いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

災害

災害時の申告・納税等の特別な取り扱い

【ポイント】
国税庁では、災害により被害を受けた場合の申告・納税等に係る特別な手続き等の取り扱いについて公表しています。

180717災害
西日本豪雨に被災した皆様に、お見舞い申し上げます。
ここ数日続く、酷暑ともいえる厳しい暑さにも、どうぞご自愛ください。

さて、国税庁では、「7月5日からの大雨により被害を受けられた皆様方へ」として、災害により被害を受けた場合の、申告・納税等に係る特別な手続き等の取り扱いについて紹介されています。

(1)災害により申告・納税等をその期限までにできないとき(交通途絶等)は、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲でその期限の延長を受けられる場合があります。

たとえば、原則として毎月10日が納期限となる源泉所得税及び復興特別所得税の納付について、この度の大雨により被災したため期限までに行うことができない場合には、期限の延長(災害による申告、納付等の期限延長申請)を受ける手続きがあります。
なお、この手続きは、期限が経過した後でも行うことができますので、被災の状況が落ち着いてから最寄りの税務署にご相談いただいても大丈夫です。

(2)災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告で所得税法に定める雑損控除の方法、災害減免法に定める税金の軽減免除による方法のどちらか有利な方法を選ぶことによって、「所得税及び復興特別所得税の全部または一部を軽減」できる場合があります。
また、給与等、公的年金等、報酬等から徴収される(又は徴収された)源泉所得税の徴収猶予や還付を受けられる場合があります。

(3)災害により、財産に相当な損失を受けた場合は、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、納税の猶予を受けられる場合があります。

(4)災害により被害を受けた事業者が、当該被害を受けたことにより、災害等の生じた日の属する課税期間等について、所轄税務署長に申請しその承認を受けることにより、災害等の生じた日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けること、又は適用をやめることができる場合があります。

これは、たとえば、災害によって事務処理能力が低下したため、一般課税から簡易課税への変更が必要になった場合や、棚卸資産その他業務用の資産に相当な損害を受け、緊急な設備投資を行うため、簡易課税から一般課税への変更が必要になった場合などに適用されます。

申告・納税どころではない方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、一日も早く日常生活を取り戻せますよう、お祈り申し上げます。


いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

最大3,000万円の贈与税が非課税に?!の「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」に災害対応の改正が―平成29年度与党税制改正大綱―

【ポイント】
平成29年度の与党税制改正大綱に、「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」について、新築時期の要件や住み始めの時期に関する要件が一定の災害時に緩和されることが盛り込まれました。


「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度とは、平成27 年1月1日から平成33 年12 月31 日までの間に父母や祖父母など(=直系尊属)から、マイホームの新築、取得又は増改築等(=新築等)に充てるための金銭(=住宅取得等資金)をもらったとき(=贈与を受けたとき)、一定の要件を満たすときは、贈与税が非課税(一定の非課税限度額あり)となる制度です。

贈与税の申告手続きが必要になるものの、非課税限度額が大きい(最大3,000万円)ため、この制度を使う方も少なくありません。

この制度について、平成29年度の与党税制改正大綱で少し改正のポイントがありました。

「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度の適用を受けるための「一定の要件」の中には
●新築時期の要件
贈与を受けた年の翌年3月15 日までに、住宅取得等資金の全額を充ててマイホーム等の新築等をすること。
●住み始めの時期に関する要件
贈与を受けた年の翌年3月15 日までに新しいマイホームに居住すること、又は同日後遅滞なく新しいマイホームに居住することが確実であると見込まれること。
(ただし、贈与を受けた年の翌年12 月31 日までにその家屋に居住していないときは、この制度の適用を受けることができなくなり、贈与税の修正申告が必要になります。)
があります。

