いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

空き家

空き家などの低未利用地の譲渡益から100万円が控除できます

【ポイント】
空き家などの低未利用地の譲渡(親族間譲渡は除く)をした場合、低未利用地の譲渡益から100万円を控除することができるようになります。

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国土交通省によると、空き家の総数は2018年までの30年間で約2.2倍(394万戸→849万戸)に増加した、といいます。
近年、休眠状態になった土地(低未利用地)の増加は、大きな社会問題になっています。

低未利用地とは、空き家や空き地、空き店舗、耕作放棄地、管理が放棄された森林などの「未利用地」と、一時的な資材置き場、青空駐車場など「低利用地」を総称したものです。

こうした土地等の流通を増やすことで、新たに土地建物を欲している人たち(移住者、隣の土地の所有者など)に積極的に活用してもらい、地域の活性化や治安の向上を図るため、令和2年度の税制改正では、低未利用地の譲渡所得に関する特例が盛り込まれました。

2020年7月1日から2022年12月31日までの間に、個人が空き家などの低未利用地の譲渡(親族間の譲渡を除く)をした場合低未利用地の譲渡益から100万円を控除することができます。

この特例の適用要件は次の通りです。
(1)譲渡価額がその上にある建物等を含めて500万円以下であること
(2)所有期間が5年を超えること
(3)その低未利用地が都市計画区域内に所在すること
(4)低未利用地であったこと及び譲渡後の土地の利用について市区町村の長が確認した書類が確定申告書に添付されていること
(確認書類の発行については、各市区町村にお問い合わせください)

「思ったよりも高く売れない」「測量費や解体費用などの譲渡費用の負担が高い」「様々な費用支出があった上に、譲渡所得が課税される」
…といったことから、土地を売るよりも低未利用地として放置したほうがよい、と考える方が多かったかと思いますが、今後はこの特例を利用して空き地や空き家の売却を考えてみてもいいかもしれませんね。


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老人ホームに入居した被相続人と「空き家に係る譲渡所得の3,000万円控除の特例」-平成31年度税制改正大綱

【ポイント】
被相続人が老人ホーム等に入居し、そのまま自宅に戻ることなく亡くなった場合などでも「空き家に係る譲渡所得の3,000万円控除の特例」が利用できるよう、居住用家屋の要件が改正されることが、平成31年度の税制改正大綱に盛り込まれました。

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親が老人ホームに入所し、それまで親が住んでいたマイホームが空き家になります。
万一、親がそのまま老人ホーム等で亡くなった場合、親が住んでいた空き家に関する譲渡所得の取り扱いについて、平成31年度の税制改正大綱で改正が盛り込まれました。

現行の制度では、相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から2019年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。
(いわゆる「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」です)

今回の税制改正大綱で盛り込まれたのは、この特例の「居住用家屋」の要件に関する改正です。
現行制度の「居住用家屋」は、相続開始直前において被相続人(親など)の居住の用に供されていたこと、相続開始直前において被相続人以外に居住していた人がいないことが要件となっています。

しかし、現行の要件の場合、たとえば親が介護の必要性などから自宅に住み続けることができず、やむなく老人ホーム等に入居し、そのままマイホームに戻ることなく亡くなった場合、空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例を受けることができないという問題がありました。

そこで、今回の税制改正では、一定の要件を満たす場合には、被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を受けることができる、ということが盛り込まれています。

その要件とは次の通りです。
(1)被相続人について
・介護保険法に規定する要介護認定等を受けていること
・相続開始直前まで老人ホーム等に入所していたこと
(2)被相続人の居住用家屋について、被相続人が老人ホーム等に入所したときから相続開始直前まで、
・被相続人による一定の使用がなされていること
・事業の用、貸付の用、被相続人以外の者の居住の用に供されていたことがないこと


この改正は、2019年4月1日以後に行なう被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡について適用されます。

高齢化、核家族化が進む現代の事情にあわせた改正、といえるでしょう。

なお、与党の税制改正大綱とは、与党が税制調査会を中心に翌年度以降にどのように税制を変えるべきかを話し合い、まとめたもので、政府は大綱に従って通常国会に税制改正法案を提出するものです。したがって、現段階では法制化されたものではありませんので、今後の審議の行方にご注目ください。

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