100万円:200円
・〜200万円:400円
・〜300万円:600円
・〜500万円:1000円
・〜1000万円:2000円
・〜2000万円:4000円
・〜3000万円:6000円
(以下略)
※なお、領収金額が3千万円を超えると印紙税も1万円を超えます。


 最近では消費税の総額表示が定着してきたこともあり、領収書にも総額(税込み金額)のみを記載するケースが増えてきました。

 しかし、領収書に消費税額等を記載することで「おトク」になることもあるのです。

 というのも、印紙税法においては、「消費税額等が区分記載されているとき」、または「税込価格及び税抜価格が記載されている」場合は、消費税額等を領収額に含めなくても良いとされているからです。

 たとえ総額表示の代金であっても、領収書に「うち消費税○○円」、または「税抜き金額○○円」と付記すれば、消費税抜きの金額を領収金額として印紙税の額を計算できるのです。

 これにより、たとえば税抜き29,000円(総額30,450円)の領収書なら200円の印紙が不要になります。また、税抜き300万円(総額315万円)の領収書なら400円、税抜き3000万円(総額3150万円)なら4,000円も「おトク」になるのです。

 印紙税の額が上がる前後の金額を覚えておくと、ちょっとトクすることもあります、というお話でした(^-^)。