いずみ会計事務所の「ためになるブログ」Season2

東京都千代田区二番町(麹町)で開業している「いずみ会計事務所」のブログです。税務・経理や会計の最新動向から、顧問先企業のご紹介まで、女性税理士ならではの視線で綴ります。

経費

(つぶやき)経費の費用対効果

会社経営をしている経営者の皆様は、当然に経費を抑えたいと思っているはずです。


基本的に経費は売上を得るために使うものです。


経営者の趣味で経費を使うべきではありませんし、無駄だと最初から想像がつく経費を使う経営者もいないでしょう。


それでも、悩ましい経費項目はいくつかあります。

交際費、福利厚生費、広告宣伝費、教育研修費 など


このあたりが悩ましい経費のトップランキングでしょうか。


経費は売上を得るために使うもの。


この基本概念に基づくならば、使う経費の費用対効果を検証すべきと思います。

いかがでしょうか?

期中で役員給与を改定した場合の取扱い

 世間では「景気は緩やかな回復」などと言われていますが、中小企業経営者の方々の中には、いまだ景気回復を実感できない方も多いのではないでしょうか。

 中には、業績回復が思わしくなく、やむなく人件費を削っている、という企業もあるかもしれません。
 今日はそんな人件費のうち、役員給与を改定した場合のお話をいたします。


 もし期中で役員給与を減額した場合、原則としてその期に支払った役員給与の全額が損金にならないことも起こりえます。

 たとえば80万円の役員給与を7ヶ月支払った後、70万円に減額して5ヶ月支払ったような場合、80万円×7ヶ月+70万円×5ヶ月=910万円全額が損金不算入となり、法人税が課税されることになります。

 役員給与は、任意にあるいは随時に変更することについて、税務上、一定の制限がされる仕組みになっています。


 ただし、これにはいくつかの特例があります。

 まず、業績が著しく悪化したこと(その他これに類する理由を含む)により、役員給与を改定した場合は、たとえ期中で改定しても役員給与は全額損金として認められます。

 また、会計期間開始の日から3月を経過する日までに改定された場合も、全額損金として認められます。

 役員給与の支給額を定める時期が一般的に定時株主総会のときであることや、事業年度終了の日間近の改定を容認すると、利益の払い出しの性格を有する役員給与の増額改定を認めることにつながる等の理由から、この規定が定められています。

 以上が法人税法施行令に定められている特例です。

 この他、改定前に支給された金額と改定後に支給された金額の差額のみを損金不算入とする、という事例が、昨年12月に国税庁から発表された「役員給与に関する質疑応答事例」に書かれていました。

 たとえば80万円の役員給与を7ヶ月支払った後、70万円に減額して5ヶ月支払ったような場合、(80万円-70万円)×5ヶ月=50万円が損金不算入となる、ということです。


 この事例については、まだどの法令にも定められていません。
 おそらく今後は通達などで取扱い詳細について補完がされていくと思います。

 もし実際に施行されれば、資金繰り等がやや厳しめの企業にとって注目すべき改定になりそうです。
 今後の動きに要注意ですね。

期末に作成中のパンフレット費用の費用計上日は?

最近の印刷技術の進歩は目を見張るものがあります。
 パソコンとプリンタの普及と高性能化により、自宅やオフィスにいながらにしてカラー印刷や写真出力ができるようになりました。

 また、自分で印刷する時間がなかったとしても、依頼主がコンピュータで作成したデジタル原稿を持ち込んでその場で印刷ができる「オンデマンド印刷」サービスなどを利用すると、まとまった数のカラーのちらしやはがきが24時間以内に出来上がることも珍しくありません。

 ところが、大量のパンフレットや写真などの入ったポスターなどは、納品までの時間がかかるものの、従来の印刷技術を利用したほうが安価で高品質な仕上がりが期待できます。

 となると、場合によっては、パンフレットやポスターの制作期間が事業年度を越えてしまうものもあるかもしれません。
 今日は年度を越えて制作するパンフレットやポスターのお話です。


 税務上、広告宣伝物や消耗品の取得に要した費用は、その広告宣伝物や消耗品を消費した日の属する事業年度の経費とするのが原則です。
(事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものについては、購入した日の属する事業年度の経費とすることも認められています。)

 事業年度を跨いでパンフレット等を制作した場合は、そのパンフレット等を消費する日は通常、取得した日以後、つまり取得した事業年度内だと思われます。

 いずれにしてもパンフレット等を取得した(パンフレット等が完成した)事業年度の費用となるわけです。


 問題は、その費用の一部、たとえば既に納品済みのデザイン料を前の事業年度に支払ってしまった場合です。

 一応、デザインはデザインで納品済みなのだから、前の事業年度の費用にできるのではないかと思う方もいますが、そうではありません。

 あくまでもデザイン料はパンフレット等の作成費用の一部であり、その費用を購入日の属する費用にするためには、パンフレット等の取得が完了していることが要件になるのです。

 従って、そのデザイン料については前払い金とし、翌事業年度の経費にすることになります。