これらの要件につき、災害等やむをえない事情がある場合には、その時期に関する要件が緩和されることが盛り込まれました。

具体的には、
●そのマイホーム等が災害により滅失等したことによって住むことができない状態であれば、居住要件は免除される。
●また、災害等によるやむをえない事情により、翌年12月31日までに住み始めることができなかった場合は、その居住期限をその贈与を受けた年の翌々年12月31日まで延長する。
災害等に起因するやむをえない事情により贈与を受けた年の翌年3月15日までに新築ができなかったときも、翌々年3月15日までに新築をすれば、この制度の適用を受けることができる。

最近、大きな災害が続いています。災害自体は起きてほしくないのですが、万一に備えた制度であることは重要だと思います。
(家に住むことができなくなるほどの災害だと生活にも支障がでていますから、そんなときに面倒な税務手続きのことなんて、考えられないですよね・・・)
今後の動きにも注目したいです。

※なお、与党税制改正大綱とは、次の年度の税制改正の主要項目や今後の税制改正に当たって、与党の基本的な考え方を示したものです。
そのため、現時点では決定事項ではありません。
正式な法令等の改正内容やタイミングにご注意ください。


いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

被災した場合の申告・納税に係る手続きについて

【ポイント】
災害により被害を受けた場合には、納期限の延長、納税の猶予、所得税の軽減措置など、申告・納税に係るさまざまな手続きを利用することができます。



災害により被害を受けた場合には、以下のような申告・納税等に係る手続等があります。

1.納期限の延長
災害による交通途絶等で期限内に申告・納税等ができないときは、所轄税務署長に申請し、承認を受けることにより、その理由(交通途絶等)が収まった日から2か月以内の範囲でその期限が延長されます。

2.納税の猶予
災害により、財産に相当な損失を受けた場合は、所轄税務署長に申請し、承認を受けることにより、納税の猶予を受けることができます。

3.所得税の全部(または一部)を軽減する措置
災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告で「所得税法に定める雑損控除」または「災害減免法に定める税金の軽減免除による方法」どちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部を軽減することができます。

また、給与等、公的年金等、報酬等から徴収される(又は徴収された)源泉所得税の徴収猶予や還付を受けることもできます。

4.消費税の簡易課税制度について
災害により被害を受けた事業者が、当該被害を受けたことにより、災害等の生じた日の属する課税期間等について、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、又は適用を受けることの必要がなくなった場合には、所轄税務署長に申請しその承認を受けることにより、災害等の生じた日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。(逆に適用をやめることもできます)

これは、災害によって事務処理能力が低下したため、一般課税から簡易課税への変更が必要になった場合や、棚卸資産その他業務用の資産に相当な損害を受け、緊急な設備投資を行うため、簡易課税から一般課税への変更が必要になった場合などに適用されます。

被災地の皆様、とりわけ避難生活を送られている方は、不安な中、日々の生活を送ることに手一杯なのではないか、と思います。
少しでも落ち着いたらば、こうした制度を利用して経済的な不安を少しでも取り除いていただければと思います。

詳しい情報は、最寄りの税務署や税理士等にご相談ください。


いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

被災者に対する資金繰り支援制度―融資(2)

【ポイント】
震災を受けて、資金繰りに苦慮する中小企業向けの融資や保証制度をご紹介します。
セーフティネット貸付(日本公庫・沖縄公庫) 危機対応業務(商工中金)は、災害の直接被害者のみならず、間接被害者や計画停電・風評等の被害者も利用できます。



 震災を受けて資金繰りに苦慮する中小企業向けの融資制度について、前回3つの制度があることをご紹介いたしました。

 今回は3つの制度のうち、セーフティネット貸付・危機対応業務についてご紹介いたします。

2.セーフティネット貸付(日本公庫・沖縄公庫) 危機対応業務(商工中金)
・・・経営基盤強化に必要な設備資金、運転資金を長期・低利で融資する制度です。震災の被災者に限らず、業況が悪化している事業者が対象となります。

(1)対象者:
災害を原因とする場合に限らず、社会的、経済的環境の変化により、一時的に売上や利益が減少する等、業況が悪化している中小企業者が対象です。
売上高の減少等は、震災を直接的な原因とする場合に限らず、例えば、計画停電、材料調達や出荷に支障が生じている場合、風評被害等を原因とする場合も含みます。

社会的な要因(災害、事故、大型倒産、風評被害等)による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障をきたしている、またはきたすおそれのある場合も該当します。

「中長期的にみて業況が回復し、発展することが見込まれる」ことが条件です。

(2)貸付限度:
・日本公庫・・・中小事業=7億2,000万円、国民事業=一般貸付とは別枠で4,800万円
・商工中金・・・7億2,000万円

(3)貸付利率
・日本公庫・・・中小事業1.75%、国民事業2.25%
・商工中金・・・1.75%
基準金利(5年以内(平成23年3月12日現在))

(4)貸付期間
運転資金8年以内(据置期間3年以内)/設備資金15年以内(据置期間3年以内)

 制度概要のお問い合わせは日本公庫(沖縄県内は沖縄公庫)、または商工中金まで。

 また、この制度を利用する場合、あなたの事業が「中長期的に見て業況が回復し、発展することが見込まれること」が重要なポイントになります。

 融資を受けるための経営計画や資金計画などについては、ぜひ税理士等までご相談ください!


いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから

平成23年東北地方太平洋沖地震等に係る被災中小企業者対策について(小規模企業共済災害時貸付等の追加対策)

 本日は震災関連で2つの記事をお送りいたします。

2つ目。

 3月18日、中小企業庁のホームページで「平成23年東北地方太平洋沖地震等に係る被災中小企業者対策について(小規模企業共済災害時貸付等の追加対策)」が公表されました。

 これによると、経済産業省が小規模企業共済契約者に対する貸付制度について、一段の金利引き下げ等の措置を講じ、危急の事業資金の確保のための支援を拡充する、とのことです。

 詳細は以下の通りです。

1.「災害時貸付」の更なる条件緩和
 上記災害により被害を受けた小規模企業共済契約者に対し、(独)中小企業基盤整備機構において原則として即日に低利で融資を行う「災害時貸付」を既に実施しているところです。

 今般、この貸付金利を無利子にするなど特段の配慮を講じ、貸付条件の更なる条件緩和を実施します。
(3月11日以降、既に貸付けを受けられている共済契約者についても、遡って当該措置を適用します。)

(1)貸付金利の無利子化
 貸付金利を1.5%から0.9%に引き下げる措置を既に講じているところですが、今般の甚大な被害状況に鑑み、当該地震の直接罹災共済契約者については、貸付金利を無利子とする特段の配慮を講じます。(間接被害者については、引き続き、貸付金利0.9%を適用します。)

(2)貸付限度額の引き上げ
 貸付限度額を1,000万円から2,000万円に引き上げます。
(ただし、共済契約が解約された場合に支払われる解約手当金の範囲内となります。)

(3)償還期間の延長及び据置期間の設定
・償還期間を1年間延長することにより、資金繰りを支援します。
(i )貸付金額が500万円以下の場合、3年を4年に延長します。
(II)貸付金額が505万円以上の場合、5年を6年に延長します。

・据置期間を設定し、罹災当初の資金繰りを支援します。
(i )設定なし → 据置期間12ヶ月

2.「緊急経営安定貸付」の適用
 震災により、港湾・道路等の途絶、計画停電の実施、ガソリン・資材等の流通難等、多様な弊害が発生しています。

 これらの影響を受け、事業活動に支障をきたし、1月間の売上高が前年同月に比して急激に減少することが見込まれる小規模企業共済契約者に対し、貸付金利を1.5%から0.9%に引き下げる措置(緊急経営安定貸付の適用)を実施します。

◆中小企業庁の東北地方太平洋沖地震関連情報ホームページ
http://www.chusho.meti.go.jp/earthquake2011/index.html

いずみ会計事務所へのご相談は>>コチラから